CMなくなってたの??

ボンカレー>テレビCM撤退後も好調 そのネット戦略とは……  
まんたんウェブ 7月10日(日)11時0分)


1970年代に「3分間待つのだぞ」「じっと我慢の子であった」という時代劇「子連れ狼」のパロディーCMで大ヒットしたレトルトカレーボンカレー」だが、大塚食品は3年前、ボンカレーについてテレビCMなどのマス広告(新聞、ラジオ、雑誌、テレビ広告)から撤退した。ウェブ動画を中心としたPR戦略に方向転換するためだ。CM撤退して3年たつが、今のところ売り上げは右肩上がりだという。同社に“CMを打たない”宣伝戦略の勝算について聞いた。
同社は13年、ボンカレーを電子レンジで調理できるものに切り替え、テレビCMを積極的に打ったが、効果は薄かった。ボンカレーのプロダクトマネジャーを務める同社製品部レトルト担当の垣内壮平さんは「売り上げ以外にも、言いたかった『電子レンジで調理できる』ということが伝わっていないと事後の調査でわかった。そういうことを伝えていくのはテレビCMの短い尺では厳しいと感じた」といい、新しいコミュニケーション方法を模索することになったという。
ボンカレーといえば、世界初の市販用レトルトカレーとして、1968年の発売以来25億食以上を販売してきたロングセラー商品。「3分間温めるだけ」というわかりやすいテレビCMと、営業マンが全国各地に貼り回ったという女優の松山容子さんが着物姿で登場するホーロー看板の効果もあり、知名度は抜群。垣内さんは「みんなが知っているものなので、今までのCMのように一方的に商品を伝える手法ではなく、消費者がもっとボンカレーに興味を持ってもらえるような話題や共感できるコンテンツを提供することが必要と感じていて、それをPRで広げていくという手法がいいのでは思った」という。
当時、勝算があったのかどうかについて聞くと、「勝算はなかった。不安な部分はすごくあった。ぶっちゃけると、今までのマス広告に頼っていた流れを打ち切るということを会社に理解してもらうのが大変で、社内の逆風もあった」と苦笑いする。2013年上半期を最後にテレビCMを打ち切り、13年下半期からいくつかのPR活動を仕掛け、実績を作って次(14年)からPRに切り替えると話をして社内調整を図っていった。垣内さんは「(当時)PRは絶対に必要だとわかっていたので、広告を打ったものの商品の理解までにつながっていないというデータなどを出しつつ、PRの重要性を伝えて説得していった」と振り返る。
PR戦略は大きく分けて二つの活動を行ったという。一つは、季節限定商品などを出してそれに合わせてイベントを開催し、メディアに取り上げてもらうなどの商品と合わせたPR活動。もう一つは直接的に商品をアピールするのではなく、ボンカレーに興味、共感が得られるようなコンテンツを作るなどのPR活動。「具体的にはウェブ動画だ。『ボンカレーはどういう時に役に立つか』という“原点”を考えたとき、今の日本だと働きながら家事や育児をしている母親が一番救えるのではないかということで、働く母親をターゲットに絞って、共感できるようなものを制作した」と語る。
ウェブ動画は第1弾として、働くママを応援するドラマ仕立てのものを14年に公開。翌年にはより共感が得られるよう、ボンカレーで食卓を囲むことで笑顔や会話が増えた家族の様子を描いたドキュメンタリー動画を第2弾として制作した。動画は「YouTube」でも視聴でき、第1弾の再生回数は100万回を超えている。第2弾も約47万回再生され、SNSでも話題になったといい、「非常に手応えを感じた」という。
PR戦略に転換して、メディアでの露出量も違ってきたという。「ボンカレー知名度があるのでメディアの取材を受ける機会はこれまでもあったが、PRに注力しだすとそれが倍増し、私も忙しくなった」とうれしい悲鳴を上げる。売り上げは、テレビCM撤退の翌年の14年は対前年比18%増を達成し、それ以降も成長を続けているという。「売り上げ増はいろんな要因があり、PRに切り替えたお陰とは言い切れない部分はあるが、売り上げを下げず、広告費を圧縮できたということで、社内の評価はあった」と明かす。
今後再びテレビCMを打つ可能性について、「恐らくないと思う。今のところは必要性を感じない」という。今後は、「今は忙しいお母さんにターゲットを置いて密にコミュニケーションをとっているが、もっとほかにレトルトカレーが役に立つシーンがあると思っていて、今後はその部分をもっと“深掘り”して、ボンカレーを世の中の役に立つブランドにしていければ」と語った。

これ、テレビも広告代理店も終わったっていってるようなものだと思う。
もちろん圧倒的知名度がベースにあるが故の戦略だとは思うが、こういうケースも少なからず出てくるだろうし、これからテレビ局ラジオ局が倒産する時代も出てくるかもな、と思う。