金は天下の回りもの、ではなくなった

アベノミクス>経済再生正念場 消費低迷・円高の逆風強く
毎日新聞 7月11日(月)0時23分)


安倍晋三首相は10日、民放テレビのインタビューで、参院選勝利について「アベノミクスを加速させろということ。国民の期待に応えたい」と述べた。だが、個人消費の低迷は長期化し、円高進行で好調だった企業収益にも陰りが見える。英国の欧州連合(EU)離脱決定などで世界経済は先行き不透明感が増しており、アベノミクスへの逆風が強まっている。
安倍首相は選挙期間中、「アベノミクスは道半ば。この道を力強く前に進んでいく」として、アベノミクスの継続を訴えた。2012年末の安倍政権発足後、日銀の大規模な金融緩和などを背景に当初は円安・株高が進み、大企業中心に収益は改善。賃上げも一部で実現した。人手不足の中、雇用の指標は歴史的高水準が続いている。
だが、円安で輸入価格が上昇したことによる食料品の値上げや、14年4月の消費税率8%への引き上げなどで消費低迷が深刻化。社会保険料の負担増もあって可処分所得は伸び悩み、消費は今も弱いままだ。企業の収益改善や賃上げが投資や消費の拡大を促し、企業収益のさらなる改善につながる「経済の好循環」にはいたっていない。
足元では円高の進行で先行き懸念も高まっている。年明け以降、中国など新興国の景気減速を背景に円高が進んだところに、英国のEU離脱決定で円高が加速。年初から1ドルあたり20円近く進んだ円高は、輸出産業の足かせだ。アベノミクスの起点となった企業収益は下振れが見込まれ、「アベノミクスは唯一の推進力を失う」(外資系証券エコノミスト)との指摘も出ている。
逆風が強まる中、安倍首相は10日、「包括的で大胆な力のある(第2次補正)予算を組みたい」と述べた。しかし、財政出動や追加の金融緩和による景気浮揚は、一時的なもので終わる可能性がある。
一方、選挙を通じて財政再建の議論は深まらなかった。首相は選挙戦直前、「内需を腰折れさせかねない」と消費税率10%への引き上げを2年半延期。「新しい判断について国民の信を問いたい」とした。民進党など野党は「アベノミクスは失敗」と批判したが、増税先送り自体は容認。政府は20年度に基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げるが、歳出見直しも含めた具体策は置き去りとなった。
増税再延期で社会保障の財源不足も懸念される。選挙戦では与党は子育て・介護の支援など「1億総活躍社会」の実現を主張。民進党など野党も給付型奨学金の導入や介護充実などを訴えて政策の違いが見えにくくなった。今後、高齢化の進展で社会保障費が増え続ける中、財源問題への対応は待ったなしだ。

いきわたっていない、のは本当だろうし、企業が内部留保につとめたらそりゃそうなるよね。
使わせる方法論も考えないといかんのと違う?