大型機の終焉

ANA、「ピタッとフリート」で90億円収支改善 退役間近の777、国内線で活用
全日本空輸ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)は、退役を控えたボーイング777-200型機を活用して、2015年度から2016年度にかけて国内線の需給適合を順次進化させる。
これまで、高需要路線や繁忙期に大型機の777を導入し、閑散期や地方路線は機材を小型化していた。これを各路線で曜日ごとに運航機材を見直し、1週間の中で週末など高需要日と乗客数が減る週の中日で運航機材を使い分ける。同社では「ピタッとフリート」と名付け、需給適合の推進により収益性を改善する。
◆償却済みの777-200活用
現在ANAHDは54機の777を保有。このうち、16機の777-200と6機の777-200ER、7機の777-300の29機を国内線で、6機の777-200ERと19機の777-300ERの25機を国際線で運航している。
今回活用する777-200は、1995年10月に引き渡された初号機をはじめ、償却期間がほぼ満了する7機。2-3年を目安に、退役を当初計画より延長する。
国内線は今後の需要の伸びが期待できない上に、日による需要の変動幅が大きい。このため、低需要日は運航コストのかかる777の稼働を落とし、中型機の787や767と、小型機の737やA321を中心とする運航体制に改めることで、ロードファクター(座席利用率)を改善する。
一方、高需要日は退役間近の777-200を投入することで提供座席数を増やし、従来取りこぼしていた旅客需要を取り込む。
◆A321は200席クラスに
ANAHDでは、777-200の延命活用に加えて、国内線機材としてボーイング787-10型機やエアバスA321neoなど4機種15機の発注する意向を示しており、2015年度から2021年度にかけて順次導入する。
発注意向を示したのは、ボーイング機は787-10が3機と737-800が5機、エアバス機はシャークレット付きのA321ceo(従来型)が4機とA321neoが3機。737-800は2015年度に、A321ceoは2016年度に、787-10は2019年度から2020年度にかけて、追加発注となるA321neoは2020年度から2021年度にかけて導入する。
いずれも自社購入だが、737-800とA321ceoは購入後リース会社に一旦売却し、リース契約を結ぶ「セール・アンド・リースバック」で導入。両機種はA321neoを2020年度から導入するまでのつなぎで、長期保有は前提としていない。
ANAHDは2014年7月にA321neoを23機、A320neoを7機発注済み。A320neoが2016年度から2018年度、A321neoは2017年度から2023年度に受領する。
中でも、A321は200席クラスで導入を計画しており、これまで主力の737-800よりも約20%座席数を増やすことで、小型機ながら需要増にも対応できるようにする。
ANAHDでは、ピタッとフリートの導入により、最大で年間90億円程度の収支改善を図るとしている。
(Aviation Wire 2月21日(土)12時17分)

そんなに柔軟に運用できるもんなのか。