蘇える香川

香川、マンUでの絶大な影響力。両チーム最多67本のパス、4得点生んだポジションチェンジ
ルーニーの不在。マンUはCLを見据えたメンバー
前半17分、アシュリー・ヤングが負傷によってアドナン・ヤヌザイと交代。左サイドで先発していた香川真司は、この交代によって右サイドへ。そして、このスイッチが香川自身にもフアン・マタにもハビエル・エルナンデスにも功を奏した。
今シーズンは不甲斐ない結果が続き、多くの批判を集めるユナイテッド。しかし、アウェーでの成績は16試合で9勝3分け4敗の勝ち点30。なんと、リーグトップの成績を上げている。
そんなユナイテッドだが、セント・ジェームズ・パークに乗り込んだこの試合は今季絶望となっているロビン・ファン・ペルシーに加えて、ウェイン・ルーニーも負傷欠場となった。
さらに、チャンピオンズリーグ・ベスト8のバイエルン・ミュンヘン戦に挟まれた試合ということもあって、アンデルス・リンデゴーアがリーグ戦で今季初先発するなどメンバーを一部変更。ハビエル・エルナンデスセンターフォワードで起用し、2列目には左から香川、マタ、ヤングが先発した。
一方、ここまで0-3、0-4と大量失点での連敗を喫しているニューカッスルは、立ち上がりから積極的な姿勢でユナイテッドを上回るパフォーマンスを見せていた。
■香川のポジションチェンジで変わった試合の流れ
しかし、ニューカッスルの攻撃は、大部分が右サイドから展開。0-4と大敗した前節サウサンプトン戦に続いて今季2度目の先発となった左サイドバックのマサディオ・アイダラは周囲との連係が取れておらず、左サイドは攻守に不安定さを見せていた。
それによってユナイテッドは、押し込まれていた時間帯にも右サイドからは何度かチャンスを作ることが出来ていた。しかし、ヤングにはクロスの一択しか無かった。
クロスしか無いと分かっていれば、ニューカッスルとしては守るのは簡単。ヤングが入れた3本のクロスは、決定機を演出することなく弾き返されていた。
そして、前半17分にヤヌザイと交代すると、左からヤヌザイ、マタ、香川という並びに変更。ここまで守備に追われていた香川は、これによってスペースのある右サイドでのプレーが可能となった。
ピッチ上でのプレーエリアを見てみると、前半17分までニューカッスルの右サイド(ユナイテッド陣内の左サイド)が最多の19.46%を記録。これほど押し込まれては、攻撃に転じる余裕が生まれなくても仕方ない。
右サイドへポジションを移してからの香川は、タメを作って周囲の上がりを促したり、マタと流動的にポジションを変えながらコンビネーションで相手ディフェンスを崩す動きを披露。これによってマタのプレーエリアが広がり、前半37分の先制点となるFKを獲得出来た。
前半17分からハーフタイムまでのプレーエリアを見ると、ニューカッスルの右サイドは19.46%から9.41%へ激減。逆に、ユナイテッドの右サイド(ニューカッスル陣内の左サイド)は5.60%から12.22%まで大きく向上させた。
■香川とマタは相性の良さを発揮
その後も香川とマタが連動した動きをすることで、エルナンデスも徐々に実力を発揮。後半5分、香川が頭でつないだボールからマタの2点目をアシスト。同20分には、マタとポジションチェンジしてトップ下の位置から突破した香川のアシストによって自身も得点を決めた。
同25分、マルアン・フェライニがナニと交代すると、香川が中央へポジションを変更。香川とマタのプレーエリアが中央へ移ったことや、ニューカッスルの足が止まったこともあって、それまで守備に追われていたヤヌザイが攻撃に参加する時間が増加。ロスタイムの得点につながった。
香川は、この試合で得点こそなかったものの、両チーム最多となる67本のパスを通すなどチャンスメイクに貢献。そして、何よりもマタやエルナンデスとの相性の良さを発揮。前節のアストン・ヴィラ戦に続いて、マタが活躍するためには香川の存在が不可欠であることを証明した。その逆も然りだ。
そして、この試合では香川のポジションを中心としてプレーエリアが変動していた。そのことからも、香川はチームにとって大きな影響力を持った存在だということを示したと言える。
フットボールチャンネル 4月6日(日)9時10分)

じわじわ流れを手繰り寄せている感じがする。