基準はアメリカの国益のみ

<米国>中東に「二重基準」 バーレーン政権批判は慎重
中東バーレーンの反政府デモで、治安当局がデモ隊を強制排除し死傷者が出た事件について、カーニー米大統領報道官は16日、政権側とデモ隊の双方に暴力停止を求めた。オバマ大統領が前日、イラン政府のデモ弾圧を厳しく批判したのとは対照的だ。反米政権によるデモ封殺を強く批判しながら、親米国の強硬姿勢についてはあいまいな対応しかできないところに、米外交の「ダブルスタンダード二重基準)」が表れている。
バーレーンの治安部隊が武力を行使したことについて、クリントン国務長官は17日、懸念を示した。一方、イランについてオバマ大統領が15日、「国民を射殺したり殴ったりしている」と政府の弾圧を明確に批判している。バーレーンとイランへの米政府の対応は明らかに異なっている。
カーニー報道官は16日の記者会見でバーレーンリビア両政府のデモ隊への対応への見解を聞かれ、「(対応は)国ごとに異なる」「(政府とデモ隊の)両方に非暴力を求める」などと述べ、政府批判は慎重に避けた。イラン政府の対応を「弾圧」と批判したのとは明らかな違いだ。
米国にとって、バーレーンは戦略的に極めて重要な国だ。同国にある米海軍第5艦隊司令部は中東有事の際に展開するだけでなく、平時もホルムズ海峡やスエズ運河を警戒し、湾岸諸国の原油を欧米に安定供給する役割を果たしている。04年には湾岸諸国で初めて米国と自由貿易協定(FTA)を締結した。
また人口のうち約6割はイスラムシーア派で、スンニ派はハマド国王を頂点とする支配層など約3割。政府は90年代から民主化を推進。湾岸諸国で初めて女性の参政権を認めた普通選挙を導入するなど、欧米の評価は高い。
一方でバーレーン地政学的には微妙な位置にある。ペルシャ湾を挟む東隣のシーア派国家イランが影響力拡大を狙っており、バーレーン国内でスンニ派シーア派の宗派間対立が深まり、民主化の「優等生」である同国が混乱することを米国は懸念している。
さらに同国の混乱は、西隣の「アラブの盟主」サウジアラビアに何らかの影響を与えないとも限らない。スンニ派国家のサウジだが、バーレーンに近い東部にはシーア派住民もいるためだ。米国はバーレーン指導層を批判することで、サウジ国内のシーア派が勢いづくのを恐れているとみられる。
バーレーンでは1990年代中ごろにもシーア派住民による反政府デモが続発したが、このときも米政府はハマド政権を強く支援し続けた。このため、シーア派住民には米政府への反発もある。
毎日新聞 - 2月17日(木)21時18分)

石油絡まなかったら、アメリカも慎重になったかどうか。
それ以前に関与するかどうか。