名前自体が奇襲

前代未聞の珍名力士誕生 その名も「右肩上り」
日本相撲協会は29日、大相撲名古屋場所(7月12日初日・愛知県体育館)の新番付を発表した。三段目で異例の珍名力士が出現。大嶽部屋の西三段目3枚目の吉野(21)が「右肩上り(みぎかたあがり)」へ改名。協会広報部によると、名詞以外の言葉がしこ名で使われた例は「きわめて珍しい」という。
三段目吉野改め大相撲史上初といっていい、珍名力士が誕生した。吉野改め「右肩上り」。過去に「凸凹(でこぼこ)」や「い(かながしら)」など珍名は数多いが、いずれも固有名詞だった。「右肩上り」のように形容する言葉がしこ名として使われた例を、協会広報部は「非常に珍しい」とし、事実上、史上初のしこ名と認定した。
栄えあるしこ名への改名は夏場所前に師匠・大嶽親方(元関脇・貴闘力)から伝えられたという。「言われた時はビックリでした。でも、出世するイメージがありますし、名前負けしないように右肩上がりで番付も上げていきたい」と決意表明。命名した師匠は「世の中も景気が悪くて暗いので、彼に携わる人みんなが幸せに明るくなるように願いを込めた」としこ名に込めた意味を説明した。
右肩上がりには、グラフなどで右に向かって上がっていく例えから「後になるほど良くなること」の意味がある。昨年秋、幕下に上がったが、その後は三段目と幕下を行ったり来たり。なかなか右肩上がりにならず、低迷が続いている。「番付が伸び悩んでいるんで、もっと上に行ってほしいという願いもあるのでは」と部屋関係者は明かす。
一気に注目をあびて、名古屋場所は名前の通り成績を残せるのか? もっとも本人の心配は「呼び出しさんがちゃんと呼べるかどうかです」。いろいろな意味で、見逃せない力士が誕生した。


◆しこ名の決め方 日本相撲協会広報部によると、しこ名に関する規定は存在しない。カタカナの使用、長い名なども可能だが、良識の範囲内で決めているのが現状だ。師匠、後援者、力士本人などが考えて決めることがほとんどで、伝統的に「山」「川」「海」が入ることが多い。また、師匠の現役時代しこ名の一字をもらったり、部屋ゆかりの字を使用。本名をそのまましこ名にするケースもある。珍しこ名は明治以前は多かったが、昭和、平成に入ると少なくなった。


◆右肩上り 博保(みぎかたあがり・ひろやす)本名・吉野博保。1988年6月8日、山口県宇部市生まれ。21歳。上宇部中3年で大嶽親方の知人にスカウトされ入門。04年春、初土俵。05年春、序二段、07年初、三段目に昇進する。最高位は東幕下48枚目(09年初)。173センチ、152キロ。得意は突き、押し。家族は両親と姉2人。
(スポーツ報知 - 6月30日8時0分)

角界はイロモノにシフトしていくんでしょうか。