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ウイダーinゼリー、「奇跡的巻き返し」の裏側
東洋経済オンライン 8月21日(日)6時0分)


「10秒チャージ、2時間キープ」――。
1999年、SMAP木村拓哉のCMをきっかけに、大ヒット商品となった「ウイダーinゼリー」が今、森永製菓の好業績を牽引している。
■過去最高の売り上げと利益を記録
8月10日、森永製菓は2017年3月期の第1四半期(2016年4〜6月期)決算を発表した。 売上高476億円(前年同期比7%増)、営業利益52億円(同86%増)で、第1四半期として売り上げ・利益ともに過去最高となった。この結果を受け、同社は業績予想を上方修正。 通期の売上高は1889億円(期初計画比1%増)、営業利益は143億円(同24%増)となる見通しだ。
アイスの「チョコモナカジャンボ」やチョコレートの「ダース」など、好採算の主力品が販売好調だった。中でもinゼリーの売り上げは、前年同期比28%増と絶好調。CMや店頭での積極的な広告展開が奏功した。
inゼリーは、エネルギーやビタミンを片手で手軽に摂取できるゼリー飲料だ。1994年の発売当時、市場に競合品は見当たらず、ゼリー飲料の草分け的存在だった。
5年後に冒頭のキャッチコピーが話題となり、定番品の座を獲得。2007年頃に売り上げのピークを迎えてからも、市場シェア4割程度を維持し続けた。
だが、2014年3月、発売20周年を機にリニューアルを実施すると、これが思わぬ失速につながった。
■失速の理由は?
従来の「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」という機能性を軸にした商品展開から、「エネルギー」(180キロカロリー)「カロリーハーフ」(90キロカロリー)「カロリーゼロ」(0カロリー)など、カロリー別の商品展開に切り替え、パッケージデザインも英字の多いものに一新した。
「カロリーハーフ」は、従来の「マルチビタミン」の品質を変えずに、名称とデザインを改めただけのものだったが、既存客の支持を失い大苦戦。リニューアルからわずか4か月後の7月には、再び「マルチビタミン」など機能性重視の名称に戻し、デザインも再刷新して巻き返しを図ることとなった。が、リニューアル失敗の影響は補えず、2015年3月期のinゼリーの売り上げは、前年に比べ約1割も落ち込んだ。
■「失敗」が営業部隊を突き動かした
「放っておいても売れる」(同社)とされてきたinゼリーの失速は、森永製菓の営業部隊を突き動かした。
店頭のPOP広告で、水分補給やビタミン摂取といった健康効果を積極的に訴求。飲料売り場だけでなく、サプリメントの棚やマスクの近くなど、健康にひも付けたさまざまな売り場での販売を試みた。
一連の取り組みの成果か、前2016年3月期の売り上げは対前年で2割近く増加した。前年の落ち込みからの反動もあるとはいえ、inゼリーは息を吹き返したと言えるだろう。今2017年3月期の出だしも、前述のとおり3割近い伸び率となっている。来期以降の製造ライン増設も、検討段階に入ったという。
今回、森永製菓は通期の業績予想を上方修正したが、下期(2016年10月〜2017年3月期)だけでみると、期初の計画を据え置いている。第1四半期に想定以上に稼いだ利益は、販売促進費など今後へ向けた種まきに充てる考えだ。
とはいえ、inゼリーやアイスなど、同社の主力品は夏場に最需要期を迎える。例年、売上高や利益は、第2もしくは第3四半期に最も大きくなる。“稼ぎ時”に第1四半期の好調を持続できれば、再度の上方修正も視界に入ってくる。
森永製菓は、復活したinゼリーの余勢を駆って、さらなる高みを目指す。

あのリニューアルは、佐藤可士和プロデュースとはいえ、「?」をつけたくなるほどひどいものだった。
何によって買われていたのか、森永自身もちゃんと把握できていなかったんじゃないのか。
そこに回帰した結果でしょう。
実際、マルチビタミンは、仕事で疲労しているとき、結構効きますからね・・・。