そのうち干からびる前に

<猛暑>水シャンプーも 建設現場に学ぶ熱中症対策
毎日新聞 8月13日(土)10時0分)


全国的に猛烈な暑さが続いている。連日、列島各地で午前中から35度を超え、気象庁高温注意情報を出して、熱中症への厳重な注意を呼びかけている。熱中症は子供や高齢者、スポーツをする人が要注意と言われるが、同様にリスクが高いのが建設、製造など空調のない環境で長時間働く人たちだ。そんな中、大阪の建設会社が休憩時間に「水で頭を洗う」ユニークな対策を社員に推奨し、注目を集めている。「危険な暑さ」が続くと予想される夏、過酷な環境で働く人たちの熱中症対策を紹介する。
◇過酷な暑熱環境で働く人たち
気温31度、蒸し暑い7月末の午後3時、東京都板橋区内のマンション建設現場で、施工する建設会社、三和建設(大阪市、森本尚孝社長)の社員、財津敢生さん(22)がシャワーで頭を洗い始めた。「頭が冷えて気持ちいいですよ!」と笑顔で話す。
総務省消防庁は9日、1〜7日の1週間に全国で今年最多の6588人が熱中症のため救急搬送され、12人が死亡したとの速報値を発表した。実は建設業は業務中の熱中症死傷者数が業界別でもっとも多い。厚生労働省の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」調査によると、2010〜14年の死者は全国で50人、4日以上休業した人は710人に上り、2位の製造業(同21人、480人)を大きく上回る。
三和建設では深刻な事例は経験していないが、気分が悪くなった、軽いけいれんが起きたなどの報告は全国で年に1、2例あるという。ほこりや騒音防止のためシートで覆われたサウナのような屋内で行う内装作業や、炎天下の照り返しの下で屋根をふく作業など、現場は熱中症リスクの高い環境が非常に多い。
◇枕にあめ、ファン付き作業着まで多様な対策
同社は従来、「熱中症全社統一対策」を作り、対策を進めてきた。現場に体温計、冷却枕、スポーツ飲料などを常備し、大型の扇風機を設置▽朝礼、昼休みに「熱中症予防チェック」を全員で確認する▽塩分を補充するあめや錠剤を食べる▽朝8時から午後5時までの勤務中、最低でも3度の休憩を取り、必要に応じてさらにこまめに休む▽監督役の社員には、現場の作業員への頻繁な声かけを義務づける▽黒い作業服の禁止▽人目につかない場所での1人作業の禁止▽服の中に風を送り込むファン付き作業着の導入−−など、内容は多岐にわたる。
◇シャンプーも支給し、水浴びを奨励
そして今夏、新たに導入したのが水シャンプーだ。日用品メーカー、ユニリーバ・ジャパン(東京都)が始めた帽子、ヘルメットなどをかぶって働く人を支援する取り組み「着帽手当」制度を導入し、希望する社員にシャンプーを支給。現場の水道にはシャワーヘッドも取り付けた。水浴びは体温が下げる効果が実証されており、長時間のヘルメット着用で蒸れた頭を洗うことでリフレッシュ効果も期待しているという。
同社東京本店の竹中三男次長は「現場の職人さん、社員は一人も欠かせない貴重な人材。夏の過酷な暑さは避けられないが、全員が万全な体調で働けるよう、今後もさまざまな方策を試していきたい」と話している。

あの手この手でしのいでますな・・・。