必要に迫られると考える

認知症>見守りは足元から 広がるGPS内蔵の靴
毎日新聞 7月25日(月)14時26分)


認知症の見守りは足元から−−。全地球測位システム(GPS)の端末を内蔵した靴が普及しつつある。位置情報などをスマートフォンスマホ)などで確認でき、居場所を素早く確認できる商品だ。首からさげて使う端末もあるが、身につけず外出することもあり、介護する家族を悩ませてきた。「有効な手段」と関係者が期待を寄せる。
千葉県松戸市の「介護用品 愛ショップ」が展開するサービスは「愛SOSネットワークシステム」。靴の中敷きに厚さ約1・2センチ、重さ約30グラムのGPS端末を埋め込み、位置情報などをスマホタブレット端末で確認でき、自宅から50メートル以上離れるとメールで知らせる。
介護経験のある岡田俊幸社長(68)が考案し、高齢者見守り事業を展開するNPO法人「ささえ愛」(千葉県野田市)とともに昨年5月、端末販売とサービス提供を始めた。料金は8万円から(2年契約)で、1カ月の有料試用は4250円(靴代1万8000円は別)。現在の契約件数は約60件だ。岡田社長のいとこで九州の販売代理店「ハートフルサポートかむろ」の禿(かむろ)正典代表(58)=熊本市中央区=は「2年以上の契約のため高額だが1カ月から試用していただければ」と話す。問い合わせは禿さん(090・1771・8863)。
高齢者向け賃貸住宅の運営会社「ウィッシュヒルズ」(京都府木津川市)も昨年10月、GPS端末を靴に埋め込んだ「GPSどこでもシューズ」(3万7800円)を発売した。月額1620円の通信料が別途必要だが、約140足が売れた。
かかとの部分に重さ約30グラムのGPS端末を収納。専用サイトの地図に位置が表示され、自宅から50メートル以上離れるとメールで通知する。同社取締役の久保吉伸さん(49)がかつて、奈良市で3日間にわたり若年性認知症の男性の捜索に参加したのが開発のきっかけで「行方が分からなくなると周囲の人が疲弊する」と靴に着目した。現在は黒1色しかないため、久保さんは「他の色をそろえたり、デザインを改良したりしたい」と意気込む。問い合わせはカスタマーセンター(0120・17・4192)。
前橋工科大の原川哲美教授(システム生体工学)が開発を進めているのが、マットに置くだけで充電できるGPS端末付きのシューズ。通常は電池が最長3、4日間程度しか持たないため、そのたびに充電する必要があった。スマホなどで利用されている「非接触型充電」の技術を応用し、マットに置くだけで充電が始まる。原川教授は「介護施設で試験をしており9月にも商品化したい」と話す。
福岡県大牟田市介護施設職員らでつくる「市認知症ライフサポート研究会」の大谷るみ子代表(58)は「さまざまな器具が開発されれば、当事者や家族が外出しやすくなる。高価なのがネックで、介護保険自治体の補助対象になれば利用が進むのではないか。ただあくまで補助器具であり、行政などとともに見守り態勢を整えることが必要だ」と指摘した。

結構広がってるのね。