今度は繁殖しすぎ

ジュンサイ>深泥池で過剰繁茂  京料理への活用模索
毎日新聞 7月13日(水)12時5分)


美食家の北大路魯山人(きたおおじろさんじん)(1883〜1959)も愛した京都・深泥池(みぞろがいけ)(京都市北区)のジュンサイ。一時絶滅が心配されたが、水質の改善で今や過剰に繁茂し、池一面を覆うほどに復活した。このままでは本来の生態バランスを損なう恐れがあり、研究者らが適正管理に向けた間引き実験を始めた。ゆくゆくは刈り取ったジュンサイ京料理の食材として復活させたいという。
深泥池は周囲約1.5キロ、面積約9ヘクタール。ミツガシワなど約14万年前の氷河時代の生き残りとされる貴重な水生植物がある学術的に貴重な池で、1927年に国の天然記念物に指定された。ハッチョウトンボなど約60種類が観察されるトンボの楽園でもある。
かつては夏になると農家が池に小舟を浮かべてジュンサイを採取し、料亭に売るなど、地元の特産として知られた。近くにある上賀茂神社の社家(しゃけ)に生まれた魯山人は著書「魯山人味道」で、「どこのじゅんさいが一番よいかと言うと、京の洛北深泥池の産が飛切りである」と激賞した。
だが戦後、周囲に宅地が広がるなどして水質が悪化し、1960年代にはジュンサイ採りはほとんど見られなくなった。90年代に入り環境保全の機運が高まり、京都市が97年に池を購入。排水路の整備などで水質が改善し、2005年ごろからジュンサイが池全体に広がるようになった。
一方でジュンサイの過剰繁茂がタヌキモなどの固有種の生育を阻害。枯れ葉が沈殿して腐り、池が酸欠状態になってトンボの幼虫などに悪影響を及ぼす懸念が出てきた。
このため研究者や市民団体などによる「深泥池水生生物研究会」が、ジュンサイを間引く実験を計画。900平方メートルの水面を、そのままの区画と、半分、4分の3を刈り取った区画に3分割し、生物全体に与える影響を約3年かけて調べることにした。
6月14日には小型無人機「ドローン」でジュンサイの分布密度を観察。先月下旬からボートから鎌を使って刈り取りを進めた。研究会世話人の竹門康弘・京都大防災研究所准教授(河川生態学)は「適正なジュンサイの密度を科学的に明らかにし、より良い管理方法を探りたい。深泥池では1000年以上も、自然と人間との共生関係が続いていた。その関係を取り戻し、生態系の保全と食文化の再生を両立させたい」と話している。

もともと食べてたんだから、復活を喜ぶべきなんじゃ?