アウトな組み合わせに気をつけろ!

<医療>コーヒーと漢方薬 アウトな飲み合わせ
毎日新聞 6月26日(日)10時30分)


昨年末、「エナジードリンク」と呼ばれるカフェイン入り清涼飲料水を大量に飲んだ男性が、カフェイン中毒で死亡する事件がありました。カフェインは飲料や薬などさまざまなものに含まれており、飲み合わせによって意図せず大量摂取してしまう可能性もあります。危険を避けるためにどんなことに気をつければよいでしょうか。漢方が専門の日本薬科大学学長、丁宗鐵さんに聞きました。
◇コーヒーやお茶以外にも含まれる
カフェインはコーヒー豆や茶葉、カカオ豆に含まれる成分です。コーヒーや紅茶、緑茶、チョコレート、ココアなど身近な食品・飲料に含まれています。この他に、コーヒーや茶葉から抽出されたカフェインを日ごろ摂取していることを知っているでしょうか。精製されたカフェインは、医薬品として片頭痛の治療に用いる処方薬や市販の風邪薬や眠気覚ましの市販薬などに含まれています。また、食品添加物として使用が認められており、適度な苦みによって食品の味をよくする目的でコーラなどの清涼飲料水やドリンクなどに添加されたり、サプリメントの原料として使われたりしています。
◇体への影響と摂取量の目安
カフェインは、心血管や中枢神経を刺激して覚醒させる作用があります。そのため、適量を摂取すると体の活動量が盛んになって元気が出ます。しかし、短時間で大量に摂取すると頭痛、めまい、胃けいれん、吐き気、嘔吐(おうと)などの急性症状が表れます。過剰摂取によって中毒になると興奮して眠れなくなったり、動悸(どうき)がしたりするなど全身に症状が及んで危険な状態になり、摂取量によっては死に至ることもあります。
カフェインは取り方によっては体にリスクがありますが、国内では今のところ、食品における1日の摂取許容量は設定されていません。海外の状況を参考にすると、健康な成人では、1日の摂取量の目安は400ミリグラムといわれています。これをコーヒーに換算するとマグカップ3杯分になります。カフェインは主に嗜好(しこう)飲料に多く含まれています。表示されているカフェインの量をチェックし、目安量を超えないようにしましょう。
また、頭痛薬などの薬には、1錠に100〜300ミリグラムのカフェインが含まれます。サプリメントにも高濃度のカフェインが含まれる商品があります。薬やサプリメントを通じて大量摂取をしてしまうと、それだけで1日の目安量を超えることがあります。カフェイン入りの嗜好飲料を大量に飲みながらこれらを併用するのは、とても危険です。
◇麻黄との飲み合わせに注意
カフェインの摂取については、薬に含まれる他の成分との相互作用も重要です。漢方薬では、生薬の麻黄(まおう)に含まれるエフェドリンに気をつけてください。カフェインと一緒に摂取すると相乗作用で効果が高まるためです。漢方薬は副作用がないと思われがちですが、知らずに飲み合わせると脈が速くなったり、動悸がしたり、血圧が上昇したりすることがあります。麻黄は葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯などに含まれる生薬で、これらの漢方薬は風邪薬としてよく使われます。服用するときは、カフェイン入りの嗜好飲料は控えるようにしてください。また、気管支ぜんそくに使われる気管支拡張薬にもエフェドリンのような作用のものがあります。これについても、カフェインが含まれるものとの飲み合わせには注意が必要です。

頭痛薬にカフェインが、ねえ。
知らないことが一杯だぁよ。