微妙に回復

<小売業界>スーパー売上高19年ぶり増…昨年、総菜好調
毎日新聞 1月21日(木)20時36分)


小売3業界の2015年の年間売上高が21日出そろった。前年と比較しやすい既存店ベース(新規出店や閉店の影響を除く)では、百貨店が4年ぶりに前年割れになったが、スーパーは19年ぶり、コンビニエンスストアは4年ぶりに前年比でプラスに転じた。14年4月の消費増税の影響が一巡し、消費の持ち直し傾向が示された形だが、「消費の回復力は依然として弱い」との見方が多い。

◇消費の回復力なお弱く
「(物価の影響を除いた)実質賃金の増加や雇用の改善が消費を後押しした。多少値段が高くても自分に合っていると思えば買う動きも出てきた」。日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は21日の記者会見で消費動向をこう分析した。
同協会によると、主要スーパー58社の15年の全店売上高は13兆1682億円。既存店ベースでは前年比0.7%増となり、1996年以来の増加を記録した。総菜類の販売が好調で、賃金上昇に加え、ガソリン価格の下落も地方などで消費意欲を下支えしたようだ。
一方、日本フランチャイズチェーン協会によると主要コンビニ9社の15年の全店売上高は10兆1927億円となり、初めて10兆円の大台を突破。昨年末の店舗数が前年比1510店増の5万3544店で、全店売上高が前年比4.7%増になったほか、既存店ベースも0.9%増を確保した。総菜や揚げ物など調理済み食品の品ぞろえを充実させたことなどが奏功したようだ。
売上高が唯一マイナスになった百貨店業界は、暖冬で冬物の衣料品などが振るわなかったことが響いたようだ。日本百貨店協会によると、主要82社の全店売上高は6兆1742億円となり、既存店ベースで0.2%の減少。訪日外国人の増加の恩恵を受けた主要10都市の店舗が1.2%増だったのに対し、地方の店舗が3%減に落ち込んだ。
業界や地域によって売り上げの動向にばらつきが出たが、「消費回復は道半ば」との認識は共通している。ローソンの玉塚元一社長は「消費の流れが変わってきた感触はあるが、デフレマインドの払拭(ふっしょく)はまだ兆しが出始めたくらい」と強調。チェーンストア協会の井上専務理事も「金融市場の不安定化などにより、(消費者心理が)必要以上に悪い方向へ引っ張られる可能性がある」と懸念を示した。

◇◇小売業界◇
※小売業界で最も売り上げ規模が大きいのがスーパーだ。バブル経済の崩壊後、販売が低迷していたが、単身世帯や共働き世帯の増加をにらんで総菜類などに力を入れ、2011年以降、全店売上高は持ち直しつつある。ただ、衣料品や家具、家電などを幅広くそろえた総合スーパーは苦戦している。
一方、コンビニエンスストアはいれたてコーヒーの販売など新サービスに取り組み、業績、店舗網を拡大。08年には、高額商品の販売不振に苦しむ百貨店の売上高を抜いた。ただ、百貨店は株高や訪日外国人の増加などで、既存店ベースの売上高が12〜14年に3年連続で増加。15年の外国人向け免税品売上高は前年の2.6倍の1943億円に拡大した。

スーパーが、ねえ。