孤立の道

ギリシャ首相、反緊縮変えず 債権団は国民投票後まで協議拒否
ギリシャのチプラス首相は1日、国民向けにテレビ演説を行い、5日予定されている国民投票で改革案を否決するよう訴えた。首相が反緊縮の姿勢をあらためて鮮明にしたことで、国民投票前に債権団との関係を修復する見込みは消えた。
チプラス首相は30日の債権団向けの書簡で、支援プログラム延長や新規救済融資と引き換えに、改革条件の多くを受け入れる方針を伝えていた。だが首相は演説で態度を一転。ギリシャは「脅迫されている」と述べ、債権団との対決姿勢を全面に打ち出した。
ユーロ圏財務相(ユーログループ)はこの日、電話会議を開催し、チプラス首相の提案について協議した。だが会議は1時間ほどで終了。国民投票が終わるまで、再協議しない方針を決めた。
ユーログループのデイセルブルム議長(オランダ財務相)はチプラス首相の発言を受けて、事態が進展する「可能性はほとんどない」と述べた。
ロイターが入手したチプラス首相の書簡によると、首相は税制改革や年金削減などの条件の大半を受け入れる意向を示す一方、今後2年の債務返済の資金を手当てするため290億ユーロの新規融資を要請した。
経済的に厳しい状況に追い込まれている首相が、国民投票を中止か延期、または国民に承認を提言するなどの観測も一部で浮上していたが、こうした見方を打ち消した格好だ。
首相は「国民投票はユーロ圏におけるわが国の立場を問うものではない。これは定められており、誰も疑うことはできない」とし、国民投票で債権団の改革案を否決しても、欧州またはユーロ圏に対する拒絶にはならないと強調。
否決すれば、経済的に実行可能かつギリシャの国際市場への復帰につながるような改革で合意するよう、債権団への圧力を強めることができると主張した。
ただ欧州の当局者からは、ギリシャ国民投票は事実上、ユーロ圏残留の是非を問うとの指摘が相次いでおり、チプラス氏はこうした度重なる警告を振り切ったことになる。
ユーログループのデイセルブルム議長(オランダ財務相)は電話会議後、「過去の改革案を拒否するとともに、国民投票でも否決を勧めている状況では、協議を継続する理由はない」と言明。国民投票の結果が出るまで、ユーログループ、またはギリシャ当局と債権団との間でも協議は行われないとした。
チプラス首相は国民投票で改革案が承認されれば、退任する可能性を示唆しており、ユーロ圏内では国民投票前にチプラス氏と協議しても意味がないとの雰囲気が広がっている。
(ロイター 7月2日(木)1時25分)

外交交渉に使っているのだとしたら、EU追放というケースもありうるのではないか。