カシオペアの行方

北斗星」廃止で豪華寝台列車はどうなる? 
日本を代表する豪華寝台列車がまた1つ、姿を消すことが正式に決まった――。12月19日、JR各社は2015年3月のダイヤ改正を発表した。改正の目玉は新規開業路線の運行ダイヤだ。まず、東京―金沢間が開業する北陸新幹線。そして、常磐線高崎線など北関東を走る路線が東京駅に乗り入れる上野東京ラインの動向にも注目が集まった。
新規開業路線や増発ダイヤについては詳細に情報が開示される一方で、3月で廃止される列車については淡々と説明されている。大阪と札幌を結ぶ豪華寝台列車トワイライトエクスプレス」の廃止については、もともと臨時列車の扱いであること、そして5月の時点で発表されていたということもあり、今回のダイヤ改正の概要にその名前はなかった。
一方、かねてから廃止のうわさが絶えなかった「北斗星」(上野―札幌間)は、3月で定期列車としては廃止となることが決定した。北へ向かう寝台列車としては、ほかに「カシオペア」(上野―札幌間)と「はまなす」(青森―札幌間)もあるが、両者については廃止をまぬがれた。
■ 今も根強い北斗星の人気
北斗星青函トンネルが開通した1988年に運行を開始した。個室寝台を主体として、食堂車ではフルコースのディナーが提供される。後に登場するトワイライトやカシオペアなどの豪華寝台列車の先駆けともいえる。
運行開始当初は1日3往復していたが、現在は1日1往復にとどまる。とはいえ、北斗星の人気は高く、個室寝台のチケットはなかなか入手できない。その意味では、利用者減少を理由に廃止となったほかの寝台列車とは事情が異なる。
利用者が多いにもかかわらず廃止となる理由はいくつかある。
第1の理由は、車両の老朽化である。運行開始から四半世紀を経ているだけあって、客車内では確かに傷みが目に付く。古びた感じも否めない。
もちろん、運行にかかわる部分は定期的にメンテナンスしており、安全に関しては万全の体制で臨んでいるが、新型の車両と比べるとその費用は安くはないだろう。
■ 北海道新幹線の開業が逆風に
第2の理由は、2016年3月に北海道新幹線開業を控え、その試験運行が本格化していることだ。青函トンネルは新幹線と在来線の両方が使用するが、それぞれの使用する電圧が異なるため、新幹線が運行する場合、電圧は在来線基準から新幹線基準へと変更される。
そうした事情から、試験運行を行う日には、北斗星は運休となっている。開業まで1年を切ると、運行試験はより頻繁に行われる。運休日が大幅に増えることは避けられないのだ。
なお、在来線は新幹線基準の電圧では走れないため、JR貨物は新幹線基準に対応した特殊な機関車を約20両導入して、新幹線基準の電圧でも走れるようにした。では北斗星も新型機関車を導入すればよいかというと、そう簡単にはいかない。
青函トンネルを含む津軽海峡線JR北海道の管轄であり、北斗星のためだけに新型機関車を導入するだけの余裕は同社にはないとみられる。機関車を導入するだけでは済まず、保守設備など付随的なコストもかかるからだ。JR貨物から機関車を借りるという方法もあるだろうが、JR貨物の機関車導入費用は国からの補助金で賄われているだけに、目的外の使用がはたして認められるか不透明だ。
第3の理由は、JR貨物との関係である。新幹線はレールなどの保守作業を行う深夜0時から朝6時は運行できない取り決めになっているが、深夜時間帯はJR貨物の貨物列車が青函トンネル内をひっきりなしに走行している。貨物列車は北海道と本州を結ぶ物流の最重要手段だけに、廃止するわけにはいかない。そこで、特例として保守時間帯を圧縮し、0〜6時の一部時間帯に貨物列車を走らせる案が検討されている。そこに北斗星が割って入るのは容易ではないだろう。
これら3つの理由はトワイライトエクスプレス廃止の理由とも重なる。その意味で、5月の段階から北斗星の廃止も予想されていた。
今後の焦点は、北斗星よりも豪華なカシオペアの動向である。カシオペアの運行開始は1999年で、車両も北斗星ほどは古くない。また、毎日運行する北斗星と違い、週3往復しかしないことも、来年3月での廃止をまぬがれた理由とみられる。
だが、2016年度以降も存続するかどうかは流動的だ。車両が北斗星ほど古くないとはいっても、運行から17年が経過しており、「豪華列車としての料金を払っていただいても、そのグレードを保てるかどうか」とJR東日本の深澤祐二副社長は懸念する。
■ カシオペアに立ちはだかる壁
念頭にあるのは、2017年春にも投入する豪華寝台列車トランスイート四季島」の存在だ。四季島はJR東日本が自ら「フラッグシップ列車」と位置づける、社運を懸けた列車である。
JR九州の「ななつ星in九州」を皮切りに、JR東日本の四季島のほかにも、JR西日本が豪華寝台列車の導入を打ち出している。これらは豪華客船になぞらえて、「クルーズトレイン」と呼ばれる。移動手段としての鉄道ではなく、豪華客船のように移動時間そのものを楽しむのがコンセプトだ。
目的地へ着いたら下車しておしまいというのではなく、途中駅で下車して観光を楽しみながら、周遊して出発地に戻ってくる。東日本エリアだけでなく、北陸などほかのJRへの乗り入れも検討されている。内装もかなり趣向を凝らしたものとなる。現在、同社のホームページ上で公開されているCG画像を見るかぎりでは、カシオペアを凌駕するグレードになるのは間違いない。
はたして、JR東日本は四季島とカシオペアの両方を豪華寝台列車として走らせ続けるのか。カシオペア存続に立ちはだかるのは“内なる壁”のようだ。
東洋経済オンライン 12月21日(日)4時30分)

時間の問題ではあるのだが、24系25型の使用年数と、カイオペア用の26系だったっけな?
まだ使えるでしょうー、17年だったら・・・とは思う。