デザート戦略

太らないデザート、ローソンの「引き算戦略」
独自スイーツブランド「UchiCaféSWEETS」など、女性目線の商品展開に力を入れているローソン。4月発売のフローズンドリンク「ウチカフェフラッペ」は2カ月間の累計販売数が400万個以上、昨年対比で6割増しと大ブレイクしている。
6月3日には、季節限定デザートシリーズ「UchiCaféSWEETS 2014年夏コレクション」(計5品、各395円)を発売した。
このシリーズは2011年4月にスタートした人気スイーツで、期間や数量を限定することで、希少な素材や手間をかけた製法を取り入れたり、新しい食べ方を提案するもの。同シリーズで好評だったスイーツが定番商品になることも多い。
今年の夏の第1弾「甘夏のくりぬきゼリー」は6月16日で販売終了となったが、熊本県産甘夏の皮を器として使用したことが受け、好調な売れ行きだったという。「有名なフルーツ店で供しているようなデザートをイメージしたが、『コンビニにこのようなデザートがあるのを見てびっくりした』との反響も頂いている」(商品・物流本部ベーカリー・デザート部の鈴木嘉之部長)。
■ どのデザートも170キロカロリー以下
現在販売中の商品は「トマトとチーズのスイーツ」。以後8月11日まで「マンゴーとアーモンドミルクのスイーツ」「すいかの杏仁豆腐」「メロンのとろけるプリン」と、それぞれ2週間ずつの限定商品が登場する。
今回のコレクションの大きな特徴は、どのデザートも170キロカロリー以下に抑えている点だ。露出が高くなる季節に向け、「甘い物を食べたいがスタイルは維持したい」という、女性の“いいとこどり”願望に着目した。
また、スイーツの主役となるフルーツには三浦半島産味西瓜、夕張メロンなど、限られた産地でつくられる希少なものを使っている。フルーツを選ぶ際のこだわりは、素材そのものの甘み。たとえば、デザートとしては意外な感じがするトマトのスイーツにも、甘みの強いアメーラトマトという品種を使っている。「素材そのものの味を活かす“引き算”のおいしさ」(鈴木部長)を追求しているためだ。こうした工夫がローカロリーの、いわば「太らないデザート」を実現している。 
そもそも、UchiCaféSWEETSはどのように生まれたのだろうか。
UchiCaféSWEETSの誕生は、2009年。コンビニ利用率の低い女性をターゲットとし、同業のコンビニではなく、デパートやパティスリーのお客を取り入れていくのが狙いだった。
「『なぜコンビニのスイーツは女性に売れないか』ということから出発した。男性がスイーツを買う際は基本的に『ついで買い』。質より量を選ぶし、気に入ったら同じものを求め続けるという嗜好傾向がある。魅力的なスイーツを開発するためには、女性ターゲットへとスイッチする必要があった」(鈴木部長)。
■ 女性がスイーツを購入する動機に着目
結果、ブランド立ち上げ後1年で、女性の利用率は約5%上昇、オリジナルスイーツの売り上げは年間平均で約6割伸長した。スイーツに使用する生クリームを抜本的に改革するなど、素材にこだわった商品を展開したほか、「いつでもおウチがカフェになる」をコンセプトに、商品づくりに「情緒性」を取り入れた。
つまり、女性がスイーツを購入する「動機」に着目したのだ。確かに、「今日は仕事で失敗したから、元気を出したい」「がんばったごほうびに甘いものを」などを理由にしてスイーツを購入する女性は多い。スイーツに、楽しさや驚き、癒しといった付加価値を求めるのだ。
そんな「情緒へのこだわり」を示す例が、スイーツの容器だ。お皿に移して食べることを想定し、ケーキなどを包むシートの四隅をつまみやすい形状・固さに成形。容器のままより、気に入りのおしゃれな器で食べたほうが、ちょっとした「非日常感」が演出できる。まさに、自宅がカフェになるわけだ。
また、1日23万個売れたという「厚焼きパンケーキ」では、メープルソースとホイップクリームを別添えし、自分で絞る形としたことがヒットの起爆剤となった。
ブランドの商品開発を支えるのは、市場調査・仕入れ部隊・女性の多い開発チームの三本柱だ。まず市場調査では、新しいものに対する感度の高い20〜30代女性を意識。原宿など街中で声を拾ったり、マスコミ等にも広くアンテナを張る。「潜在から顕在へと移行直前のニーズをすくいとるのがコツ」(鈴木部長)だという。またイタリア、ハワイなどスイーツの「本場」に出かけて味を研究することも多い。
さらに、商品開発でもっとも時間がかかるのが素材探しと調達だが、ローソンでは専門の「原材料仕入部」が設置されており、各地の生産者とのパイプを築いている。全国1万1000店という規模を背景に、上質な食材を安く仕入れられることも強みだ。たとえば夏コレクションで発売予定の「メロンのこだわりプリン」では、今年の初値で2玉250万円の高値がついた「夕張メロン」を使用している。
■ 次はアメリカンスイーツを投入
商品開発チームは男女比が10:6と女性が多く、開発会議でも女性の意見が積極的に取り入れられる。6月10日に発売した「プレミアム バラのロールケーキ」はその好例だ。「商品を報告する会議では、『なんでバラをスイーツに? 』と、男性社員は驚いていた。もっとも、バラのスイーツと言えば洋菓子の本場パリでは伝統的なものですが」(鈴木部長)。
商品開発は常に新しいものへの挑戦。次はニューヨークスイーツの人気に着目し、「アメリカンスイーツの代表選手ともいえる、あるケーキを発売予定」(鈴木部長)という
東洋経済オンライン  6月22日(日)6時0分)

コンビニというより、ストアブランドになってきてる感が・・・。