フェイスブックのほうがいやだ

焦点:問われるツイッターの投資価値、ユーザー離れがIPOに影
11月半ばまでにニューヨーク証券取引所(NYSE)に株式を上場する見込みの米ツイッター。昨年のフェイスブック<FB.O>以来の大型新規株式公開(IPO)として注目を集めているが、専門家の間からは「万人受け」するサービスではないという指摘も聞かれる。
ラスベガスに住む元教師のドナルド・ホバッセさんは、娘に言われて約1年前にツイッターのアカウントを取得した。数回使ってみたところ、多くの有名人がアカウントを持っていることは分かったが、自分の友人に利用者は少なく、次第に興味を失ったという。
「(ツイッターの)利点が全く分からなかった」と語るホバッセさん。しかし、同じく交流サイト(SNS)であるフェイスブックは、友人の近況を確認するため毎日チェックしている。
ホバッセさんのようなユーザーの「ツイッター離れ」は、同社への投資リスクを浮き彫りにしている。
ロイターとイプソスが10月11─18日に実施したオンライン調査によると、ツイッターのアカウントを取得した1067人のうち、同サービスを使っていないとの回答は全体の36%に上り、アカウントを閉鎖したとの回答は7%だった。
対照的に、フェイスブックのユーザー2449人のうち、同サービスを利用していないとの回答は7%にとどまり、アカウントを閉鎖したと答えたのは5%だった。
ツイッターを使わなくなった人たちは、「友人が使っていない」「使い方が分からない」などを理由として挙げている。
こうした「ツイッター離れ」は、過去何年も同社を悩ませてきた問題を明確に示している。ローマ法王からオバマ米大統領まで、多くの著名人がツイッターを利用している一方、フェイスブックのような「真の主流」にはまだなっていないことだ。
ツイッターが広告主を獲得して利益を上げていくには、同サービスが生活に欠かせないと幅広いユーザー層に思わせることが鍵となる。
ツイッターは、1カ月に最低1回は利用する「アクティブユーザー」の数について、第3・四半期(9月30日終了)は2億3200万人となり、第2・四半期から6.1%増加したと発表した。ただアクティブユーザーの前期比での増加率は、2012年6月以来11%を超えていない。
フェイスブックが同程度のサイズだった頃は、アクティブユーザーの前期比増加率は常に20%を超えていた。それが12%に下がったのは、ユーザー数が5億人近くに達してからだ。
ハイテク関連投資を専門とするヘッジファンド、アルファワン・キャピタル・パートナーズのダン・ナイルズ最高投資責任者(CIO)は、「ツイッターは素晴らしいサービスだ。成長の余地はまだある」と評価。その上で「ただフェイスブックと比べればチャンスは限られており、それを適切に見極めなくてはならない」と述べた。
<万人受けはせず>
ツイッターのディック・コストロ最高経営責任者(CEO)は、「世界のあらゆるコミュニケーションに組み込まれること」を目指すとしているが、同社はIPOの目論見書で「新規ユーザーは仕組みを複雑と感じる可能性がある」と認めている。
投稿の文字数を140文字以内にとどめ、周辺サービスの大量導入を避けるなど、ツイッターは自社のルーツに忠実であり続けることに誇りを持っている。また当初から、ユーザーがどう利用すべきかなどは明確に示さず、使い方はユーザーの手で自然発生的に形成されることを望んできた。
しかしその結果、使い方に戸惑う新規ユーザーが存在することも確かだ。トピックごとにツイートをまとめる「ハッシュタグ」や、リツイート(転載)を意味する「RT」など基本機能を短縮した呼び方などは、ネットに不慣れなユーザーには敷居が高いとの不満も聞こえる。
ヤフー<YHOO.O>の元幹部でアップル<AAPL.O>ではデザイナーだったラリー・コーネット氏は、「(ツイッターが)より多くのユーザーに日常的に利用してもらいたいのであれば、使いやすさを改善する必要がある」と述べた。同氏は現在、製品戦略やデザインのコンサルティング会社を経営している。
ロイターとイプソスの調査では、ツイッターを利用していない2217人のうち、ツイッターを「面白そう」もしくは「便利そう」と感じていない人は38%に上った。「利用目的が分からない」は13%だった。
ピボタル・リサーチ・グループのアナリスト、ブライアン・ウィーザー氏はツイッターの現在のユーザー数について、投資家が同社に価値を見出すには十分な規模に既に達していると指摘。その上で、ツイッターが万人受けするサービスではないという事実も投資家は受け入れるべきだと述べた。
(Alexei Oreskovic記者、翻訳:本田ももこ、編集:宮井伸明)
(ロイター 10月23日(水)13時6分)

日本じゃウケましたけど。。。