青息吐息プロジェクト

薄れる存在感?  スカイマークの利益が半減
安い運賃を武器に、日本航空 <9201> やANAホールディングス <9202> といった大手航空会社の牙城に挑んできた“かつての新興勢力”のスカイマーク <9204> が、国内の航空業界で新たに台頭してきた格安航空会社(LCC)に押されている。 スカイマークは10月17日、今年度(2014年度3月期)業績見通しを下方修正した。売上高見通しは911億円(前期比6%増)と増収ながらも、従来から40億円下げた。さらに苦しいのは利益面。本業の儲けを示す営業利益は23億円と前期(46億円)から半減する見込みで、従来見通しからは35億円も下げ、当初の増益計画を断念した。
■ 苦戦の理由は2つ
なぜ苦戦しているのか。その理由は、2つに分解することができる。「LCCとの競合激化」と「コスト増大」だ。
まずは、競合激化。成田空港発着で新千歳(北海道)や福岡、沖縄などに向かう路線が、同じ成田を発着し、低価格を特徴にするジェットスター・ジャパンエアアジア・ジャパン(11月から「バニラ・エア」に社名変更)といったLCCに侵食されている。ドル箱の羽田-福岡線についても、スターフライヤーなどとの激しい競争に押され、旅客を奪われている。
「赤字をまるで気にしていないようだ」--。スカイマーク幹部は、LCCの価格攻勢に恨み節を述べる。
関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションをはじめとするLCC3社が就航を開始したのは2012年のこと。その初年度決算を見ると、成田発着のジェットスター・ジャパンは90億円の営業赤字(2013年6月期官報より)、エアアジア・ジャパンも33億円の営業赤字(2013年3月期官報より)と、いずれも大幅な赤字を計上している。
もともと成田空港は東京都心から遠く、原則として夜23時以降に発着できない(一部は条件付きで24時まで緩和)という欠点がある。そのため羽田発着の航空路線よりも不利であり、そのことがLCC2社の業績が赤字先行となっている要因の一つであろう。
スカイマークにとってみると、低価格戦略を武器とするLCC2社の参入が、成田線の旅客減と採算の悪化の両面を招くという構図になっている。
■ 燃料費の負担も増加
加えてスカイマークの重しとなっているのが、コストの増大だ。まずは燃料費。原油価格の高騰に加えて、前年度との比較では為替が円安に振れていることで調達コストが上がっている。原則として為替予約などによる為替変動リスクへのヘッジをかけていないことも、スカイマークにとっては痛い。
為替や原油相場の動向は流動的な側面があるものの、LCCとの競争という構造問題を鑑みると、スカイマークにとって国内線の競争環境は当面厳しい局面が予想される。
ただ、苦境を脱するための手は打っている。欧州エアバス社の超大型旅客機「A380」の導入により、2014年秋に参入をもくろむ国際線プロジェクトだ。
スカイマークは2010年11月、1機約400億円(4億0390万ドル、現在のカタログ価格)にもおよぶA380を6機購入することを明らかにしている。2014年11月から、成田-ニューヨーク間で飛ばす計画を進めている。
今年度は、この国際線準備に伴う乗員増、フライトシミュレーターの導入などによる事業費増も、先行コストとして利益を圧迫している。その代わりに狙うのが来年度からの起死回生である。
■ エコノミーを設定せず
A380は、2階建ての超大型機でJALANAの大手2社でさえ、1機も発注していない“怪物”だ。
スカイマークは、A380の成田-ニューヨーク線について、ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスで座席を構成し、エコノミークラスを設定しない方針で、この場合の金額は、ビジネスで往復40万円弱、プレミアムエコノミーで同20万〜25万円と、大手の半額程度を想定しているとされる。
専有面積と運賃の相関から、採算性の低いエコノミーを排除することで差別化するとともに、利潤を得るのがスカイマークの戦略である。
この計画は発表当初から、航空業界関係者の一部で「無謀」と指摘されているが、今のスカイマークにとっては、突き進むしかないプロジェクトになってきた。
大手とLCCに挟まれたスカイマーク。起死回生を狙うA380導入による国際線への進出が、ますます浮沈のカギを握っている。
東洋経済オンライン 10月21日(月)6時5分)

まあ、無謀でしょうね。
羽田−名古屋線という悪しき実例もありますし、mixiの凋落とどこか似ている。