当のドコモは否定している

<iPhone>ドコモ、販売へ…挽回へ奥の手
国内の携帯電話会社で米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)、iPhone(アイフォーン)を取り扱ってこなかったNTTドコモは、今秋から販売する方針を固めた。アイフォーンを扱うKDDI(au)やソフトバンクへの顧客流出に歯止めをかけ、挽回するのが狙い。業界最大手のドコモが販売に踏み切ることで顧客獲得競争の激化が予想される。一方、ドコモに端末を提供してきた国内メーカーへの影響は避けられず、業界再編が進む可能性もある。
◇アップル、サムスン追い…両社の思惑が一致
アップルは10日(米国時間)に米国本社で発表会を開き、アイフォーン5の後継機を発表する見通し。その場でドコモへの供給も明らかにするとみられ、ドコモの発売は早ければ20日になる見通しだ。ドコモのアイフォーン導入は、KDDIソフトバンクへの顧客流出に歯止めをかけたいドコモと、激しい競争が続く世界のスマホ市場で、減少が続くシェアの挽回を目指すアップルの思惑が一致したためだ。
NTTドコモは2008年ごろから、アップルと交渉していたものの、端末価格や販売数のノルマに決定権を求めたアップルと条件が合わなかった。しかし、アイフォーンをソフトバンクが08年7月、KDDIも11年10月に発売すると、ドコモの契約者が「番号継続制度(MNP)」を利用して、ソフトバンクなどに流出。ドコモのシェアは今年3月末、5割を割った。
ドコモは「アイフォーン人気の前では、顧客離れを止めるのが難しい」(幹部)と判断した。ただ、アイフォーンを目的に、ドコモから他社に移った利用者を取り返せるかどうかは分からない。また、アイフォーン導入で、ドコモが音楽などを提供する独自サイト「dマーケット」で収益確保を進めてきた戦略が狂う可能性もある。アップルも独自の音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」をアイフォーンなどで提供しているためだ。
一方、アイフォーンで、スマホ市場を作り上げたアップルだが、世界市場では安価な端末で急成長した韓国サムスン電子に水をあけられている。アップルは10日の発表会で、廉価版も発表するとみられ、新興国などでのシェア拡大を狙う。
ただ、日本ではアップルのブランド力は強く、スマホ市場でのシェアは39.6%と圧倒的。約6000万件の契約数を誇るドコモから新モデルを発売することができれば、シェア拡大につながるのは確実だ。
ドコモがアイフォーンを導入すれば、国内大手携帯電話3社すべてが扱うことになり、端末以外のサービス面での競争が激しくなりそうだ。「料金や割引競争がさらに加速するはず」(ソフトバンク幹部)との見方が広がる一方で、スマホ利用者の増加で通信量が増大する中、つながりやすさや通信障害の少なさも重視されることになりそうだ。
KDDIソフトバンク
KDDIソフトバンクは、アイフォーンを活用してドコモから乗り換える利用者の獲得を競い合ってきた。2年契約を前提に、月額基本使用料を割り引いたり、アイフォーン5が実質無料になったりする契約もあった。また、KDDIソフトバンクの間では、2年契約の満期前に乗り換えた場合に発生する違約金を、乗り換え先の販売店が負担するところまで競争は激化していた。
一方、ドコモの加藤薫社長はこれまで、アイフォーンを取り扱うことになっても「総販売台数の2〜3割」に抑えたいとの考えを示しており、アイフォーン導入は顧客流出を防ぐための品ぞろえとしての位置づけも強い。KDDIソフトバンクの2社に比べて、割引には消極的だ。
また、KDDI田中孝司社長は2日、記者団に「ドコモからのアイフォーン発売も視野に入れて準備を進めている」と語った。ケーブルテレビとのセットで料金を割り引くサービスや、初心者向けの有料サポートも強化する。また「競争の軸は料金プランだけでなく、通信ネットワーク(の安定性)などへと拡大する」として、高速通信「LTE」の対象地域拡大なども進めている。
ソフトバンクも、つながりやすさや通信障害の少なさをアピールしていく構えだ。
◇国内端末各社、再編も…事業環境さらに厳しく
NTTドコモのアイフォーン導入は、ドコモにスマホを供給してきた国内端末メーカーにも影響を与えそうだ。ドコモ内でアイフォーンへの機種変更が進み、国内勢のシェアのさらなる低下も予想される。一部メーカーがスマホ事業撤退を打ち出すなど国内勢は苦境に立たされており、業界再編が加速する可能性がある。
ドコモは今年5月から顧客流出を食い止めようと、ソニーと韓国サムスン電子の2機種を大幅に割り引く「ツートップ戦略」に打って出た。ただ、戦略機種から外れたメーカーは販売不振が深刻化。関係性の深さから「ドコモファミリー」と呼ばれたNECが収益悪化で7月末にスマホ事業から撤退した。パナソニックも個人向けスマホ事業からの撤退を決めた。
ただ、ドコモはこの冬の商戦でソニーに加え、富士通とシャープのスマホを戦略機種に選定する方向で調整中だ。特に今年4〜6月期に携帯電話事業が100億円超の営業赤字に陥った富士通や、経営再建中のシャープにとって戦略機種に選ばれるのは業績回復への近道だ。
しかし、アイフォーン導入ともなれば、今後の販売戦略の見直しにもつながりかねない。冬商戦への期待も大きかっただけに「戦略機種から外れればマイナス影響は計り知れない」(電機幹部)状況で、国内勢をめぐる事業環境は厳しさを増しそうだ。
番号継続制度(MNP)◇
契約している携帯電話会社を変更しても、同じ電話番号を引き継げる制度で2006年10月に始まった。メールアドレスや料金プランなどは引き継げない。希望者は利用中の携帯会社に申し込み、変更先の携帯会社の店舗で手続きを完了する。番号ポータビリティー制度とも呼ばれる。
利用者は番号が変わることへの抵抗感が強く、制度開始前は乗り換えが進まず、業界トップのNTTドコモの1強状態が続いた。しかし、ソフトバンクが国内でアイフォーンを販売した08年以降、ドコモの転出超過は累計で約350万件に達した。MNPが携帯各社の競争激化の引き金を引いた形だ。各社の料金の割引制度なども利用者の乗り換えを後押ししている。
毎日新聞 9月6日(金)22時5分)

売りたければ売ってくれ・・・って感じ?
自分は買わないですけど。