大阪バブル

高級ホテル、供給過剰に陥らないの? 大阪進出ラッシュの皮算用
大阪市内に外資系ホテルが続々と進出している。6月にJR大阪駅北側の複合ビル群「グランフロント大阪」(北区)に英国系高級ホテル「インターコンチネンタルホテル大阪」が開業するなど高級ホテルの進出が相次ぐ。新規開業ホテルも迎え撃つ老舗ホテルも「東京に比べて1泊4万円台からの超高級ホテルは少なかった」と強気の構えだ。グランフロントに新たな国際会議場が誕生したことなどで、「国内外のVIPがより大阪に集まりやすくなる」との皮算用もある。本当に供給過剰に陥らないのだろうか…。
大阪市内では、インターコンチネンタルのほか、高さ日本一のビル「あべのハルカス」(阿倍野区)には平成26年春、「大阪マリオット都ホテル」がオープン。朝日新聞社も、29年完成予定のツインタワー(北区)に高級ホテルを誘致する方針を打ち出しており、まさに外資系ホテルの進出ラッシュだ。大阪ではザ・リッツ・カールトン大阪(北区)やセントレジスホテル大阪(中央区)などの外資系の超高級ホテルが既に開業しており、顧客争奪戦は必至とみられる。
だが、ホテルの専門家は異論を唱える。「大阪市内でインターコンチネンタルクラスの超高級ホテルは、リッツ・カールトンセントレジスしかなかった。観光シーズンや国際会議の開幕中は客室が足りなかった」。流通科学大の土田和彦特任教授は、こう解説する。そのうえで、「観光シーズンには富裕層の需要が増え、国際会議を誘致できればオフシーズンもVIP需要が膨らむ」と分析する。
5月17日、グランフロント大阪の地下に、最大3000人収容の会議場がオープンした。約1750人を収容できるホールや9つの会議室を備える。運営会社は、JR大阪駅に直結する利便性の高さを武器に学術会議やセミナーなどを誘致する。大阪市には、インテックス大阪住之江区)や大阪国際会議場(北区)などのコンベンション施設が既にあるが、大阪駅関西国際空港から遠いことが弱点だった。
開業に先立って催された開業式典では、近畿財務局の池田篤彦局長が「交通の便が良い会議場ができることは、関西にとって大きな力になる」と期待。土田特任教授も「グランフロントの立地は圧倒的。もっともっとコンベンションを誘致できる」と意気込む。オフシーズンの“特効薬”として超高級ホテル各社が期待する国際会議。だが、関西の「地盤沈下」が叫ばれる中、本当にハイレベルの国際会議を誘致できるのか。
大阪は奈良、京都という世界的に有名な古都に近く、「東京より大阪の国際会議を喜ぶ外国人も多い」(関係者)との声もある。昨年10〜11月、インテックス大阪で開催された世界最大級の国際金融会議「Sibos(サイボス)」には、約6200人の金融関係者が参加した。各国財務相中央銀行首脳らの多くは、安全面への配慮がしっかりし、外国語をしゃべれるスタッフを抱える高級ホテルに宿泊した。会場に近いハイアットリージェンシー大阪(住之江区)を筆頭に、スイスホテル南海大阪(中央区)やホテル日航大阪(同)などは会期中、満室に近い稼働率となるなど特需に沸き、経済効果は「100億円規模に達した」との声もある。
大阪国際会議場では、7月に3千人、来年3月には8千人、5月には1万人規模の学会がそれぞれ計画されている。日本政府観光局(JNTO)のコンベンション誘致担当者は「日本のホテルは数百程度の客室数が一般的。1つのホテルでは会議の参加者すべてをカバーできず、逆にホテルの数が増えれば、国際会議を誘致しやすくなる」と分析する。事実、シンガポールマカオでは、ホテルの増加に合わせて国際会議も増えている。
アベノミクスによる株価高騰で国内の百貨店では最近、高額商品の売れ行きが伸びていた。保有株式の値上がりで資産を膨らませた富裕層が財布のひもを緩めたからだ。だが、日経平均株価は23日になって暴落。中国の製造業の景況感を示す指数が悪化したのをきっかけに売られ、終値は前日比1100円超もダウンした。国内外で消費者心理の冷え込みが強まれば、超高級ホテルの需要も冷え込んでしまう可能性はゼロではない。大阪の超高級ホテルは開業早々、“難局”に立たされそうだ。
産経新聞 5月25日(土)12時15分)

都ホテル外資にカウントするかどうかはさておき、ちょっとねぇ、やっぱ多い気がするんだよねぇ。