聞きなれないですが

コーチング」で従業員も前向きに 対話型解決、組織に浸透
組織改革や人材育成の手段として、対話により問題解決を図る「コーチング」を導入する動きが企業、医療機関自治体などに広がっている。「失敗するプロジェクトの多くは対話不足」といわれるように、仕事の基本であるチームワークの大切さに改めて気付いたからだ。スポーツの世界では一般的なコーチだが、さまざまな分野で組織を活性化させる手段として注目を集めつつある。
「組織が変わるのか半信半疑だったが、『最高の病院』に向けて1年目は70点から80点に上がった。今後も続けて95点、100点を目指す」。名古屋第二赤十字病院は3月1日、昨年5月にスタートしたコーチングの第1期最終成果発表会を開き、石川清院長が参加者にねぎらいの声をかけた。
病院は医師、薬剤師、看護師、技師と職種が多く、それぞれがプロ意識の持ち主。上意下達の縦社会に加え、職種間の壁が厚い。このため、対話不足による医療トラブルを回避したいというのが病院の本音だ。
同病院は、この不安を解消するためコーチングを導入。コンサルタントのように「こうしたほうがいい」と提案するのではなく、相手の話を聞きながら目標を明確に導き出し、能力を発揮させるのがコーチングだ。
各職種からリーダー25人がコーチング手法を学びながら、部下らと対話を繰り返した。あるコーチは「自分で仕事を抱えて黙々とこなすタイプだったが、後輩の能力を見極めて仕事を分配できるようになった」と自らの進化を話した。その上で、「後輩も任されてうれしいのでモチベーションが上がる。組織の成長にとって大きい」と評価する。
こうして「対話がある職場」環境が生まれ、やりがいを持って仕事に励む職員が増えた。飲み会も復活、看護師の離職率も下がった。患者からも「対応が変わった」との声が上がった。ES(従業員満足)向上が患者への最高の医療サービス提供という形でCS(顧客満足)向上につながりつつある。
コーチングを学ぶと、リーダーシップを高められ、部下の育成などに役立つことからコーチ資格を取る人も多い。最も代表的なコーチ資格とされる生涯学習開発財団の認定資格取得者は5000人を超えた。
お役所仕事から脱却し「市民の最良のパートナー」となるため、12年5月に導入したのが小田原市役所(神奈川県)。
風通しの悪さ、指示待ち、縦割り意識といった組織風土を根っこから変えるためだが「会話が増えて雰囲気が良くなり、業務ロスが減った」「前向きに業務に取り組むようになった」など変化を実感する参加者が多い。3年かけて組織全体にコーチングを浸透させる方針だ。
「上意下達の軍隊調で、ESの発想がなかった」。村田製作所コーチングに関わった林幹生課長は導入前の組織についてこう振り返る。
同社は、2000年代初めのITバブル崩壊で落ち込んだ業績の回復が同業他社より遅れていた。調べてみると「殿様商売」「顧客から好感を持たれていない」ことが分かり、CS重視にかじを切ることにした。同時に、上意下達による指示待ち型の社風を打破するため、コーチングを取り入れた。
「CSもESも大切にする」意識改革をまず、経営陣に求めた。その効果を確認して、「部下の力を引き出す」(林課長)幹部と、主体性を持って行動できる社員の育成に11年から組織的に取り組み出した。
そのコーチを指南するコーチング専門会社コーチ・エィ(東京都千代田区)は、プロコーチ(社員)が企業などに出向き、組織改革を実現できるリーダー育成に取り組む。同社の伊藤守会長は「コーチは、相手が考えてこなかったことに視点を向けさせる。そのために質問し気づかせる。決して教えない」と手法を説く。
村田製作所など十数の企業・団体を受け持つ長田祐典執行役員は「それぞれに脈々と流れる組織風土があり、それを変えるにはストレスがかかる。コーチは対話を繰り返しながら、自発的に行動するメカニズムを植え付けるだけ」と話す。
高度成長期は米国にビジネスのヒントがあり、キャッチアップして展開すればよかった。しかし今は正解がない時代。だから「主体性を持って取り組むコーチングは組織力最大化の武器になる」と、村田製作所の林課長は効果を認める。
SankeiBiz 4月18日(木)8時15分)

「飲みニケーション」でしか対話を図れない会社はだめだ、みたいなことをどっかで読んだ記憶がありますが、要は風通しのいい職場ってことよね。