原点にもどれ

<大学生/就活>ロート製薬、あえて脱・ネット 「思い」持つ学生と本音で対話
今や就職活動と言えばインターネット。企業へのアプローチは「ネットから」が主流になっている。しかし、ロート製薬(本社・大阪市)は就職情報サイトによる募集をやめ、現在の大学3年生ら14年度採用からは原則として直接会った学生がエントリーシート(ES)を提出する方式に変えた。ネットに頼る就活では、企業も学生側も、お互いのことがよく分からないままになるとの指摘が強い。採用方法の模索が始まっている。
◇とりあえず、でなく
「『とりあえず』を止(や)める」
同社のサイトで、新卒採用情報のページを開くと、大きな文字が目に飛び込んでくる。
同社は、11年度採用から就職情報サイトでの募集をやめた。その前年まで、学生のエントリーは2万〜3万人にも上った。当然、全員に会えるはずがなく、面接できるのは1000人以下だ。一方、6000〜7000人程度を対象に説明会の案内をしても、参加率は5〜6割程度にとどまっていた。
「会えば魅力がある人か分かるのに、それまでに人数を絞らなければならない。ロートに思いを持った人だけに会う方法はないだろうか」。そう考え、新しい採用の仕組みを検討したと、人事総務部の矢倉芳夫マネジャーはいう。
そこで、応募を電話で受け付けるように変えた。仲間以外と電話応対の経験がほとんどない学生が、企業に初めての電話をするには、何らかの考えを固めてから。あえて“ハードル”を設けたわけだ。応募者は当初、800人程度に激減。最初の電話でも、サイト上に記した同社のメッセージをどう思うかなど、簡単なやりとりから始めた。
◇思考停止、打ち破れ
14年度採用はさらに、方法を変更した。10月末から11月にかけて、社員と学生が働く意義を語り合う「仕事対談」を開催。12〜2月には、関西や首都圏を中心に全国の大学約30校で学内セミナーに参加し、直接会った学生からESの提出を受けられるようにした。セミナーを開かない大学の学生からは郵送でESを受け付け、14年度分は終了した。
セミナーなどでの説明は「できるだけ本音で話す」ことを心掛けた。例えば、同社開発のスキンケア商品で100億円ブランドに成長した「肌研(ハダラボ)」を取り上げたこともある。「高級感も売り物の化粧品では、詰め替えできる商品など常識破りだった」と、他社が諦めるようなアイデアを生かすものづくりの大切さを話した。学生からも「どのような仕事をしているのかが分かった」など好評だった。
矢倉マネジャーは「ネットは悪ではないが、企業側は数を集めて安心し、学生側はどこにでも通じる志望動機を書いたESを大量に送る。思考停止状態からミスマッチが生まれていないか。お互いの相性確認をするのに、対話する努力は欠かせない」と話している。
毎日新聞 2月24日(日)13時49分)

企業側の本気度を感じますね。
こういうところって、結構大事だと思うのですよ。