マイクロソフトの意地

マイクロソフトタブレットiPadをしのぐか?
マイクロソフトが発表した独自のタブレット端末「サーフェス」。そこには1つの究極の目標があった。市場で優位を誇る米アップルのタブレット端末「iPad」をしのぐという目標だ。
アップルはこれまで、機能で勝負しようとした競合各社のタブレットを退けてきた。グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末など多くのタブレット端末は、米アマゾンの「キンドル」など一部のものを除き、iPadほどの大きな支持を得るには至っていない。
マイクロソフトが過去に開発した、米アップルのiPodに似た携帯音楽プレーヤー「Zune」も失敗に終わっている。
しかしタブレット端末の投入を急いだ他社に対し、マイクロソフトは今回、時間をかけてタブレット参入に取り組んだ。その姿勢には、今度こそ成功しようとの決意がうかがえる。
サーフェスはまだ値段も発売日も公式に発表されていない。アプリに関する情報もほとんどない。だがマイクロソフトが18日に披露した5つの機能を見る限り、サーフェスiPadより優れている可能性はある。以下にその機能を紹介する。
・キーボード
iPadなどタッチスクリーン式端末のキーボードに苛立ちを覚えるユーザーは多い。通常のキーボードと同じスピードで文章を書くことは不可能だと、多くのユーザーが感じている。サード・パーティ製のキーボードを取り付けることもできるが、それでは見た目に影響しかねない。
サーフェスのカバーは一部がキーボードとなっていて、圧力感知型のキーボードを備える「タッチカバー」と、従来型に近いキーボードを備える「タイプカバー」の2種類がある。厚さは前者が3ミリ、後者が5ミリ。いずれもiPad向けに提供されている多くのキーボードより薄くてスリムだ。色も黒、ピンク、赤、青などさまざまな選択肢がある。
情報サイト「スレート」のコラムニストは「このキーボードはうまく機能すれば、サーフェスの決定的な魅力になりそうだ」と評価している。
・サイズ
アップルのコンパクトでスタイリッシュなタブレットに比べると、競合製品の多くは重そうに見える。しかし18日のデモを見る限り、サーフェスはその例外となりそうだ。
サーフェスの「Window RT」モデルの厚さ(9.3ミリ)は、iPad(9.4ミリ)よりも1ミリ薄い。「Window 8 Pro」モデルは13.5ミリ。圧力感知型のキーボードを内蔵した「タッチカバー」の厚さは3ミリだ。
重量面ではRTモデルはiPadとほぼ同じで、Proモデルは約900グラムだ。
画面は10.6インチとiPadより大きい。マイクロソフトによると、これは映画の画面に合わせたサイズだという。つまりビデオ鑑賞時に黒い部分が残ることはもうなくなる。
サーフェスでは徹底してサイズにこだわったとマイクロソフトは述べている。
・パワー
Window 8 Proモデルを見ると、タブレット端末と薄型軽量のウルトラブックPCとの境界が曖昧となってくる。
タブレット端末はこれまでスマートフォンとノートPCの中間的存在とされ、ゲームやネット閲覧、メディア利用が主な用途だった。マイクロソフトサーフェスを、仕事に使える端末にしたい意向だ。
ProモデルはインテルのCPU「i5」上で動作し、最高128ギガバイト(GB)の内蔵メモリを搭載する予定だ。一方、iPadのメモリは最高で64GBとなっている。
・USBポート
両モデルともUSBポート(RTでは2.0、Proは3.0)が付属する。iPadの場合、USBがないことに対する不満も根強かった。
USBがあればストレージの容量を増やしたり印刷などの機能も簡単に利用できる。クラウドストレージや無線LAN接続などを利用してiPadユーザーに比べ、より迅速に外部の機能を利用できる可能性がある。
Xboxスマートグラス
世界最大級のゲーム見本市「E3」でマイクロソフトが披露した「Xboxスマートグラス」は、スマートフォンタブレットを同社のゲーム機「Xbox」と連携させるもので、iPadやアンドロイド搭載タブレットにも対応する。しかしマイクロソフトが、自社の端末にこの技術を最適化してくることは容易に予想できる。
この機能により、ユーザーはテレビで映画を鑑賞しながら、タブレット端末で映画に関する付加情報を楽しむことなどが可能になる。
以上のような機能がサーフェスで前面に打ち出されれば、新OSの「Windows 8」にあらゆる端末を結集させようとするマイクロソフトの狙いは1歩先へと進む可能性がある。
(CNN.co.jp - 6月20日(水)19時21分)

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