大阪クオリティ

お酒自販機、全国で激減も… 関西商人、手放さぬ
■「なんで撤去せなアカンねん」近畿がワースト
ビールや日本酒などを扱う酒の自販機が全国で激減していることが26日、国税庁のまとめで分かった。防止を目的に業界団体が撤廃を進めた結果、平成8年の約14%にまで減少した。ただし大阪国税局管内(近畿2府4県)には、全国最多の約2700台が残存しており、“苦闘”が続く。酒の小売店にとって自販機は依然貴重な戦力で、さらに関西の“商人(あきんど)精神”を原因に挙げる声もある。「ワースト1」返上への道のりは険しそうだ。
◆飲酒高校生55%購入
ビール酒造組合(東京)が平成4年に行った調査では、飲酒歴のある高校生のうち半数以上、55%が自販機で酒を買っていた。酒小売店の全国組織「全国小売酒販組合中央会」(同)は7年、運転免許証などで年齢を識別する装置がついていない従来型機は、12年5月末までに撤廃することを決め、進めてきた。
酒税を徴収する国税庁も趣旨に賛同。7年、従来型機の撤去とともに、新設する場合には、年齢識別装置の付いた改良型機以外の自販機を設置しないよう指導する方針を決めた。将来的には、改良型機も含め、酒自販機自体の全廃を目指している。
◆コンビニ進出で落日
国税庁によると、撤廃方針決定直後の8年3月時点で全国の酒自販機数は約18万6千台だったが、23年4月には2万6830台にまで激減した。自販機が大幅に減った理由について、関係者は、撤廃運動の高まりに加え、酒類販売の規制緩和をあげる。
15年に酒類販売の規制が緩和され、コンビニエンスストアやスーパーが進出。従来、酒小売店が閉店した後は酒自販機で購入するしかなかったが、コンビニで24時間購入できるようになったことで、自販機で買うメリットが失われた。
ただし自販機撤廃は、全国一律に進んでいるわけではない。もともとの完全撤廃目標(従来型機、12年5月)から12年。いまだ全国に7688台の従来型自販機が残り、国税局別でみると、大阪に全国の35%、2696台も残っている。
◆「壊れるまで使う」
小規模な小売店では、やはり自販機は貴重な戦力だ。大阪市西成区のある小売店主は「経営が先細りする中、売り上げ全体の1割を占める自販機は強い味方。新しい自販機はとても買えず、古いものを壊れるまで使い続けたい。撤廃を進める趣旨は理解できるが、現状、手放せない」と明かす。
また大阪府小売酒販組合連合会(大阪市)の松田武会長(72)は「特に大阪は『商人精神』が他の地域よりも強く、もうかっている機械をみすみす手放すのに抵抗があるため、多く残っているのではないか」と分析する。
大阪国税局は同会などと連携し自販機の撤廃を指導しているが、「他のお店が置いているのに、なんでうちだけ撤去せなあかんのか」と抵抗されることが少なくないという。松田会長は「コンビニなどに押されて小売店の経営はじり貧状態。この状況が続けば、自販機とともに小売店まで消えてしまいかねない」と危機感を募らせる。
大阪国税局は「今後も連合会の取り組みを促すことで未成年者の飲酒防止につなげたい」としている
産経新聞 - 5月26日(土)15時39分)

流石と言うほかはない。