成田はいらない

国交省 羽田のハブ化強化 発着枠9万回へ 成長戦略素案
羽田空港では、今年10月の第4滑走路整備で年6万回(昼間3万回、深夜早朝3万回)の国際線定期便が就航できるようになる。成長会議は、13年度までに3万回をプラスして9万回(同6万回、3万回)にすると提言した。1日当たりでは40便増え、計120便の国際線が就航可能。国際線は成田の3割に及ぶ。
アジア近距離路線に限定する方針だった昼間帯を、欧米線など利ざやが大きい路線にも開放し、国際ネットワークを強化。24時間使用可能というハブ空港の条件を満たし、「成長著しいアジアの航空需要を取り込んでハブ空港化を目指す」(国交省幹部)考えだ。観光戦略として掲げる訪日外国人3000万人の実現へ「発着枠拡大は千載一遇の好機」と期待する。ただ、すでにハブ空港としての地位を確立している仁川空港(韓国)に対抗するには課題もある。
高橋光佳・みずほ証券シニアクレジットアナリストは「(都心に近い)羽田は国際線の需要が高く、9万回でも足りない。(国際線を増やせば)成田が食われる懸念もあるが、景気回復次第で需要は増える」と強調。全日本空輸の伊東信一郎社長は15日の会見で「今回の案では、本当の羽田国際化は成就しない」と、不満を漏らした。さらに、10月完成予定の羽田新国際ターミナルのさらなる拡張も必要だが、財源となる着陸料などは引き下げを求められている。
成田空港も14年度に現行の22万回から30万回に増強し、リゾート路線を含めた国際線のメーン空港として、ハブ空港の役割を保つ。羽田間のアクセスを約50分で結ぶよう改善し、旅客の乗り継ぎをしやすくする。格安航空会社やビジネスジェットの専用ターミナルを整備し、羽田との差別化を図ることで、地元への配慮を見せた。
しかし、千葉県空港地域振興課は「成長戦略はあくまで有識者の議論。成田空港が軽視されることはないと信じる」と、「羽田強化」への懸念を示す。成田の存在感を低下させかねない羽田との一体運用に、地元の理解を得られるかは不透明だ。


◇空港・ビル経営一体化で収益改善、着陸料など値下げ狙う
同会議はまた、着陸料が主な収入源の空港経営母体と、物販やテナント料・駐車料を収入源とする空港ビル会社など関連企業の経営一体化を打ち出した。成田空港の着陸料は、韓国・仁川の3倍程度と割高。一体化による収益改善で着陸料など空港使用料を値下げし、就航する航空会社を増やす考えだ。1月に経営破綻(はたん)した日本航空も、着陸料負担が財務悪化の一因とされ、空港経営にメスを入れる。
国交省が昨年7月に試算した国管理26空港の06年度損益によると、経常黒字を確保したのは伊丹など6空港だけ。国内に約100ある空港の多くは、想定より利用が少ないため着陸料や航空機燃料税に依存し、さらに税金を投入するなどせざるを得ない状況だ。
一方で、駐車場などを独占的に運営できる空港ビル運営会社の多くは、数千万円から数億円の利益を上げているとされるが、別会社のため空港本体の経営に生かせない。一体化すれば空港の収益が改善し、着陸料などの値下げにつながる。
約1兆1000億円の有利子負債を抱える関西空港の経営問題では、伊丹空港との経営統合を提案。関空は毎年200億円超の利払いが着陸料を高止まりさせ、「海外主要空港への路線流出を招いた」(国交省幹部)。年間黒字が約40億円の伊丹との統合や、両空港の運営権の民間への売却益で負債を圧縮できる。関空が成功例になれば、他の地方空港の経営改革にもつながる可能性がある。
ただ、空港の過剰感を抱えたままでは問題は解決しない。県内に3空港を抱える島根県萩・石見空港(同県益田市)の08年度の収入は約3000万円。空港ビル会社も約3000万円で、一体化しても年2億円の維持管理費は確保できない。不採算の地方空港は淘汰(とうた)される可能性がある。
毎日新聞 - 4月29日13時14分)

羽田がOKになったら、国際線キャリアは一斉に羽田就航を希望して、開放を要求してくるでしょうね。