攻め続けた者の勝利

真央、五輪へ跳んだ!3回転半2発で逆転V
大技復活で金メダルが見えた。フィギュアスケート四大陸選手権第3日は29日、韓国・全州崋山アイスアリーナで女子フリーが行われ、浅田真央(19=中京大)がトリプルアクセルを2度決めて今季自己ベストの126・74点をマーク。合計でも今季の自己ベストとなる183・96点となり、SP3位から逆転で今季国際大会での初優勝を果たした。2度のトリプルアクセルに成功するのは08年12月のGPファイナルのフリー以来、412日ぶり。残り1カ月足らずに迫ったバンクーバー五輪に弾みをつける逆転Vとなった。
力強く天に突き上げた両手の先に、金色の夢が見えていた。SPで出遅れた浅田が、フリーで巻き返して逆転優勝。同じ韓国で開催された08年12月のGPファイナル以来、412日ぶりにトリプルアクセルを2発決めた。今季ここまで11回アタックして成功2回と精度の悪かった大技が復活し、バンクーバー五輪本番に弾みをつけた。
トリプルアクセルに2回挑戦して良かった。今まで1発目が跳べても2発目を跳べなかったけどきょうはスムーズにいけた」。ラフマニノフ前奏曲「鐘」の重厚な旋律に乗って軽やかに舞った。やや硬さの見られた冒頭の大技は、出来栄え評価で加点を引き出すベストのジャンプ。続いてチャレンジした2回転トーループとのコンビネーションはやや着氷が乱れたが持ちこたえた。トーループの回転不足、3―2回転の連続ジャンプが単発になった以外は、ほぼ完ぺきな内容だった。
開き直りが復調を呼んだ。五輪本番でも鍵を握るSP(27日)は、トリプルアクセルが回転不足となり3位と出遅れた。絶好調の公式練習から一転、演技前の6分間練習で緊張感に襲われたのが原因。だが、この日は「フリーも良くなかったらどうなることかって思って、自分を凄く追い込めた。回転不足でも、こけても(回転が抜ける)パンクでも(失敗であることは)変わらない。思い切りいくことだけを考えた」と崖っ縁で底力を発揮。復活をアピールして五輪に向かうため、試合間隔が短くなることを承知で参戦した五輪前最後の大会で「フリーはいい演技ができたので五輪につながる。つまずいたSPでベストを尽くせば、点はもっと上がる。課題はSPとフリップ」と手応えをつかんだ。
韓国のヒロイン・金ヨ児(19)の母国での開催とあって、周囲は騒がしかった。空港で地元メディアにもみくちゃにされ、宿泊ホテルでは盗撮騒動が発生し、この日の会場入りの際も50人を超えるファンに取り囲まれた。それでも、表彰式前のインタビューでは「声援をパワーに変えることができた。カムサハムニダ〜」とインタビュアーのマイクを奪って感謝の気持ちを伝えた。
SPの出遅れやフリップのミスがあり自己採点は「50点」と辛口。だが「目標の金メダルにどれくらい近づいたか?」という問いへのアンサーが、浅田が自信を取り戻した証だ。「80%くらいですね」――。残り20%を埋めた時、黄金の夢が現実のものとなる。
スポニチアネックス - 1月30日7時2分)

アウェーの地に乗り込んだこと、直前にもかかわらず、感覚を確かのものにしておきたかったということ、自分にこだわったこと・・・優勝って結果より、得たものはすごく大きいんじゃなかろうか。