まだ、秋と冬が交互に顔をのぞかせている

紅葉ロングラン 乱高下の秋 1週間ごと寒←→暖
今年の紅葉は長く楽しめそう−。近畿地方では今年11月、1週間ほどで秋と冬が入れ替わるような例年にない気候が続いている。この時期は紅葉シーズン真っ盛りで、極端な寒暖の逆転は色づきにとってマイナス。ところが気温の乱高下は葉が色づくペースを乱し、各地の観光スポットではこれから色づく木々も一部残るため、見ごろの期間が長くなる事態に。天候の異変は「紅葉シーズンの長期化」という意外な効果も生み出している。


◆10月中旬並み
「例年12月に入ると葉が落ちるが、今年は12月6日ごろまではもちそう」と話すのは、シーズン中は30万〜40万人が訪れるという「明治の森箕面国定公園」のある大阪府箕面市商工観光課の担当者。同園では、11月中旬の急激な冷え込みで紅葉が進んだが、撮影スポットにもなっている箕面大滝のもみじはまだ緑色の部分が残っているという。
紅葉は一般的に、秋にぐっと冷え込むと一気に進むといわれており、こうした“珍事”の原因は、11月の気温が乱高下したためとみられる。
大阪管区気象台によると、大阪市の11月8日の最高気温は23・7度で、10月中旬並みの暖かさだった。しかし、17日には11・4度と12月下旬並みの寒さに一変。さらに、25日には19・6度と11月上旬並みに上がるなど、真冬並みの冷え込みかと思えば一転して小春日和になる気候となった。


上着を脱いで
気象台によると、例年は勢力が弱まるはずの太平洋高気圧が11月上旬ごろまで比較的強く、その後は西から寒気が入りこみ、現在は再び移動性高気圧に覆われて暖かくなっているという。気象台担当者は「これほど温度差が著しいケースはあまり例がない」と話す。
今が紅葉のピークという京都市の嵐山では、思わぬ暖かさに、着込んできた上着を脱いで散策する観光客も多いという。地元で観光振興に取り組む「嵐山保勝会」の田中克彦専務理事は「もみじは寒い中で観賞するのが普通。こんなことはめったにない」と驚く。


◆色は鈍く?
京都府立植物園によると、紅葉は秋が深まるにつれ気温が下がると葉への養分の行き来が鈍くなり、日中に太陽光を浴びると、葉の緑の色素が分解して赤の色素に変化するために起こる。昼夜の寒暖の差が大きいほど色づきがよくなるが、今年のようにほぼ1週間ごとに寒暖が逆転すると、色が鈍くなる可能性が高いという。
ただ、同植物園の肉戸裕行主査は「今年は決して好条件ではないが、これから暖かい日が続くと葉が落ちにくく、紅葉のピークも長くなる可能性が高い」と話しており、思わぬ天候の異変によって紅葉狩りはもうしばらく楽しめそうだ。
産経新聞 - 11月27日15時36分)

もしかしたら、2週間後の大阪も、最後の「秋」が楽しめるかもしれない・・・