・・・ってことで、お待たせいたしました。

待ってないって?(苦笑)
オープニングアクトで出た皆さんについては、非常に申し訳ないんですが割愛させていただくとして。
出演ミュージシャンの面々の、個別の感想なんぞを書きたいと思います。

GAKU-MC(19日〜21日)
ap bank fesの影響を最も受けたのはこの人かもしれないし、各日の参加者も「待ってました」的反応で切り替えしているから、すっかり「顔」になってしまった感がある。
3万近くの人を動かすことにも違和感がなくなったし、ニュートラルぶりに磨きがかかったように思えた。
来年も、間違いなく楽しませてくれるのでしょう。
個人的には「手を出すな!」やってほしかったですが・・・

BONNIE PINK(19日)
'06で見たときは、次はないのかな?と思っていたのだが、去年もキャスティングされていたところをみると、特有の清涼感とこのフェスとがあっていたということなんだろうか。
彼女自身も非常に環境面に造詣の深い方のようだし、なんとなく来年も来てそうな気が・・・(笑)

一青窈(19日)
前日に名古屋でライブを行っていたのにもかかわらず、彼女は出演を快諾した。
僕らが思っている以上に、彼女自身が楽しみだったのだろうな・・・と思うし、このフェスで音楽性そのものが変わった一人だと思う。
「どんでん返し」は、エコレゾ、というよりも音楽によるレゾナンスの、ひとつの回答なんじゃないだろうか。
単純に、楽しかった。

大橋卓弥(from スキマスイッチ)(19日)
非常に興味深いセットリストだった。
「ありがとう」で、ソロでも大丈夫というメッセージを込めつつ、「星になれたら」でプロミュージシャンじゃなくてただのミスチルファンに戻ってしまうあたり・・・(笑)
まぁ、どこまでもほほえましいキャラで行ってください。

鬼束ちひろ(19日)
一言もしゃべらずに登場し、そして一言もしゃべらないまま彼女は去った。
EMI時代の名曲「月光」を歌ったときは、正直あの声はもう元に戻らないのかと思ったものだが、「everyhome」でそれは大いなる間違いだったことがわかった。
全身凶器のような歌声で、熱射病で倒れる人続出だったはずの空間を、ほんのわずかな時間だが氷の空間へと変えてしまった。
やはり、稀代のDIVAは、不滅だ。

AI(19日)
「東京環境会議」の縁で、彼女もキャストされた。
歌もそうだが、いるだけでパワーをもらえてしまうような存在感の人がたまにいるが、まさに彼女はその体現者とも言える。
鹿野淳氏がドロップしたオフィシャルサイトのレポートの一文を拝借させていただくが、「シリアスでありリアルだ。なのに、彼女の歌はすべてが楽しい。」・・・
マイナス思考に陥らなければ、あらゆる状況は力になるし、どんな状況でも楽しめる。
多分、来年もいるだろう(笑)

ゆず(19日)
ap bank fesが開催された当初から、ファンも本人たちもずっとこの日を待っていた。
タイミングというものもあるだろうが、なぜ今まで出られなかったのだろう、と思うとき、結局この場所に立つべき曲がなかったのじゃないか、と考える。
彼らは、長いトンネルを抜け出して、自力で完全復活を遂げた。
ホントのことを言えば、「悩んだ末の15点」なのだと思うが、「蒼いまま年をとること」を選んだ彼らからは自信があふれているし、だからこそこの場所に降り立つことができたのだろう。
美しい空間だった。

ASKA(19日)
もはや大御所であるにもかかわらず、昨年もシークレット出演をもくろんでいたことをパンフレットで明かすなど、相当Bank Bandとの競演を楽しみにしていたことをうかがわせる。
賛否両論ある「名もなき詩」のカバーについては、ちょっとスベっていた感もないわけではないが・・・
いずれにせよ、このフェスの恵みは、参加者ばかりではない。
来年、この人が完全復活していたら、間違いなくこの日「何か」を取り戻せたからだと思う。

レミオロメン(19日)
セットリストを組んだときは、結構自信があったんじゃないかと思う。
事実、5月半ばまでやっていたツアーの仕上がり具合は最高によかった。
自分もここで書いたが、いつでも「空中戦を仕掛けられる」、そんな状態にあった。
ただ、万全で臨んだはずのこのステージは、明らかに違和感があった。
ミスチルファンもレミオファンもかぶっているところはかぶっているのだから、ホームゲームモード全開でやればよかったのに、極度の緊張からか、藤巻のMCはトチる、演奏はミスタッチの連続・・・
今後の展開に、極度なまでに不安を残してしまった。
このバンドの、明日はどっちだ?!

Salyu20日
彼女も、大変興味深いセットリストを組んだ。
小林武史プロデュースを離れ、すでに2曲ドロップしているにもかかわらず(実際1曲やっているのだが)、彼女は「ap bank fesの歌姫」としての役割を全うしようとしたし、それは同時にもっとも彼女を鳴らすことができるクリエーターはやはり小林武史しかいないことを如実に物語っていた。
このとき初めて、「3日間の『第一部のキャスティングの意味』」に気がついた。
環境というものをキーワードに、影響した・影響された・影響しうる人々を絶妙の位置で並べているのだ。
朝の先頭打者のこの位置に彼女を配列したこの並びは、ホームランとまでは言わないけれど、三塁打くらいの価値はあっただろう。
暑いけど、さわやかな一日を予感させた。

中村中20日
非常に興味深い「ねじれ」だった。
何でもありのこの空間では、昭和歌謡ロックともフォークともつかない、ある種の怨念?みたいなものも浄化して、さめた「第三者の目」と化してしまう。
ねじれも、360度ねじれたら、見えるものは正常な位置だ。
ミュージシャンとして、これから期待が持てそうな予感がする。

広瀬香美20日
「冬が短くなるから、私困るんですぅ〜♪」と、大爆笑させて痛烈なメッセージを残した。
自らを「冬の『女王』さま」と言い切るだけのものはあったし、本当に歌がうまい。
で、よく聞いてみると、冬とは関係ない、普遍の歌を歌っていることにも気づく。
オフィシャルサイトのレポートで、相当考えたMCであったことを明かしているが、なぜこの位置に立ったのか、なぜ呼ばれたのか、すべてを理解している人のステージングは楽しい。

KAN(20日
伊達に呼ばれたわけではない。
Bank Bandがなぜこの人の曲を取り上げたのか。
類まれなるポップセンスと空気感が、笑いを通り越して最高のグルーヴ感を作り上げる。
愛は勝つ」、も変わった。
タフな名曲だった。
いや、名曲ゆえにタフなのかもしれない。
とおり一遍の愛ではない。
来年も出て欲しいひとり。

大塚愛20日
本来、「あの発言」がなければ間違いなく倖田來未が呼ばれていたはずなので、自身がキャストされたとき一番びっくりしたに違いない。
たった2曲だが、相当考えて、考えて、考え抜いて・・・(結果スベってしまったのだが)・・・
きっと、心理的にはこうだ。
・せっかくあの、ものすごいバンドとやるなら、スロウな曲を鳴らしてみたい
・夏のクソあつい時期にやるんだから、アッパーな曲で倒れないほうがよい
・a−nationでやらない曲がいい
・実は、こういう系統の曲のほうが得意だったりする・・・
その結果が、「クムリウタ」と「プラネタリウム」に集約される。
おそらく、自身のステージやテレビでの姿を偽りとは言わないが、ホントはこの日みたいに静かな人なんだろう。
ただ、それなら、亡き恋人を想い「そっちに行きたい」と歌う曲より、「恋愛写真」の方がよかったんじゃ・・・

RIP SLYME20日
不思議な緊張感が残っていたステージから、一気に夏の開放感と喜びに満ちた色に染めた。
彼らもまた、バンクとの競演を楽しみにし、彼らの流儀でリスペクトして見せた。
「楽園ベイベー」は、いい曲だな、ホント(笑)

小田和正20日
結果的に、つま恋を大団円にしてしまったのがこの人。
派手に歌詞は間違えるわ、客席に突撃するわ、大御所のおいたにはただただ笑うしかなかった。
ただ、狙いはそこではなかった。
そこではなかったからこそ、自分の曲とパフォーマンスを出汁に使ってまでも、語る必要のない名曲「Tomorrow never knows」で渾身の一撃をかました。
本当にこの曲、やりたかったんですね・・・・・
結果的に際立ってしまったのは、他でもない「桜井」和寿。
それが本意だったのかどうかは別にして・・・。

the pillows20日
「今日はMr.Childrenのファンのみなさんに優しくしてもらいに来ました。Mr.Childrenのメンバーが僕たちの音楽を好きだと言ってくれているので、まさか君たちが嫌いなわけがない(笑)。いい時間を過ごしたい、よろしく!」
一見言ってることは無茶苦茶だが、根っこを共有しているという意味において、ある種核心を突いた発言だったように思う。
それに、ミスチルファンも案外(相当?)ロック好きである。
万単位の客を前に、特に前日のレミオロメンが出来がよかったとはいえないだけに「どうするの?」と思ってみていたが、これがなかなか、まったく違うロックフェスの空間を創出してくれた。
もっと売れてもいいのにね,彼ら。

平原綾香(21日)
実は3日間の中で最も収穫だったのはこの人じゃないだろうか。
もっと暗い人なのかと思っていたら、いやいや、「不思議ちゃん」系でも十分やっていける超おもしろい人じゃないですか!!!!
「Jupiter」があまりにも売れてしまい、かつやっぱりやれば盛り上がる曲なのだけれど、これから先が面白い人かな?とは十分に予感させた。
来年呼んでください(笑)

KREVA(21日)
もはやいないと成り立たないような「顔」になりつつあるし、ラップと超自然環境を何の違和感もなく融合させ、鳴らしてしまうところはこの人の強みだ。
1日だけではなくて、東京環境会議みたいに3日間出演してもらっても面白いのじゃないだろうか。
ふと、そんな気がした。

My Little Lover(21日)
短い時間だが、非常に複雑な人間ドラマが凝縮されたステージだった。
多分、この人も前から出たかったのだと思う。
思うが、ソロでやってみて、やっと近すぎない立ち位置を獲得できたがゆえの今年、なんだろう。
同時に、Salyu同様小林武史の神ぶりが際立ってしまったのも、また事実。
AKKOの場合はもっと極端で、彼女の声を正確に、最も美しく効果的にドライヴさせられるのはやっぱり彼しかいないのだ・・・
その輪郭が、はっきり出てしまった。
その証拠に、全曲小林プロデュース作品だけでセットリストを固めた・・・

絢香(21日)
彼女も、東京環境会議が縁でつま恋にも出るようになった。
確かに歌はうまいのだが、それゆえの粗さも目立つようになった。
幸いアルバムセールスは好調のようなので、本物になりきれるかどうかは、この夏が分水嶺かな?などと思う。
さらに緩やかな空気を身に付けられたら、一流の証だよ、と一言付け加えておこう。

コブクロ(21日)
わけあって、絢香とのコラボレーション部分も含めてぜんぜん見ていないのだが、「この場所に立ってるだけで幸福だ」という思いはどこにいても伝わってくる。
フードエリアで「どんな空でも」を聴いていたが、至福感が遠くにいても伝わってくるのは、結構大事なんじゃないだろうか。
近くで見るばかりが、フェスではない。
贅沢な時間を、違うアプローチで楽しませてもらった。

布袋寅泰(21日)
私の知人は、彼がシークレットでくることをハナっから予見していたし、事実そうなった。
そうなったが、何の違和感もないし、何事もなかったかのように盛り上がってしまうのはこのフェスの結構すごいところなんじゃないだろうか。
ボウイ時代のフィルムやら、テレビでしか見たことのない彼だが、あんなにピリピリ「していない」布袋を見たのは初めてかもしれない。
結構すごいものを見てしまったのではなかろうか・・・

Bank Band(19日〜21日)
ステージに立てなかった忌野清志郎の部分を除けば、曲で前にグイグイでてくることはほとんどなかったし、それほど書くミュージシャンとの空気が一体化していたことの証のようにも思える。
4年開催のうち、'07を除く3回を見てきたわけだが、年々ユニットからバンド生命体へと進化していくのがわかる。
それは同時に、ヘッドライナーを務めるミスチルへの影響も当然大なわけで・・・
そこは、ミスチルの感想で触れよう。

GLAY(21日)
20万人を動員したことがある彼らでさえ、最初はビビっていた。
まるで、新人バンドが場違いの空間にやってきてしまったかのように。
しかし、つま恋の客層は、まったく暖かい空気で彼らを迎え入れ、彼らもわかっていたかのように、無理のない選曲をした。
なんだ、超空気の読める人たちじゃないですか。
まぁ、それゆえに、一度は日本の頂点に立つこともあったわけだが・・・
技術的にTAKUROとHISASHIのギターがかぶってしまう難点は解消されていないのだが、やっぱり前より空気が穏やかになったのは気のせいではないと思う。

Mr.Children(19日〜21日)
例年彼らは、このフェス用に特別なセットリストを組んでくる。
通常ライブは21曲から25曲くらいまで、2時間半から3時間。
それを半分の時間で、半分以下の曲数で、もっている世界観をすべて表現してしまう。
ただ、今年はいつもと様相が違い、「Mr.Children」を無理やり固めるのではなく、いつもやっていることをそのままやった感じがすごく出ていた。
出演ミュージシャンが結果的に「ミスチルトリビュート」になってしまったことと、Bank Bandのグルーヴ感が変容したことも無縁ではないが・・・
今年、特殊な映像はひとつもなかった。
一つもなかったが、たった1曲で空気を変えてしまう魔術師ぶりはますます磨きがかかっていた。
新曲「HANABI」と「GIFT」にも触れておきたい。
「HANABI」は、初日からキラーチューンぶり全開だったが、「GIFT」の初日は正直あまり伝わってくるものはなくて、「この程度なら聴くまでもない」と思って僕はつま恋から引き上げてしまったのだが・・・
最終日、まったく別の曲であるかのように、瑞々しく喜びあふれる曲になっていた。
3日で完璧にしてしまったバンドの構成力にも恐れ入る。
こうなると、やっぱり単独ライブが見たいよなぁ・・・・


・・・と、すき放題書いてみましたが、どうでしょう?