平和って、なんなんでしょうね

ブット暗殺 憂慮される核保有国の混乱
保有国のパキスタンで、最悪の事態が、最悪のタイミングで起きた。
パキスタンでは来月8日に総選挙が迫っていた。テロの惨劇に倒れたブット元首相は選挙による安定化、民主化進展へのカギを握る存在だった。
非業の死は国内の混乱に拍車をかけるだけでなく、米国の対テロ戦などの国際情勢に多大な影響を及ぼしかねない。
ブット元首相の率いる野党、パキスタン人民党(PPP)は、唯一の世俗派全国政党として、来月の総選挙での躍進を狙っていた。事実上の亡命生活を続けていたブット元首相は10月の帰国と前後し、ムシャラフ政権に参画する「権力分担」の交渉も進めていた。
一方で、イスラム過激主義の一掃を政治信条とするブット元首相は、以前からテロの危険にさらされてきた。帰国直後にも、多数の死者が出た自爆テロに遭遇し、かろうじて難を逃れた。
ブット元首相はその後の選挙遊説でも過激派取り締まりを強く訴え、イスラム原理主義者を中心に反感が出ていた。暗殺という事態は十分予想できただけに、犯行を防げなかったムシャラフ政権への批判が、PPP陣営で強まっている。
ムシャラフ大統領は事件後、イスラム過激派による犯行との見方を示した。パキスタンの混乱がさらに深まれば、凶行に及んだ過激派の思うつぼである。
選挙でPPP躍進が実現すれば、過激派への取り締まり強化は必至だった。ブット氏を失ったPPPの組織力低下など混乱が続けば、選挙戦そのものが混迷しかねない。
クーデターで政権を握り国民に不人気なムシャラフ大統領と、民主化への意欲を燃やすブット元首相との権力分担という構想は、米国の後押しで進んできた。構想崩壊は米国にとって大きな打撃だ。アフガニスタンとの国境地帯に潜む国際テロ組織の動きも活発化しそうだ。
凶行に走ったテロ組織を利さないためにも、混乱収拾を急ぐ必要がある。来月の総選挙を予定通り行うか否か。それが当面の焦点だ。
ブット元首相と並ぶ有力野党指導者、シャリフ元首相は、ムシャラフ大統領の即時辞任を求めるとともに、総選挙不参加を表明した。米国は予定通りの実施を求めている。ムシャラフ大統領は慎重な判断を迫られよう。
総選挙がいつ行われるにしても、自由で公正な選挙でなければ、新たな混乱の火種となりかねない。それには、国際社会の支援が必要だ。イスラム圏唯一の核保有国の混乱拡大を放置はできない。
(読売新聞 - 12月29日 01:33)

ホントはもう一日早くネタにするつもりでしたが。
いつまで闇は続くんでしょうか・・・・