やりすぎダイエットには注意しませう

<医療>ダイエットも引き金になる女性の薄毛
毎日新聞 3月26日(土)10時30分)


脱毛の悩みは男性だけでなく、女性にもあります。原因やメカニズムは男性よりも複雑で、最近では急激なダイエットが引き金となって起こるケースも。正しい知識と対策について、かくた皮膚科クリニック院長、角田美英さんに聞きました。
◇女性にもある「男性型」脱毛症
女性の脱毛症として最も多いのは「びまん性脱毛症」と呼ばれるタイプです。「びまん」とは広範囲に広がっているという意味で、頭の広い部分の毛が抜けて薄くなり、特に頭頂部の皮膚が透けて見えるようになります。男性のようにツルツルになることは少ないですが、「分け目が目立って気になる」などと悩んでいる方も多いのです。
びまん性脱毛症の原因は複数あります。代表的なものとして(1)男性ホルモンによるもの(2)休止期脱毛によるもの(3)加齢変化−−が挙げられます。
(1)男性ホルモンによるものがなぜ女性に起こるの?と不思議に思われるかもしれません。女性の場合、卵巣や副腎皮質から微量ですが男性ホルモンが分泌されています。家族に男性型脱毛症の人がいるなど、遺伝的な要因もからんでいますが、30歳以降から始まり、性ホルモンの分泌が著しく変化する更年期前後で目立つようになります。最近は若い女性にも目立ってきているように感じます。女性の社会進出にともない、精神的ストレスや不規則な生活が要因になっている可能性があります。
(2)休止期脱毛症は、病気や薬の使用、生活習慣の変化などで髪の成長周期が乱れるものをいいます。精神的ストレスをはじめ、外傷・手術・発熱などさまざまなストレス、出産後のホルモンバランスの変化によるものが多くみられますが、病気や薬の副作用として起きるケースもあります。また、最近目立つのが急激なダイエットによる鉄欠乏性貧血や亜鉛欠乏症などが引き金となって起きているケースです。
(3)加齢変化による脱毛症は、頭部全体の毛の密度が減少するとともに一本一本の毛が細くなります。
◇まずは原因診断を
びまん性脱毛症の対策としては、原因をまずは診断してもらうこと。血液検査で甲状腺の病気や貧血の有無を調べるなどで、どのタイプの脱毛症なのかを診断します。病気が原因の休止期脱毛症を除き、治療には育毛剤や発毛剤が有効です。地肌が明らかに透けてみえるような中等度以上の方は、皮膚科を受診しましょう。女性の脱毛症には、外用薬(ミノキシジル1%配合)がベースとなります。また、海外のお薬で女性の脱毛症に効果が期待できる内服薬もあり、女性の発毛剤として効果と安全性が認められています。
◇女性の脱毛症を予防する生活習慣
加齢や生活習慣によって起こるものに対しては、有効な予防策があります。ポイントは毛根にしっかりと栄養を送ること。具体的な対策について紹介していきましょう。
(1)食事 毛髪の材料となる良質のたんぱく質を含み、カロリーの低い赤身の牛・豚・鶏肉、魚、大豆製品をとりましょう。毛の細胞の再生を促すビタミンB群やビタミンE、亜鉛マグネシウムが豊富なナッツ類や卵、ヨーグルトなどもまめに摂取しましょう。
(2)生活習慣 日々のストレスや睡眠不足は大敵です。自分なりのストレス解消法を見つけましょう。また、成長ホルモンによる新陳代謝がもっとも活発に行われる午後10時〜午前2時にしっかり眠ることが大事です。たばこの吸い過ぎは、血行不良による髪の発育不全につながるので、できるだけ控えましょう。
(3)頭皮の血行促進 両手の指の腹で生え際から頭頂部まで押しながらマッサージをします。
(4)シャンプー、リンスの選び方 頭皮への刺激が少ない「アミノ酸系」のシャンプーがおすすめです。すすぎを十分に行うこともポイント。リンスは髪の表面を保護するためのものなので頭皮につける必要はありません。
(5)頭皮の保護 日差しの強い日は帽子や日傘を使って紫外線から髪の毛や頭皮を守ります。白髪染めやカラーリング、パーマなどは髪の毛を傷めるので、なるべく最小限にとどめましょう。

まあ、バランスよく食べようってことよ。