紙屑通貨

<中国>人民元、連日切り下げ…市場の動揺拡大
中国が人民元を2日連続で大幅に切り下げたことで、世界に「中国ショック」が広がった。中国人民銀行中央銀行)は12日、人民元の対ドル基準値を前日比で約1.6%安い水準に設定したと発表。中国経済の減速懸念の高まりを受け、東京株式市場の日経平均株価は、一時400円を超す下げ幅となり、外国為替市場では円や新興国の通貨が軒並み売られた。中国への輸出比率の高いブラジルなど新興国は大きな打撃を受ける可能性があり、事実上のゼロ金利政策からの「出口」を模索する米国の利上げの時期にも影響しそうだ。
中国の人民元切り下げは、元安に誘導することで輸出を増やす狙いがある。日本にとっては、人民元に対し円高になるため、中国への輸出が減る可能性が出てくる。このため、12日の日経平均株価終値は、前日比327円98銭安の2万392円77銭と大幅に下落。中国での売上高が多い鉄鋼や建設機械、訪日中国人客の「爆買い」の恩恵を受ける小売りなどの銘柄の下げが目立った。香港やシンガポールインドネシア市場の株価も軒並み2%超下落。新興国だけでなく、米国やドイツ、フランスなど欧米の株式市場も大幅に下落した。
人民元の切り下げで貿易相手国の交易条件が悪化するため、為替市場では、中国と関係の深い新興国の通貨を売ってドルを買う動きが広がった。東京外国為替市場では一時、1ドル=125円28銭まで円が下落し、約2カ月ぶりの円安水準となった。マレーシア通貨のリンギットは一時、1ドル=4リンギット台をつけ、約17年ぶりの安値水準になった。ベトナムは中国の人民元切り下げに対処するため、通貨ドンの対ドル変動幅を拡大、実質的な切り下げに踏み切った。
一方、マレーシアやインドでは当局が自国通貨買いの為替介入で相場を下支えしているとの観測が浮上。「各国がそれぞれ自国に有利になるように通貨政策を実施し始めた」(みずほ証券の金岡直一FXストラテジスト)とみられる。
中国経済の減速を背景に原油などの資源価格も軒並み下落しており、ブラジルなどの資源国は既に大きな影響を受けている。そこに人民元の切り下げが加われば、資源国はさらに大きな打撃を受けかねない。
一方で、米連邦準備制度理事会FRB)が9月にも利上げに踏み切るとの観測もある。もしFRBが利上げを実施すれば、金利の高い新興国で運用されていた投資家のお金は米国などに逆流する可能性がある。投資家は中国経済の減速などを受けてリスクを回避する姿勢を強めており、みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは「新興国は『資源安』『人民元切り下げ』『米利上げ』の三重苦に陥っている」と指摘した。
毎日新聞 8月12日(水)22時23分)

あの国なら、なんでも仕掛けてくるでしょうな。