永遠に終わらない「戦後」

有識者懇>「満州事変以後、侵略拡大」70年談話へ報告書
安倍晋三首相の私的諮問機関「21世紀構想懇談会」(座長・西室泰三日本郵政社長)は6日、「戦後70年談話」に関する報告書を首相に提出した。「日本は、満州事変以後、大陸への侵略を拡大した」と認め、1930年代後半からは植民地支配も過酷化したと指摘。一方で、戦後の日本は先の大戦の「痛切な反省」のもとに発展を遂げたと評価した。
首相官邸で報告書を受け取った首相は「この報告書を基に、先の大戦から何を学び、どのような道のりを進んでいくべきかを世界に発信する談話を作成したい」と述べた。首相は14日にも談話を発表する。
首相は2月、懇談会の初会合で(1)日本が20世紀の経験からくむべき教訓(2)戦後日本の平和主義、経済発展、国際貢献への評価(3)中国、韓国などアジア諸国とどのような和解の道を歩んできたか−−など5項目を諮問。懇談会はこれに沿って議論し、報告書にまとめた。
侵略に関し、報告書は「世界の大勢を見失い、無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」として、「30年代以後の日本の政府、軍の指導者の責任は誠に重い」と述べた。ただ、「侵略」の記述に関しては複数の委員から異議が出たことを脚注で紹介した。北岡伸一座長代理は記者会見で「1人が賛成できないと言い、同調がもう1人いた」と述べ、16人の委員のうち異論は2人だったことを明らかにした。
一方、戦後50年の村山富市首相談話(95年)、戦後60年の小泉純一郎首相談話(2005年)に盛り込まれた「おわび」を戦後70年談話でどう扱うかには踏み込まなかった。西室氏は会見で「この中から何をくみとってどうするかは、首相にお任せする」と述べた。
報告書では「中国、韓国、東南アジアとの和解」に関する記述が全体の4分の1を占めた。中韓との間では「和解が完全に達成されたとはいえない」と総括し、今後の地道な話し合いを要請。和解に向けた取り組みの一環として、世界各国の研究者が世界史やアジア史を共同研究する場を設けるべきだと提案した。
安全保障分野では積極的平和主義の推進や防衛体制の再検討、日米同盟の強化などを提唱した。報告書は英訳版も公表された。


◇21世紀構想懇談会◇
安倍晋三首相は今年1月の年頭記者会見で、「戦後70年談話」について「世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、書き込んでいく」と表明した。懇談会はこれを踏まえて設置された首相の私的諮問機関。歴史学者政治学者、言論界、ビジネス界などから16人がメンバーに選ばれた。2月の初会合から計7回、会合を開き、報告書をまとめた。
◇21世紀構想懇談会の報告書・骨子◇
・日本は満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、無謀な戦争でアジア諸国に多くの被害を与えた
・1930年代後半から植民地支配が過酷化
・日本は先の大戦への痛切な反省に基づき、20世紀前半とはまったく異なる国に生まれ変わった
・戦後70年の日本の平和主義・国際貢献路線は国際社会と日本国民から高い評価
・中国、韓国との和解は完全に達成されたとはいえない
毎日新聞 8月6日(木)21時40分)

また中身でひと悶着ありそうね。