ビジネスチャンス

欧州強豪クラブ、ファン層の厚い中国で新たな商機狙う
ACミラン(AC Milan)のサポーターであるリウ・シュウ(Liu Shu)さんの忠誠心には、目を見張るものがある。―「ロッソ・ネリ(Rossoneri)」ことACミランが母国にやってくることを知ったリウさんは、自慢のモヒカンとあごひげを赤と黒に染めたのだ。
欧州の強豪クラブが中国で試合を行う中、リウさんは、選手たちの一挙手一投足に注目する多くの中国人ファンの一人なのだろう。
ACミランの他にも、イタリアの強豪インテル(Inter Milan)、ドイツの王者バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)が試合を行い、26日にはようやくクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)らレアル・マドリード(Real Madrid)の「銀河系軍団」がメディアの前に姿をみせた。
工業デザイナーである30歳のリウさんは、「僕のような中国人にとっては今や、サッカーこそが人生なのです」と語る。
「6歳のときに初めてテレビで見たACミランの試合が、心に残っています。クラブの歴史、精神、その中でプレーするチームの選手を愛していますし、地元で彼らがプレーするなんて夢みたいです」
約2万5000人が詰めかけた深セン大運中心(Shenzhen Universiade Sports Centre)で行われた試合で、ACミランは同都市の宿敵インテルに1-0で勝利した。
しかし、どのクラブも純粋なサッカーのためにプレシーズンのツアーを行っているわけではないことは明らかだ。サッカー人気がどんどん高まる中国で、世界のビッグクラブは市場を拡大している。
■国を挙げてサッカーを支援
成長を続ける中国スーパーリーグ(1部)だが、ドイツの移籍市場専門サイト「トランスファーマルクト(Transfermarkt)」によると、昨冬の移籍市場で同リーグが投資した額は、イングランド・プレミアリーグに次ぐ数字だとされている。また、「熱心な」ファンである習近平(Xi Jinping)国家主席によっても、サッカーは全面的に支援されている。
ミラン(Milan)からやってきた2チームと、レアルは、今年から始まったギネス・インターナショナルチャンピオンズ杯(2015 Guinness International Champions Cup)に出場しており、中国の他にオーストラリアと米国でも展開されている。
バイエルンは、バレンシア(Valencia CF)に4-1で快勝した一方、広州恒大(Guangzhou Evergrande)にはPK戦の末に敗れている。
今回の遠征を「アウディ・中国サマーツアー(Audi Summer Tour China)」と名付けたバイエルンだが、フォルクスワーゲンVolkswagen)グループの後援を得ており、同グループは、米国に次ぐ巨大な自動車市場である中国でブランド力を高める目的があったほか、中国市場に特化したネットショップ開設の機会をうかがっている。
国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)によれば、中国国内にはドイツの人口を超える約9000万人のバイエルンファンがおり、中国中央テレビ体育チャンネル(CCTV-5)はツアーの全日程に密着していた。
■選手はテレビ出演も
試合の放送だけでなく、バイエルンの選手はスタジオゲストとしてもテレビに出演し、トーマス・ミュラー(Thomas Muller)とマヌエル・ノイアー(Manuel Neuer)が卓球の腕を試したほか、人気者のマリオ・ゲッツェ(Mario Gotze)が、武術太極拳の選手からバランス感覚を向上させるテクニックを伝授された。
バイエルンのファンクラブに入っているという大学生は、「2006年のW杯(ドイツ大会)でバイエルンフィリップ・ラーム(Philipp Lahm)が得点したとき、試合開始から6分でファンになった」と言う。
バイエルンは成功している上に、品格がある。ボールの動かし方も大好きだ。中国リーグもウオッチしているけど、バイエルンは特別な存在なんだ」
レアルは、27日に広州(Guangzhou)でインテルと対戦し、30日には上海(Shanghai)でACミラン戦を迎えることになる。
(AFP=時事 7月27日(月)16時40分)

カネ、だよね・・・