消えない不安

嵐の宮城コンサート、開催は大丈夫? 地元ではさまざまな混乱も
9月19〜23日のうちの4日間、宮城県で人気アイドルグループ・嵐の復興支援コンサート「ARASHI BLAST in Miyagi」が開かれる。県によると4日間で来場者は計20万人、経済効果は93億円と見込まれ、東日本大震災からの復興をはかる宮城県にとって大きな意味を持つイベントとなりそうだ。
しかし、開催3カ月前の現時点ですでに宿泊施設が足りないなど、地元ではさまざまな混乱も起きている。この一大イベントを成功させる態勢は、現地で整っているのか。
□ホテルや学会のキャンセルも
嵐の宮城県でのコンサート「ARASHI BLAST in Miyagi」の開催が発表されたのは、4月30日。「被災地に笑顔と元気を与えて欲しい」と宮城県村井嘉浩知事が自ら開催を打診したといい、5月11日の定例記者会見では村井知事が「支援をいただいた全国の皆さまに、復興に取り組む宮城の姿を発信する貴重な機会になる」と語るなど、地元の期待は高まる一方だ。
しかし開催をめぐり、宮城県内ではすでに混乱が起きつつある。コンサートの開催発表直後から、県内の宿泊施設には予約が殺到。コンサートが開かれる時期の仙台市や近隣市町の宿泊施設の予約は現時点で「ほぼ埋まっており、予約を取るのは非常に困難な状況」(県担当職員)だ。会場から車で約20分の場所にある「ホテルルートイン仙台泉インター」(仙台市泉区)では5月1日、インターネット上で9月18〜23日までの宿泊予約が殺到し、システム障害が発生。客室以上の予約を受け付けてしまい、結局5月1日以降に受け付けたこの期間のすべての予約をキャンセルして宿泊客を再抽選することになった。
また、コンサートと同時期の9月20、21日に仙台市の宮城教育大で開催が予定されていた日本質的心理学会の第12回仙台大会は、「宿泊予約がまったくできない状態」になったとして、開催を10月に延期。同学会と仙台で共同開催予定だった日本混合研究法学会の会議も急遽、会場を立命館大大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)に移して開催することが決定した。
宿泊先確保の困難さに加えて、コンサートに参加するファンにとっては会場へのアクセスの不便さも不安要素の一つだ。会場となる「ひとめぼれスタジアム宮城」は仙台市の北隣に位置する利府町にあり、JR利府駅から山道を登って徒歩約1時間。利府駅からバスに乗れば約10分だが、会場へ通じる道路は一本で、当日は相当な交通の混雑が予想される。
同会場では昨年、人気ロックバンド・GLAYのコンサート「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」が開かれ、約5万5千人が来場したが、交通渋滞や帰宅難民の発生などが問題化した。スタジアムを運営する宮城県スポーツ振興財団によると、会場発仙台駅行きのシャトルバスが一部、最終電車に間に合わない事態になったという。そのため今回、同会場で嵐が公演することが発表されると、ツイッター上ではGLAYのファンから「登山気分で行きましょう」「仙台駅の通路で一夜を明かした人もいた」など、嵐ファンへ向けた現地での苦労話やアドバイスが次々と書き込まれている。
□受け入れ態勢の強化進む
現地では前回の反省を生かそうと、さまざまな対策が準備されつつある。主催者側はコンサートの開始時間を、当初発表の午後5時から午後4時半に繰り上げた。宮城県地域復興支援課によると、新幹線の時刻などを考慮し、現地で宿泊せずに東京などへ日帰りできる時間設定に変更したのだという。また、旅行代理店が岩手、山形、福島などの隣接県に宿泊してコンサートに参加できるようなパッケージツアーを準備しているという。
交通渋滞対策としては、宮城県スポーツ振興財団は「自家用車による来場を極力減らし、大量輸送が可能なシャトルバスによる来場案内を行う予定」としている。県によると、仙台駅や利府駅と会場とを結ぶシャトルバスの本数を、GLAYのコンサート時より増便する予定。会場から少し離れた場所に駐車スペースを設け、そこから来場者を会場にピストン輸送することも検討している。帰りのシャトルバスについては、最終電車に間に合うような時間設定を検討中とのことだ。
スタジアムでは警備員や誘導スタッフも増強される予定といい、受け入れ態勢の強化が進んでいる。県の担当者は「 4日間という日程だが、これまでの単発のコンサートなどでの経験を生かしてできる限りの対応をしていきたい」と語った。
(THE PAGE 6月29日(月)10時0分)

学会押し退けてまでやるんだから、いろんな意味で下手を打つなよ、とは言いたいですね。