結局風前の灯

ガラケーはどうなる? 3大キャリアの対応から考察するガラケーの未来
●ドコモはガラケー発表も、iモードはサポートせず
5月19日、ソフトバンク新製品発表会の席で、ソフトバンクの宮内謙社長はフィーチャーフォン、およびフィーチャーフォンスマートフォンについて否定的な発言を行った。フィーチャーフォンの今後についてNTTドコモKDDI(au)、ソフトバンクの3大キャリアの立ち位置はさまざまだが、将来的にどうなるのか、予想してみよう。
○ドコモは現状維持をしつつ、ゆるやかな移行
NTTドコモの加藤薫社長は、4月28日に開催された2014年度の決算発表会の席で、「お客様にとってのフィーチャーフォンはずっと続けていきたい」と発言。その後、5月13日の新製品発表会で登場したのが「Androidドコモケータイ」こと「F-05G」と「SH-06G」だ。
Androidドコモケータイは、ベースとなるOSはAndroidながら、LTE通信やVoLTEには対応せず、アプリのインストールにも非対応。Wi-Fiなども搭載しない。これらの機能はハードウェア(無線モデム)によるところも大きいため、コストダウンの観点からもあえて搭載しないという選択肢だったのだろう。
通信プランは従来のFOMAケータイのままだが、iモードサイトの視聴やiアプリなども実行できず、通話とメールとフルブラウザ、それに新規追加のLINE(この部分はAndroidベースになったことによる影響が大きい)のみが使えるシンプルな端末となった。この選択は、ドコモが想定するユーザーのニーズに合わせた部分が大きいという。
iモードについては、決算発表会の席では当面は生存し続け、需要がある限り続けるという説明だったが、新規端末でもサポートし続けるという意味ではなかったようだ。現在のFOMA端末がいつまで販売を続けるかは未知数だが、iモードへの依存が大きいユーザーは、なんらかの形でiモードiアプリが実行できる端末をキープしておいたほうが安全かもしれない。
ドコモとしては、未だに1,000万人以上いるというFOMAユーザー(その多くはスマートフォンを必要としていない)の需要に応え、かつ、これまでiモード端末を動かしてきたLinuxSymbianといったOS向けのプラットフォームが部品調達しにくくなるという事態を回避する手段としてAndroid化を決定したようで、積極的にスマートフォン的な性質のフィーチャーフォンを展開するつもりは(今の所)あまりないように感じられる。やがてはLTE対応やVoLTE対応なども進むだろうが、そうした進化は、傍目には緩やかに浸透していくのではないだろうか。
auガラケースマホの足がかりに
auスマホへの足がかりとして積極的に活用
Android搭載フィーチャーフォンを「ガラホ」としていち早く登場させたauは、ドコモ発表会の翌日となる5月14日、夏モデル発表会でガラホこと「AQUOS K」の最新モデル「SHF32」を発表した。初代AQUOS KことSHF31と比べると、VoLTEに対応したのが最大の変更点。というか、その他の主要な機能はほとんど変わっていない。Androidながら、Googleアカウントが使えない点も変更はない。
AQUOS Kは1,310万画素のカメラを搭載し、アプリもauスマートパス経由の約100本のみながらインストール可能という、フィーチャーフォンよりもスマートフォンにより近い性質の製品だ。KDDI田中孝司社長は「高速なLTE回線を使って、写真などをどんどん家族と共有してほしい」と話す。
スマートフォンの便利さをフィーチャーフォンという親しみやすい容器に入れ、多くのユーザーに体験させたいという戦略なわけだ。フィーチャーフォンユーザーに訴求するため、わざわざ割安な専用の料金プランを用意したあたりにも本気がうかがえる。
AQUOS Kはスマートフォンを買ってみたが、やはりテンキーに戻りたいというユーザーと、スマートフォンに興味はあるが料金プラン等で折り合いのつかなかったユーザー双方に訴求する。こうして便利さに慣れさせることで、やがてARPU(ユーザー1人あたりの売上)の高いスマートフォンへ流れてほしいという思いも透けて見えるかのようだ。AQUOS Kが順調で好評なだけに、今後もこうした製品開発の方向性自体は変わらず、新たなメーカーの参入もありそうだ。
ソフトバンクは消極的に展開
ソフトバンクは「最終的には消える」と明言
最後にソフトバンクだ。5月19日の新製品発表会ではガラホを含むフィーチャーフォンの新製品については一切発表されなかった。2月の決算発表会の時点では、孫代表はフィーチャーフォンの盛り返しについて「一時的なもの」としつつも、「スマホをほしくないというお客さんを今後も大切にしていきたい」と説明していたが、新製品発表会の質疑応答で宮内社長は「(フィーチャーフォンを)少数ながらも今後も出していく。ただし、出してはいくが、宣伝していきたいとは思っていない」「ガラケーは最終的に必要ないと考えている」と切って捨てた。
この発言の背景には、同社がこの日発表したモバイルeコマースサイトなどのサービスを、スマートフォンを中心に構成していきたいと考えていることも挙げられるだろう。高年齢層のスマートフォン利用率が低いのも、潜在的に使いたいというユーザーが多いのに、ちょっとしたことが障害となって使えずにいると分析。こうしたユーザーに対し、ショップで説明員などを増やして対応することで、スマートフォンの普及率を高めたいとしている。
安価な音声端末として人気を集めるY!mobilePHSについても、スマートフォンにシフトしてほしいとしており、PHSからスマートフォンに乗り換えられるようなプランも検討しているとのことだった(もっとも、日本でiPhone以前に販売された最初の本格的スマートフォンは、皮肉にもPHSベースのW-ZERO3だったのだが)。
ソフトバンクの意思は明確で、今後もフィーチャーフォンガラホ的な端末は登場する。(実際、22日にはフィーチャーフォン2機種を発表した)だが、それらは積極的な販売戦略のもとで売られるのではなく、あくまで消極的な位置づけとなる。どのタイミングになるかはわからないが、将来的にソフトバンクが扱う端末はすべてスマートフォンへと収束していくことになるため、フィーチャーフォンを今後も使い続けたいというのであれば、ソフトバンクはあまり先の長くないキャリアということになるだろう。
ガラケーユーザーはどのキャリアを選択するべき?
○「今のガラケー」がよければドコモ、未来のガラケーならau
こうして並べてみると、三者三様、スタンスの違いが明確に現れていて面白い。もちろん各社、目標を立てた上で戦略のもとに計画しているわけで、どれが正しい、間違っているという評価は不適切だろう。
とはいえ、今後も頑なにフィーチャーフォンを使い続けたいというユーザーにとっては、やはりドコモが最善の選択肢ということになるだろう。最初のAndroidドコモケータイについてはiモードのサポートはなかったが、何らかの形でiモードブラウザなどを搭載したモデルも登場してくるようであれば、ますます期待が持てる。
しかしAndroidドコモケータイのiモード対応が進まないようであれば、ガラホを擁するauも有力な選択肢になる。ガラホは非常にスマートフォン的な性質の強い端末ではあるが、フィーチャーフォンに近い料金体系も用意されており、将来的にスマートフォンへ乗り換えるにしても、ガラホで培った経験は役に立つはずだ。
マイナビニュース 5月23日(土)11時30分)

とっととスマホに乗り換えたほうが正解な気がしてきた・・・。