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太陽系と恒星「最接近」か、7万年前に「危機」 国際研究
今から約7万年前、太陽系からおよそ8兆キロの距離を1個の恒星が通過したとの研究論文が17日、英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」に掲載された。これは宇宙の基準からすると、史上最大の「危機的状況」だったという。
米国、欧州、南米の天文学者らからなる国際研究チームが発表した論文によると、最近発見されたこの暗い恒星は、オールトの雲(Oort Cloud)として知られる、太陽系外縁部を取り巻く彗星の集まりの中を通過した可能性が高いという。
この時の距離は、現在のところ太陽系に最も近い恒星のプロキシマ・ケンタウリ(Proxima Centauri)までの距離の約5分の1で、これまで知られている中でこれほど太陽系に接近した恒星は他にないと研究チームは指摘している。
発見者の名にちなんで「ショルツ星(Scholz's star)」と命名されたこの赤色矮星(わいせい)は、軌道分析の結果、太陽系から約0.8光年離れたところを通過したことが示唆された──天文学的スケールでは、これは「接近」である。
論文主執筆者で、米ロチェスター大学(University of Rochester)のエリック・ママジェク(Eric Mamajek)氏によると、ショルツ星は現在、20光年離れた距離にあるという。
研究チームは、南アフリカとチリにある分光器と大型望遠鏡を用いて同星の速度を算出し、時間の流れをさかのぼって同星の軌道を再構成することに成功した。また現在は、太陽系から遠ざかりつつあることも突き止めた。
現在のところ、太陽系に最接近通過する見通しが最も高い候補は、いわゆる「ローグ星」のHIP85605だ。この星については、今から24万年〜47万年の間に太陽系に接近すると予測されている。
だがママジェク氏と研究チームは、HIP85605までの本来の距離が10分の1ほど小さく見積もられている可能性が高いことも明らかにした。
(AFP=時事 2月19日(木)15時4分)

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