いちゃもんつけたらキリがない

楽天松井裕樹の中継ぎ起用案の是非
楽天大久保博元・新監督が、2013年のドラフト1位、松井裕樹(19)の中継ぎ起用を示唆したことが波紋を広げている。
久米島キャンプの最終日に行われた紅白戦で松井は、8回から登板。2回を1安打2奪三振、無失点と抑えた。すると大久保監督は、遠まわしながら、松井の中継ぎ、抑え起用プランを明らかにしたのだ。
「松井は、勝つには必要な投手になってきているね。8回、あの場所(抑え)で投げてもらったのは意思表示。先発して中6日間もチームにいないことよりも、《お前が毎日いてくれないと困るぞ》という気持ちも込めたんだ」
3月に欧州チームと親善試合を戦う侍ジャパンのメンバーにも初選出されたが、小久保監督も「本人は不満足かもしれないが、中継ぎ起用になる」と、大久保案を引き継いだ。
まだ高卒2年目。本来ならば大きく先発として育てるのが筋だろう。だが、アイデアマンの大久保監督は、松井の中継ぎ、抑え起用を表に出した。
いくつかの理由が考えられる。
ひとつは、制球力という松井が課せられた命題を克服するための手段。中6日があく間に、身につけたフォームメカニックが崩れ、投げてみなければわからないという状態から中継ぎで登板回数を増やすことで安定感を身につけさせようというプランなのだろう。昨季も大久保監督は、自信をつけさせるためのプロ初勝利を中継ぎで与えたし、計10試合に中継ぎ登板させている。まだクイックテクニックも未熟だが、走者を置くケースの多い中継ぎならば、クイックを経験する機会も増える。
もうひとつの理由として考えられるのは、左の中継ぎ要員としての計算だ。元々、楽天は左不足で、長谷部康平、金斗憲人に加え、昨季は46試合に登板した西宮悠介、相原和友のルーキー左腕コンビが活躍したが、不安は解消されていない。
それらの理由は理解できるにしても、将来性の豊かな大型選手を先発として育てなくて中継ぎ起用していいものか。松井自身のモチベーションもどうか。
元ロッテの里崎智也氏も、ふた通りの考え方があるという意見だ。
「一軍で使う安定感はないが、先発として大きく育てたいなら、2軍で先発として育成する考えもあるでしょう。広島の前田健太がそうだったでしょう。かといって、ロングの中継ぎから、きっかけをつかませて、先発に育てるという手法もあります。ロッテで言えば、清水直行さんや、小野晋吾さん、小林宏之がそうでしたから」
のちにロッテのエースとなる清水直行氏は、中継ぎ起用されていたが、2002年に開幕11連敗だったチームで先発に抜擢されストップしてから、黒木和宏や小野の故障離脱もあって先発に定着することになったという。
「推測ですが、楽天は左のワンポイントがいないというチーム事情もありますよね。消去法的に中継ぎという選択肢が出てきたのかもしれません。中継ぎといってもロングの起用になるのではないでしょうか。松井の一番の課題はコントロールでしょうが、あのダイナミックなフォームから言えば、そこを追求しすぎて、良さがなくなり、小さくまとまってしまってはマイナスです。
本来は、球威とスライダーのキレで、多少の制球の甘さをカバーするタイプです。摂津や能見らコントロールのいいピッチャーは、手の使い方がコンパクトなんです。松井は、そのタイプではないんですよ。それでも最低限のコントロールは必要です。たとえば、ホームベースの真ん中に糸を張って、内角外に2分、高低で2分する程度のコントロールでいいので、それくらいは間違いないというところまでレベルアップして、本来持っている長所をさらに磨けばどうでしょうか。まだ高卒2年目ですから、その素材が素晴らしいことは間違いないんですよ」とは、里崎氏の提案。
松井の中継ぎ起用案は、マー君にように大きく羽ばたく成長へのきっかけとなるのか。
(THE PAGE 2月18日(水)17時53分)

先発は確かに花形だが、1998年のベイスターズ日本一の原動力はセットアッパーの盛田と、クローザーの佐々木だった。
あるいは、レッドソックス世界一の原動力は、セットアッパーの田沢と、クローザーの上原。
そんなイメージを重ねているのかもしれない。