そんな簡単な話じゃない

被災地経済、停滞の20年 復興政策「失敗」の指摘も
地域経済に打撃を与えた阪神・淡路大震災から17日で丸20年。兵庫県は当初、「10年以内に震災がなかった場合の成長軌道かそれをしのぐ水準」を目指し、復興プロジェクトを推進した。だが、バブル崩壊後の県の年間平均成長率は0・1%で全国45位。経済環境の激変が響いたが、復興政策の失敗を指摘する声も少なくない。
「震災、不況、借金の三重苦と闘っている」。金属加工や電子部品などの中小約20社でつくる協同組合産団協(神戸市西区)の大島孝理事長(85)=大島金属工業会長=が嘆く。
被災後、各社は元の場所では仕事ができなかった。再開が遅れれば仕事を失う。そこで1998年から同区の神戸複合産業団地に集団で移った。「進むのも引くのも地獄」。神戸市から1坪50万円で土地を購入した。
周辺では今も市が誘致を進めるが、土地代は当時の半値以下。不況で仕事量は激減し、組合各社の借金返済は半分を超えた程度だ。「実勢を超えた土地代が足を引っ張る。被災企業への復興支援とは何だったのか」
神田栄治・兵庫県立大客員教授(69)=地域経済論=は被災地経済の長期停滞について「中小企業は過重な借金を背負ったまま走り続けざるを得なかった。人口減や市場縮小によるサービス業など内需型産業の低迷の影響も大きい」と分析した。

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兵庫県の産業復興計画にはこうある。「3年以内に純生産を震災前の水準に回復させ、10年以内に震災がなかった場合の成長軌道へ、あるいはそれをしのぐ水準を目指す」。しかし98年度以降、工場の閉鎖や移転、神戸港の衰退が加速した。
復旧を超えた「創造的復興」を目指す官民は起爆剤となるプロジェクトを進めた。関税減免で企業を呼び込むエンタープライズゾーン構想▽上海・長江交易促進プロジェクト▽マルチメディアを活用した体験型集客施設を整備するKIMEC(キメック)(神戸国際マルチメディア文化都市)−などだ。
結果、エンタープライズゾーンは国が制度を認めず、上海・長江やキメックは成果を挙げられなかった。「復興政策は暗然たる失敗」。震災当時、関西経済連合会会長で政府の復興委員会委員も務めた川上哲郎(86)=住友電気工業名誉顧問=の指摘だ。「神戸港の機能強化など効果のある施策が実行できなかった。今になって特区をやっているが、遅すぎる。重要な機会を逃した」と悔やむ。

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中長期的な雇用創出も課題だ。県内の有効求人倍率は0・91倍。回復基調だが、リーマン・ショック後、全国との差が開く。震災直後、神戸で雇用創出に取り組んだ人材派遣大手パソナグループ(東京)は近年、淡路島で農業や若者の芸術活動を生かした人材育成事業を強化。南部靖之代表(63)は「住む人が増えれば雇用は広がる。新たな産業づくりが必要だ」と指摘する。
神戸新聞NEXT 1月17日(土)11時1分)

なんか、もっとうまい方法はないもんですかね。