なぜ火星人。

<自動包あん機>名前は「火星人」 世界119カ国に納入
◇手で包めない食材も可能
大福、肉まん、あんパンのようにパン生地などで具材を包む調理法は数多い。宇都宮市の食品加工機械、レオン自動機は、この「包あん」工程を自動化したパイオニア。同社が製造販売する自動包あん機「火星人」が世界で活躍中だ。投入口から生地と具を入れると、延ばされた生地に具が包み込まれて、ベルトに乗って出てくる。後は蒸したり、焼いたりすればできあがり。機種や設定によって異なるが、1時間に2000〜3000個の生産が可能という。
1963年に最初の自動包あん機を開発し、65年には欧米進出を目指して海外視察を始めた。その後、ひき肉やすり身も包めるタイプも開発し、海外の展示会に積極的に出展。火星人の海外納入実績は現在、119カ国に及ぶ。ユニークな名前は、87年に販売を開始した改良型の外観が、マスクを着けた異星人の顔のように見えたため、という。
ひき肉やコーンクリームなどを味付けしたジャガイモで包み揚げるドイツの「クノーデル」、粗くつぶした米でチーズを包んで揚げるイタリアのライスコロッケ「アランチーニ」などは、火星人が工場生産を可能にした現地の家庭メニューだ。
自動包あん機は、アイスが入った餅アイスや、生クリーム入りの大福といった、手作りでは加工中に溶けてしまう「機械加工でなければ実現不可能な食品」も登場させた。いま、タイではレオン自動機が提案した「フィリング(カスタードクリームなどの具)入り焼きドーナツ」がヒット中。海外展開では駐在員を置いて、提案型の販売に力を入れている。
同社社長室課長補佐の武田透さんは「伝統料理は時代の変化で作り手が減っていく。機械の導入が食文化の継承にもつながる」と胸を張る。火星人は、日本の技術を現地のニーズにつなぐ役割だけでなく、創意工夫を引き出す力も秘めている。
◇和菓子職人の思いが契機
創業者の林虎彦名誉会長が「包む」技術の機械化に成功したのは1961年。その後、物質に圧力を加えるとどう変形するかを計算する流動学(レオロジー)を独学で学び、「火星人」を生み出した。社名のレオン自動機は、レオロジーにちなむ。林氏はもともと金沢の和菓子職人で、「包あん技術を機械化できれば、職人がもっと創造性の高い作業に専念できる」と考えたことが開発のきっかけだった。
毎日新聞 12月28日(日)9時5分)

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