ここだけ冷夏

夏ドラマ、視聴率は底冷え
夏ドラマの視聴率が底冷えしている。22日に放送された火曜9時枠の「あすなろ三三七拍子」(フジテレビ)2話が5・1%、火曜10時枠の「GTO」(フジ)3話が6・2%、「東京スカーレット」(TBS)2話が6・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ほかの曜日も5%台、6%台が珍しくない総崩れ状態となっている。

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レジャーやお出かけの機会が多く、視聴者が茶の間に定着しない7月期は、そもそもドラマにとって苦しい季節。テレビ局にとっての本丸は4月改編と10月改編であり、「夏に名ドラマなし」は業界の定説でもある。それでも、ちょっとこの夏はドラマファンとして寂しすぎるのだ。
「あすなろ三三七拍子」は、大学応援団の立て直しを任されたサラリーマンの奮闘を描く。柳葉敏郎の13年ぶり連ドラ主演でも話題になったが、初回視聴率は7・7%。2話は5・1%で、同枠のワースト記録を更新してしまった。
放送前、放送担当記者の間では「『あすなろ白書』(93年)みたいなタイトルで古く感じる」などの声も聞かれたが、原作は重松清氏の同名小説(10年)。個人的には、ドラマも原作同様テンポよく楽しめる印象だが、この夏の同局は木村拓哉主演「HERO」の盛り上げに全力投球なので、目立たないままいつの間にか始まってしまった感じなのが残念ではある。
AKIRA主演のフジ「GTO」は、2年前には平均視聴率13・2%と好評だったが、今シリーズは9・7%→7・1%→6・2%。水川あさみ主演のTBS「東京スカーレット」は9・8%→6・6%と推移している。火曜10時はTBSとフジの同枠対決としても毎回話題になるが、今期は「対決」どころではない共倒れ状態だ。
不振なのは火曜枠だけではない。TBS「ペテロの葬列」(月曜8時)3話6・3%、フジ「若者たち2014」(水曜10時)2話7・8%、テレビ朝日信長のシェフ」(木曜8時)6・1%、TBS「同窓生」(木曜9時)2話8・4%、TBS「家族狩り」(金曜10時)3話5・6%など、軒並み不振だ。「家族狩り」は特にTBSが力を入れていた作品で、原作の天童荒太氏が制作発表で「ハリウッドにも負けない作品」とPRしたけれど、さすがに日本テレビの3週連続「ジブリ祭り」には勝てなかった。
大御所による鳴り物入りの作品が振るわないのも現時点での特徴だ。「若者たち2014」は、「北の国から」の演出家杉田成道氏が48年前の名作の2014年版として演出している。初回は12・7%だったものの、2話で7・8%。約5%も下げた。杉田氏の演出と妻夫木聡瑛太満島ひかり長沢まさみ蒼井優ら豪華メンバーの組み合わせだが、豪華さが必ずしも視聴率に直結していない。
山田太一倉本聡鎌田敏夫三谷幸喜ら10人のスター脚本家各氏が1話完結のホームドラマを手掛けることで話題のTBS「おやじの背中」(日曜9時)は、初回(田村正和松たか子)は15・3%という高視聴率だったが、2話(役所広司満島ひかり)は9・2%で、6・1%も急落した。やはり企画やキャストの豪華さだけでチャンネルを回してくれるほど、テレビ界にとって夏は甘くないのかもしれない。
唯一元気なのは、初回26・5%というたまげた視聴率を記録したキムタク主演のフジ「HERO」(月曜午後9時)。同局も大喜びたったが「問題は2話の数字がどうなるかで…」とまったく浮かれた様子がなかった。案じた通り、2話で一気に7・5%下げて現在19・0%。ここで踏ん張れるかどうか「3話の数字が勝負」と祈るように話している。夏ドラマの活気のためにも「『HERO』3話が勝負」に同感である。
(日刊スポーツ 7月23日(水)19時47分)

暑いから、ひんやりした話題もないと(苦笑)