やがて行き着く矛盾

<ドイツ>脱原発…前世紀の燃料採掘で光発電施設立ち退きも
脱原発」を決めたドイツで、原子力分の穴埋め用エネルギー源として地球温暖化の一因とされる二酸化炭素(CO2)を排出する石炭や褐炭(水分や不純物が多く低品質の石炭)への依存が進んでいる。急速な再生エネへの転換は難しく、当面は旧来のエネルギー源に頼らざるを得ないためで、褐炭の採掘場拡張のため住人が立ち退きを迫られるなど矛盾も表面化している。
パラドックス(逆説)だ。私たちは再生エネを成功させようと努力してきたのに、結局、褐炭という過去の資源の犠牲になってしまう」。東部ブランデンブルク州ウェルツォウで、太陽光発電会社を経営するハーゲン・レッシュさん(35)は憤りを隠さない。地元住民約5000人に太陽光による電力を供給してきたレッシュさんが所有する発電施設は、褐炭採掘のため立ち退きを迫られるからだ。
ドイツは2022年までに国内17基の全原発を停止する。政府は停止する原発分を補完するため太陽光・風力などの再生可能エネルギーの普及を進めているが、急速なエネルギー転換は進んでいない。
州政府は今月3日、電力会社が計画する26年以降の採掘場拡張案を認可。火力発電用に約2000ヘクタールが新たに採掘場として拡張される。レッシュさんの発電施設のほか、近くの住民約800人が立ち退き対象となった。住民側は反発を強めており提訴も視野に入れている。
同州では、旧東独の社会主義政党の流れをくむ左派党が連立政権の一角を担う。本来、左派党の党本部はCO2削減を訴える立場だが、褐炭が基幹産業の同州では、褐炭活用に賛成の姿勢を見せる。同党のクリストファーズ州経済相は「褐炭は放棄できない」と州政府の意向を強調する。
ドイツでは1990年代、石炭・褐炭は、総発電量に占めるエネルギー源の60%近くを占めた。その後、徐々に依存を減らし、10年には約41%まで下がった。だが11年の福島第1原発の事故後、再び割合が増え、13年は約45%まで上昇した。再生エネは現在、約24%にとどまっており、メルケル政権は石炭・褐炭を「当面は不可欠」(与党の連立協定書)と位置付けている。
◇ドイツの電力事情
政府は2022年までの全原発停止と、50年までに再生エネルギー割合80%達成を掲げる。13年現在の総発電量に占めるエネルギー別の発電割合は▽石炭・褐炭45.2%▽再生可能エネルギー(風力、太陽光など)23.9%▽原子力15.4%。福島第1原発事故後、原子力の割合が約2%減る。再生エネは固定価格買い取り制度もあり4%近い伸びを示す。一方で買い取り費用の上乗せで電気代高騰が課題になっている。
毎日新聞 6月17日(火)13時2分)

今の日本もそうだ。
脱原発」だけなら今でもできている。
しかし、クリーンエネルギーへの転換はすすんでいるか?
答えはNOといわざるを得ない。
将来的な脱原発には大賛成なのだが、今の「原発でなければすべてよし」的空気には賛同できない理由がこれ。