今のままでは3戦全敗

夢うつつ精神的に脆かったザックジャパンコートジボワール戦、必然の敗北。本田だけが見ていた現実
6月15日(日本時間)、日本対コートジボワールの一戦が行われ、1対2で日本は敗れた。先制した日本だったが、逆転負け。いつものようなサッカーができなかった。敗因はどこにあるのか?
■同じような形で2失点
「自分たちを表現できなかった」
長谷部誠は試合後に語った。キャプテンとして自分たちのサッカーができなかったことを敗因にあげた。
日本代表は本田圭佑のゴールで先制するも後半に2失点。その後、リズムを取り戻すことができず、そのまま敗れた。
攻撃ができなかったわけではない。前半は攻め込む場面もあった。だが、決定機はいくつあっただろうか。いつものような連動性はなく、穴はあったが、最後の最後で踏ん張るコートジボワールの守備陣を崩すことはできていない。
同時にコートジボワールにも攻め込まれていた。走れているうちは良かったが、後半、運動量が落ちてくると、ぽっかりと空いた右サイド(日本の左サイド)を使われ、いいようにクロスを上げられた。
失点は同じ形。1点失った時点で対策はできたはずだが、後ろに引くだけで組織的に守れてはいなかった。ザッケローニ監督の采配の遅さも出た。選手交代もそうだが、試合中にどのように守備を整えるのか、逆転されてからでは遅い。
リードを許すと日本はさらに浮き足立った。焦りが出て、得意のはずのパスワークもちぐはぐ。FW陣は同じような動きで重なることが多く、選手の数はいてもパスの出しどころはなかった。
勝てる要素はありながらも、負けるべくして負けた。ここで長谷部の言葉を振り返りたい。「自分たちを表現できなかった」。もちろんそれはそうなのだが、ここにコートジボワールに敵わなかった理由がある。
■自分たちばかり見ていたザックジャパン
ザックジャパンの選手たちはチームとしていい状態にあるようだった。ブラジル入りしてからも前向きなコメントが並ぶ。「チーム一丸となっている」「代表は本当にいいチーム。すごくまとまっている」「自分たちのサッカーをしたい」、などなど。声質は常に明るかった。
自分たちには向き合っていた。だが、そこに相手は存在していないようだった。ザックジャパンのいつものサッカーができなかった。ただそれは相手があってのことで仕方がない。やってみなければわからないことがある。
実際にピッチに立って、相手がどう出てくるのか、そこに対応する必要がある。ところが、選手たち(監督も)は戸惑うばかりで、バラバラになってしまった。攻撃陣はいつものように攻撃したい。その一方で守備陣は強力なコートジボワールの攻撃に対峙しなくてはならない。
チームとしてどう戦うべきなのか、見えにくくなったのはそこにある。そして自分たちを見失った。失点された焦りから、大味なパスが目立つ。得意でないハイボールを蹴り込み、上背で上回るコートジボワールが難なく跳ね返した。
精神的に弱いと言わざるを得ない。まるで自己分析ばかりしている就職活動中の学生のようだ。面接官の鋭い質問に、本意でないことを口走ってしまう。
自分たちのサッカーとは何だろうか? 攻撃的なこと、それは分かる。守備が不安定なのだからそうするしかない。だがそれは、型にはまった攻撃をすることではない。パターン化された攻撃は読みやすい。最後で止められたのはそこにある。上手くいかない焦りは無駄な動きを生む。自慢の攻撃陣は空転した。
■現実と向き合っていた本田圭佑
この試合、戦っていのは本田圭佑だけだった。コンディションをこの試合に合わせ、ぬかるんだピッチにも足をとられず振り抜いた左足から先制点を生んだ。状況に合わせて上下左右に動きまわり、ティオテら中盤の激しいプレスをどうかわすかを考えていた。
ビハインドの状態でも本田はボールをキープすることができたが、如何せん仲間がついてこなかった。
実力でそこまで劣っていたとは思えない。次にやれば勝つかもしれないが、実際にそのようなことはない。W杯は一発勝負で結果を出さなくてはならない。コートジボワールは「日本戦」という現実と常に向き合ってきた。
アフリカ一のタレント集団は、日本を相手にカウンター中心の戦い方で、なりふり構わず勝ち点3を目指していた。リードしてからは、しっかりと後ろの人数を増やした。
一方、日本はどうだったのだろうか。自分たちのサッカーを目指すのがいいが、大事なことを忘れてはいたのではないか。W杯で勝利より重要なことなどない。ザックジャパンの選手たちはどこか遠くを見ているようで、コートジボワールのことを見ていただろうか。
気付いたら追い詰められていた。そして負けた。今のところ現実を見ているのは本田だけだ。チームとして夢の世界から帰ってこなければ、ギリシャ戦も危うい。
フットボールチャンネル 06月15日(日))

2006年のドイツ大会、欧州組も増えて「日本版 黄金の中盤」なんて持ち上げられていた、あのときの雰囲気がだぶる。
日本は強くない。
そこに立ち返れば、勝機は見えてくるような気はするのだが・・・。