やっぱり美女が好き

大学ラグビーに舞い降りた美女。山崎紘菜19歳、彼氏はラガーマン!?
大学ラグビーのスタジアムで、ある変化が起きている。
語弊を恐れずに言うと、大学ラグビーといえば、「血と汗と涙」「団結と友情と青春」といった、スポ根まっしぐらの極めて男臭いイメージを連想することが多かったと思う。観客の男女比率も、圧倒的に男性が高い。さらに言ってしまえば、客席を埋めるほとんどが、大学ラグビーを長年見守り続けてきたであろう「おっさん」諸氏である。
そんな男臭さを中和する一服の清涼剤が、突如として現れたのだ。
会場周辺に飾られた美女のポスターの数々。彼女は大学選手権に出場する全18大学のジャージを軽やかに着こなし、それぞれにポーズを決めている。
その彼女が、試合後ピッチに現れる。勝利チームのキャプテンにインタビューをするためだ。
19歳。キャプテンとのやり取りは、正直、まだこなれたものではない。ティーンエイジャー特有のあどけなさが残る。
ラグビー選手権50回目にして初の「イメージモデル」。
しかし、だ。
その時、会場を包むムードはこれまでの大学ラグビーになかったものだ。
ほんの少し前まで鬼の形相で戦っていたキャプテンが、キュートな女の子を目の前にした、いち大学生に戻っている。スムーズな大会運営のために、眉間に皺が寄りがちなスタッフの目尻は下がりっぱなし。観客席にいるおっさんの表情は、まさに愛娘の晴れ舞台を温かく見届けるお父さんのそれだ。
彼女の名前は山崎紘菜(ひろな)。全国大学ラグビー選手権50回目にして初の試みとなる「イメージモデル」だ。
毎週スタジアムに通うおっさん諸氏は揃ってこう思っているはず。
ところでこの子、どんなコなんだろ? 
その疑問に答えるべく、試合後の彼女に聞いてみた。
●インタビューは全部任せてもらってます。
――試合が終わったら、勝ったチームのキャプテンにインタビューしてるじゃないですか。あの質問事項って、自分で考えてます? それとも協会が事前に用意してる? 
山崎 協会の方からは、全部任せてもらってます。ラグビーに詳しい方と一緒に試合を見て、マネージャーさんとも相談しながら、試合をしてる両チームの特徴みたいなのを書き出して。だから協会の人はハラハラしてるそうですけど(笑)。
――今日の「筑波の前からのディフェンス……」って質問のくだりは自分で考えた? 
山崎 そうですね。「筑波はディフェンスが前に詰めるから、相手の視界が狭くなる」っていうのを聞いて。実際に試合を見たらそのとおりで、勉強になるなあって。
――すごいですねえ。勉強熱心。
山崎 いやいや、わたしも勉強中なんで。わからないことだらけですし。
●ジャージを着ると力をもらえたような感じがして。
――大会イメージモデルとして、全18大学のジャージを着て撮影したじゃないですか。大変だったでしょ。毎回着替えて。
山崎 撮影の日は結構寒かったんですけど、ジャージを着ると力をもらえたような感じがして。一気に撮りましたよ。休憩なしで。
――18枚も着て、印象に残っているジャージとかありますか? 
山崎 まずジャストサイズだったのが早稲田でしたね。ピッタリでしっくりきました。あと明治は去年着たからちょっとホッとして。落ち着きましたね(※去年明大のイメージキャラクターを務めた)。帝京の時は、ちゃんとしなきゃって(笑)。
――何せ4連覇の王者ですからね。
山崎 でもポスター的に好きなのは、流通経済大学でした。顔の表情とか、自分的に好きなポーズでもあって。
――じゃあ、山崎さんが好きな色って何ですか? 
山崎 青が好きです。
――このポスターで言うと東海ですね。
山崎 そうですね。スタイリストさんが一番似合ってるって言ってくれたのは慶応でした。でも、東海大学のジャージ着たときに思ったことがあって。
――何を? 
山崎 東海大学のジャージって、胸からおなかにかけてゴム素材みたいになってるじゃないですか。だからボールキャッチしやすいんじゃないかなって。実際に東海大学の試合見たときも、選手がキャッチするときにゴムの音がして。ボールも取りやすそうでした。だから、みんな使えばいいのにって。トップリーグでは当たり前なんですよね。
●続けていたバレーで覚えているのは、チームの一体感。
――山崎さんのプロフィールを見ると、特技に「走り高跳び」とあります。陸上部だったんですね。
山崎 陸上は(東宝シンデレラの)オーディションを受けるまでの1年間くらいで、実はバレーボールのほうが長いんです。ポジションはずっとセンターでした。
――スポーツをやってて一番の思い出は? 
山崎 4×400mリレーをするときに、あれってめっちゃしんどくて。1人で400m走って、最後の100mは本当に苦しいんですけど、頑張って走ってバトン渡したときに、気持ちまで一緒に渡せたというか。そういう瞬間はすごく覚えてます。
――バレー時代は? 
山崎 部自体はあんまり強くなかったし、人数も少なかったんですけど、6人でプレーしていて、みんなの気持ちがつながる瞬間ってあるじゃないですか。仲間の考えてることが、言葉がなくてもわかる。その瞬間が一番好きで、やってて楽しかったし。
――チームスポーツの醍醐味ですね。
●「中学生の頃は特に生意気だったんで」
山崎 ラグビーもそうだと思うんですけど、ラグビーを見てると、審判に突っかかったりとか、絶対ないじゃないですか。
――基本、ないですね。
山崎 そういうのも素晴らしいなって思いますね。他の競技、例えばサッカーだとよく見かけますよね。
――まあ、言う選手はバンバン言いますね。
山崎 ピッて笛が鳴ったらプレーを止めて、審判の指示に従って。とてもステキだと思います。
――山崎さんがバレーしてたときはどうだったんですか? 審判に文句は? 
山崎 ……(笑)。
――言っちゃってたんですね。
山崎 結構言っちゃってましたね。「なんで? なんで?」みたいな(笑)。審判は生徒だったり、他の学校の先生だったりしましたけど、ジェスチャー込みでアピールしてました。中学生の頃は特に生意気だったんで。
●1分前にファミレスで送信した応募書類。
――たしか、東宝シンデレラの審査員特別賞を受賞したのが高校生の時。このオーディションに応募したのは自薦? 他薦? 
山崎 仲の良い友達が「これ、グランプリの賞金100万円だよ」って言ってきて。
――お金、ですか。
山崎 いやいや、だって高校生だからお金もないし、友達が「(賞金)ちょうだい」みたいな(笑)。それまでわたし、全然芸能界に興味なかったというか、自分には無理だと思ってたんですけど、その時はなぜかすんなり、「じゃあ、やってみようかな」って気持ちになって。で、応募書類を友達と一緒に書こうとしたんですけど、ファミレスで。
――ファミレス、ですか。
山崎 わたし基本めんどくさがりで、ずっと応募書類を出してなくて。締め切りが何月何日の23時59分までだったんですけど、締め切り当日の23時から作業始めたんです。友達と一緒に「間に合わないからネットでしちゃえ」って、ケータイで文字打って。
――ケータイ、ですか。
山崎 ああいうのって結構時間掛かるじゃないですか。写真も撮らなきゃいけないから。ヤバい! って思いながら送り終えたのが、ちょうど23時59分。だからあと1分遅かったら、このポスターも違う誰かの顔だったんです。今でもあの時、間に合って本当によかったなって思います
●目標は、日本アカデミー賞の主演女優賞。
――ちなみに、審査員特別賞の賞金は? 
山崎 ないです。東宝に所属させていただいたんで。でも今は、100万円以上のものをたくさんいただけたと思っています。
――こうして女優となって、何か目標とかありますか? 
山崎 主演女優ができる女優さんになって、日本アカデミー賞で主演女優賞を取る、というのが目標です。
●「人のために」がだんだん「自分のために」に。
――いま大学1年生で、デビューからわずか3年ですよね。
山崎 はい。
――しかも、東宝シンデレラのオーディションは友達のススメで受けた。
山崎 はい。
――たった3年で、なんでそこまで考えが変わったんですか? 
山崎 自分が女優になりたいって思ってたわけじゃないですけど、審査員特別賞に受かった以上、東宝に所属しないと落選した4万4000人の人たちに申し訳ないという気持ちがまずあって。最初は「人のために」という意識でやってました。でも、お仕事していく上でそれがだんだん、「自分のために」に変わって。
●夢とか目標に向かって努力してる人がタイプです。
――なぜ? 
山崎 いろんな方々との出会いが一番大きいです。事務所の方だったり、監督さんだったり、その方々からすごい色々なものをもらったんで、わたしも返したいと思って。
――返したい。
山崎 例えば衣裳もわたしのために無償で提供してくださるブランドさんがあって、髪の毛も「出世払いでいいよ」って言ってくれる美容師さんもいて。事務所の方も期待してわたしに投資してくださってるから、わたしがみなさんに返せる最大限のことが、アカデミー賞だと思うんです。
―― ……感心しきりで言葉が出ないです。最後に一番聞きたかったことを聞きますが、理想の男性のタイプは? 
山崎 夢とか目標をしっかり持ってて、それに向かってちゃんと努力してる人。同世代で、どこかの大学に受かりたい!って言いながら全く勉強していない人とか見ると、すごくカッコ悪いなって思いました。その夢に向かって突き進んでいる人はすごいキラキラしてるし。
――じゃあ、大学ラグビーでひとつでも上に行くっていう夢を持ってプレーしている選手たちはカッコよく見える? 
山崎 カッコよく見えますね。ラグビー選手の方々とお話させてもらうと、皆さん何か目標を持ってらっしゃって。礼儀やマナーもしっかりできてるし、他人を敬う姿勢もすごいと思います。ラガーマンって体格もいいし。いま草食系男子って多いじゃないですか。ちょっと女性っぽかったり、体型も細かったり、おしゃれに気を使ったり。そういう人より、男らしい人のほうが好きですね。
●ズバリ、ラガーマンは彼氏にOK!?
――ズバリ聞きますけど、ラガーマンを彼氏にするのはOK? 
山崎 もちろんOKです! 
これまでスポーツイベントにおけるイメージモデルを数多く取材してきたが、彼女は例外中の例外だった。
どれだけ寒くても観客席で試合をちゃんと見る。アドバイスを受けながらメモを取る。ハーフタイムにファンが駆け寄ってきたら笑顔でサイン。握手の際は当然のように手袋を外す。試合を見ながら質問事項を考えて勝利キャプテンにインタビュー。試合後の監督&主将会見にも顔を出し、臆することなく質問。そして、自らの写真が表紙となった大会プログラムをブースで手売りもする。
彼女はこうも言っていた。
「常に自分の気持ちに正直にやっていきたいんです」
大学選手権のイメージモデルという仕事を通じて、ラグビーというスポーツに真正面から向き合う真摯な姿勢が垣間見れた。
インタビュー中も、当たり障りのない定型句を並び立てるのではなく、彼女の価値観や経験に基づいた、彼女にしか話せない「正直な」言葉を残してくれた。
だから、「彼氏ラガーマンOK」も“ガチ”だ。
決してリップサービスではない。念押しで2回確かめたが、答えは変わらなかった。
●公開デート申し込みに踏み切るキャプテンはいるか。
その時、ふと思った。
80分間の死闘のあと、ピッチ上で行なわれる山崎さんによる勝利キャプテンインタビュー。質問に答え終えたキャプテンが最後に言い放つ。
「優勝したら、僕とデートしてください!」
そんな肝の座ったキャプテンがいたら、決勝はかつてない(方向性から)異様な盛り上がりを見せるのではないか、と。
ここまでを読んで公開デート申し込みを本気で検討しているラグビー部主将にちょっとしたアドバイスを送るなら、彼女はああ見えて非常に“大食い”で、一晩に「ロケ弁1人前+うどん2杯+リゾット1皿+ラーメン1杯」を平らげたのが今までの最高。好物はパスタ、寿司、焼肉、牛丼で(最近特にハマっているのが牛丼で「なか卯」派らしい)、得意料理はカレー。「ガツガツ食べる男だったら、いくらでも食べさせてあげたい」そうだ。
(Number Web 12月30日(月)16時31分)

男前だし、すごくアスリート気質を感じますね。
大きくなりそうな予感。