エールフランスには乗るな

フランスのサービスは世界最低って本当? 
ボンジュール!! 皆さん、年末の忘年会シーズン、旅行シーズンですがいかがお過ごしですか? 旅行先は決められた?もしヨーロッパに、特にフランスに行こうとされている方は、選ばれる航空会社に注意してほしい。
最近、無意識にグーグルで “エールフランス サービス最低”と検索することが多くなったのだが、その検索結果に大いに勇気づけられた。ネット上ではエールフランスのサービスに対するクレームが噴出しており、決して私だけがエールフランスの悪意の犠牲者だったわけではなかったのだ。しかしこれはより大きな問題をはらんでいる。
なぜフランスという大国の印象を大きく左右する、その国の玄関であり顔でもあるナショナルフラッグシップの航空会社で低劣なサービスが横行しているのだろうか。お陰様でキャセイパシフィックのサービスが相対的に良好に思え、また日本と比べて随分無礼に感じた香港のサービスもフランスと比べると愛しくて仕方がない。
ネットでのエールフランスの劣悪なサービスに対する膨大な書き込みをみて、当該航空会社の横暴に泣く被害者がこのグローバルエリート一人ではなく、世にゴマンと犠牲者がいることを問題視し、当問題に公共性を認めてあえて世の航空会社の横暴な姿勢をこの場で正すことにした。
ちなみに私はこの場で書く前に何度も誠実に該当会社に協議を申し出たが、残念ながらなしのつぶてであり、相手が小さな会社ではなく公共性の高い大規模航空会社であることから、ユーザーの権利向上のためにも今回コラムで触れさせていただくことにした。
本問題は一つの航空会社に限った事ではなく、航空業界で一般的に行われている驚くべき顧客の利益を度外視した商慣行が問題といえるだろう。
■ 飛行の遅延に、座席のオーバーブッキングがもたらした大迷惑
つい先日、私は香港で某政財界を代表する要人に呼んでいただき講演会に登壇することとなった。「世界中のエリートの働き方を一冊にまとめてみた」が皆様の多大なる愛情を受けたおかげで講演に呼んでいただく機会が増え、これからも目の色を変えて「一冊にまとめてみた」を世界中で売りまくる所存である。話は戻って、私はロンドンに滞在しており、パリ経由で香港に向かうことにしたのだが、私の運の尽きはサービスが酷いことで有名なフランスの某航空会社を利用したことだった。
まず手始めに、悪天候でロンドンからパリへの便が一時間か何か随分遅刻したのだがこれは理解しよう。しかし私は乗継の便に間に合うか心配でフライトアテンダントさんに“どのくらい遅延するのか”説明を求めたのだが、客からのコールはそっちのけでいつもながら全力無視だ(なおフランスではレストランとかでも手を挙げたり視線があったり声で読んだりしても、店員さんが来てくれるのは異例であり、期待してはいけない)。
当然のごとく客席に灯る“乗務員さんを呼んでいますボタン”のライトを無視して談笑にふけっているフライトアテンダントまで私が歩いていき、私のコネクティング・フライトに間に合うのか問い合わせたところ、腹を立てたような激しい口調で「そんなに重要なミーティングがあるなら、なぜもっと早いフライトを予約しないのか!? 」と逆に詰問してくる。
この信じられない対応に驚きつつも、ここはまだフランスなんだから、このような対応は当たり前ではないか、逆に礼儀正しかったらフランスではないじゃないか、と自分に言い聞かせて怒りを鎮める。
■ エールフランス社員の、ちぐはぐな対応
なんとか一時間遅れでパリにつき、乗継便までギリギリ時間が間に合いカウンターに向かうも、その場で私に告げられたのは 「もう乗継便まで時間が無いから、今日は無理」とのこと。
「どうしたんだ俺、ここはフランスじゃないか、ドンマイ、当たり前当たり前! 」とそれでもめげずに自分に言い聞かせ隣のカウンターで他のエールフランスの職員に聴けば、「いやいやまだ間に合う、ゲートに向かって急いで行って」と私に告げる。乗継チケットがないのにゲートに行ってどうなるのかと思ったのだが指示に従いゲートに向かったところ、当然のことながらチケット提示を求められ、再びカウンターに追い返される羽目になった。
再びエールフランスカウンターに戻ると、エールフランス社員が全員帰宅して誰もいないのがすごい。なんとかエールフランスの制服を着ている職員を見つけて事情説明を説明すると、嫌々ながらもパソコンで状況を調べてくれて、そこで真相が明らかになった。
「あー、これはオーバーブッキングだからあなたにチケットをあげられなかったのだ。明日の便に振り替えるから、明日同じ時間に来てほしい。他の航空会社で早く行く便は満席だ。はい、これがホテルのバウチャー」とのことである。
■ オーバーブッキングで乗客のスケジュールを平気で犠牲に
エールフランスよ、ちょっと待ってくれ。天候が悪くて出発が遅延するのは理解しよう。しかし本来私が予約していた便がオーバーブッキングされていなければ、私は平和に香港に予定通り帰ってこれたはずだ。
エールフランスに限らず航空会社はオーバーブッキングすることがあるが、これは一定の割合で予約をキャンセルする人がいるので、利益を確保するため座席数よりも多くのチケットを売るためだ。
これは航空業界の驚くべき商慣行である。航空会社の利益のために、客の遠い海外での予定や仕事、相手先との信頼や仕事を通じての利益が平気で犠牲にされているのである。
■ しぶとく抗議すれば、600ユーロは帰ってくる
私が「一日遅れれば私の香港でのミーティングに間に合わず、香港に行く意味もなくなってしまう。他の航空会社の便からでも探して、少しでも早く香港に着くよう振り替えて欲しい」と要請をしてもなしのつぶてであった。
私がしぶとく抗議を続けたところ、“これは当社のオーバーブッキングのせいだから”と600ユーロの現金か800ユーロ分のエールフランスショッピング券みたいなものを提示してくる(これも抗議しなければ、知らされなかったことである)。
私が「香港でのミーティングを逃して私が失うものはたかだか600ユーロではなく、私がパリに一日延泊して失う時間の価値も、600ユーロなんかはない。とにかく明日の香港でのミーティングに間に合う便に変えてくれ」とお願いしても、「間に合う便は他の空港会社もない。これ以上のことはできないからカスタマーセンターにきいて」の一点張りである。ちなみに実際はエアロフロートが空いていて、私は結局それで香港に飛ぶことにした。
後にカスタマーセンターに指定されたオンラインフォームで問い合わせたら、3週間くらいたってようやく来た返事が、「パリから香港までの分は返金に応じるが、ロンドンからパリの分は返せない」というものだった。
そしてそれに対する私の礼儀正しい抗議のメールは、10日間無視され続けているのだが、皮肉なことにエールフランスのプロモーションメールが連日送りつけられている。この航空会社のカスタマーセンターは顧客の苦情を処理するためにあるのではなく、カウンターでの抗議を切りあげさせるために存在している、といった感じである。
■ フランスのサービス水準向上に向けて
フランスがサービスに問題が多い国であるのは、残念ながら確かである。人は無礼なことが多く、レジとか受付の仕事は遅く、ビサなども壮絶に非効率な官僚主義と公務員の多さのために途方もない時間とプロセスがかかる。最近フランスの観光業組合か何かがフランスはサービスが悪い、という印象を変えるために諸々の改革案をとっているらしいが、フランスへの窓口であるエールフランス社員の意識改革や企業文化改革が最優先事項であろう。
誤解のないように書くと、私はフランスが大好きでその文化を尊敬している。この一連のおそらく世界最低水準(一人当たりGDP比)のサービスにも関わらず、世界中で最も観光客が押し寄せるほど、その文化は世界的に尊敬され強い吸引力を有している。しかも生きるために働くのではなく、働くために生きる人が多い現代のグローバル・競争社会において、これほど働くことが人生を楽しむための二の次であることが徹底しているカルチャーも見上げたものである。
しかしフランスが好きだからこそ、このフランスへの玄関である航空会社のサービス改善を切に求めたい。私のヨーロッパの友人だけでなく、フランスの友人もエールフランスはできるだけ使わない、と怒っている人が極めて多いのに驚いた。やはり国営カルチャー、社会主義カルチャーの会社では経営が極めて苦しかろうと、サービスを改善するという民間での競争の基本が根付くことはないのだろうか。
今後エールフランスが観光大国・文化大国フランスの空の顔として恥じないサービスをフランスへの訪問客に提供することを、心より祈念する次第である――もう一生使わないけど。オーボワ、エールフランス!!  
東洋経済オンライン 12月29日(日)8時0分)

こういうのを読むと、日本人はもっと自信を持っていいことがわかりますね。
要は、白人は無礼な態度をとって見下すことで優位に立とうとしていただけなんじゃなかろうか。
それがわかれば人種差別も恐るるに足りん。