一粒300メートルどころではない

通期の利益が2倍? グリコ大飛躍のワケ
歴史的な猛暑が日本列島を飲み込んだ今年の夏。グングンと上昇し続けた気温は、グリコの業績をグイグイ押し上げたようだ。
菓子メーカー大手の江崎グリコ <2206> は10月22日、2013年度上半期(4〜9月期)の業績予想を上方修正した。売上高の見通しは1696億円(前年同期比8.3%増)で、従来予想より16億円の上乗せ。本業の儲けを示す営業利益に至っては97億円(同88.6%増)と、従来よりも40億円の上乗せとなった。 グリコの説明によると、国内の菓子、アイス、乳製品のいずれも従来の想定よりも好調だったという。ただ、それ以上に上半期の業績を押し上げたのは、販売促進費や広告宣伝費が計画を大きく下回ったことだ。
会社側はこれ以上の詳細な説明を避けているが、今夏の状況から推察すると、「パピコ」をはじめとするアイスの売れ行きが好調だったと見られる。そもそも、アイスはほかの製品に比べて利益率が高い。そのうえ、猛暑のおかげで小売り店舗に対する販売促進費やCMなどの広告宣伝費を多少抑えても、飛ぶように売れたと考えられる。
円安が進んだことで、チョコレートの原料となるカカオなどの輸入価格が上昇したが、その影響は十分に吸収できたようだ。
■ 営業利益は大台超えも視野
上半期の絶好調を受けて気になるのは、通期の予想がどうなるのか、という点だ。
会社側は「通期の連結業績予想については精査中」としており、10月30日の上半期決算発表に合わせて公表する予定だという。そこで、独自に通期業績を予想してみた。
グリコが公表している最新の通期予想は、売上高が3145億円、営業利益が62億円。この予想を据え置くとなると、下半期の業績は売上高が1448億円、営業損失が35億円という計算になってしまう。いくらグリコが夏場に売れるアイスの影響で上半期に利益が偏る会社だとしても、これではあまりに不自然だ。
グリコの松本節範・経理部長は「下半期予想の前提に関して、7月30日の第1四半期(4〜6月)決算発表時点と現在で大きな変化はない」と語る。7月30日時点の会社側の下半期予想は売上高が1465億円、営業利益が5億円。今回発表された最新の上半期予想に、この下半期予想を足すと、通期業績は売上高が3161億円(前期比7.9%増)、営業利益が102億円(同2.2倍)という計算になる。
仮にこの数字が達成できたとすると、営業利益が100億円の大台を超えるのは2009年度以来。さらに純利益に関しても、上記の前提に立つと80億円となり、同じく2009年度の過去最高益70億円を更新することになる。
松本経理部長は「上半期が好調だったとしても、下半期に潮目が変わることもある」と慎重な見方を崩さない。上半期のリードを保ったまま、下半期も逃げ切ることができそうなのか。あるいは、新たな懸念要因が生じているのか。10月30日の上半期決算発表が待たれるところだ。
東洋経済オンライン 10月23日(水)6時00分)

猛暑さまさまってとこなんだろうか。