世界に門戸を開け

仏での肉腫治験、日本人も対象へ ゲノム創薬使い「顕著な効果」
日本の研究成果を基にフランスで始まったがんの一種、滑膜(かつまく)肉腫に対する世界初の抗体薬を使った臨床試験(治験)に、日本の患者も参加できる見通しであることが分かった。仏側の責任者を務めるレオンベラールセンターのジャン・イブ・ブレ教授が10月3日、横浜市で開かれる第72回日本癌(がん)学会学術総会で発表する。
滑膜とは骨の関節をなめらかにする膜で、そこにがんができる滑膜肉腫は命にかかわる難病。
治験はヒトゲノム(全遺伝情報)解析から研究・開発された「ゲノム創薬」の効果を調べている。
治験の第1段階では昨年から今年8月末までに参加した滑膜肉腫の患者らの中から計5人が治療に移行。ブレ教授は「うち数人に顕著な効果があり、がんが縮小または同程度の大きさを保っている。脱毛などの副作用はほとんどない」ことなど治験の状況を公表する。
第1段階はフランス国籍の患者に限定。同教授は「第2段階の治験は欧州各国や米国に拡大し、そこには日本の患者も参加できるだろう」との見通しも明らかにする。第2段階は2015年ごろ開始予定。
抗体薬は米シカゴ大の中村祐輔教授が東大時代に研究員とともに治療の標的を発見し、肉腫が消える動物実験を成功させ、創薬を手がけるオンコセラピー・サイエンスが開発を担当。仏側は公的な補助金を出すなどして治験を誘致した。
同総会の大会長を務める中村教授は「この病気は、有効な治療薬がなく、日仏の力を結集し、一刻も早く患者に届けたい」と語った。
産経新聞 9月30日(月)7時55分)

スタートが日本だっただけに、ありがたい話ですよ。