堺市 VS 大阪都

15日告示の大阪・堺市長選 都構想の現状と対立の構図
15日に告示される大阪府堺市長選(今月29日投開票)。大阪府下の一地方選挙が注目を集めています。最大の争点は地域政党大阪維新の会」の看板政策であり、同党の橋下徹代表(大阪市長)が提唱している「大阪都」構想の是非です。都構想の実現には堺市の参加が不可欠ですが、現職市長は反対姿勢を鮮明にし、維新側は公認候補を立て真っ向からぶつかり合う構図になりそうです。
元々橋下氏は前回の堺市長選で現職を推していましたが、当選後、都構想をめぐり袂を分かった因縁もあります。維新は先の参院選で惨敗、橋下氏の進退問題も浮上しました。今回の市長選で公認候補が敗れれば、都構想は後退し、進退だけでなく党の存亡の危機につながりかねないだけに、今後の政界再編もめぐって目が離せません。
堺市長選にはこれまでに、現職の竹山修身氏(63)と、新人の西林克敏氏(43)=大阪維新の会副幹事長=の二氏が出馬を表明、事実上の一騎打ちの公算が高くなっています。
■都構想の現在
争点の「大阪都」構想は大阪府大阪市、そして堺市を廃止してひとまとめにし、新たに「大阪都」を作ろうというもの。特別区に分割することを目指し、各区では区長選挙を行う形になります。大阪都になることで行政が一つに統合され、長年批判された府と市の二重行政をなくし、効率化が図るというのが狙いです。維新の会の構想では大阪市堺市を再編し、20特別都区にする案が出ています。
また昨年11月、大阪市の公募区長プロジェクトチームが、大阪の24行政区を再編し5か7区の特別区にまとめる4つの素案を、橋下市長へ提示、公表しています。橋下氏は2015年に府市再編と特別区発足を実現する目標を掲げています。堺市は人口80万人を超す政令指定都市で、大阪府下二番目の大都市であり、都構想では重要な位置づけ。維新公認の西林氏は「大阪府市統合本部に堺市も直ちに参加する」と掲げ、都構想に積極的な姿勢を示しています。
■対立の構図
しかし、竹山氏は「堺市大阪府の間には二重行政はなく、都構想は堺市自治を奪う」として反対姿勢を打ち出しています。もともと竹山氏は橋下氏が大阪府知事時代の政策企画部長で、橋下氏の支援を受け前回の市長選(2009年)で当選しました。その後2010年に大阪維新の会が設立されるのですが、竹山氏は都構想に反対を表明。維新側から見れば裏切られた形になりました。
一方、竹山氏としては「前回市長選のときに都構想はまだ話としてなかった」という立場です。府と大阪市堺市がひとまとめに都となり、新たに特別区として堺市も何区かに区割りされ、区長も公選となれば、「堺のことは堺で決められなくなる」と指摘、堺の分割を許さない構えです。
■都構想に影響も
橋下氏は7月の参院選の敗北の責任から日本維新の会共同代表について辞意を表明しましたが、党幹部の慰留もあり続投しました。しかし今回の堺市長選で支援候補が敗れれば、求心力の低下は避けられません。ましてや前回の市長選で推した現職に敗れることになれば、大阪都構想そのものの見直しも迫られます。このため橋下氏は8月下旬のパーティーで「絶対負けられない」とげきを飛ばしたと伝えられています。
竹山氏はこれまでに民主の推薦を取り付け、都構想に反対する共産の同調も得ました。ただ、自民党本部は推薦より支援レベルの低い支持にとどめました。また竹山、西林両陣営から支援を求められていた公明は自主投票に回り、都構想の是非については態度を先送りにした形です。維新は参院選で敗れたとはいえ、大阪選挙区では公認候補が当選するなど地元では一定の強みを見せており、激戦が予想されています。
■その他の争点は
今回の市長選では大阪都構想の議論が先行しており、地元の経済対策などは争点としてぼやけている印象ですが、地元企業や経済関係者に聞いたところ、「取材を受けるのは遠慮したい」「今回はコメントを控えたい」という声が複数で聞かれ、じっと選挙の動向を見守りたい雰囲気が強いようです。
自民などの政権与党にとって憲法改正論を模索するとき、維新の会との連携は一つの選択肢。一方、民主など野党にとっても与党側に対抗するには野党再編が大きな課題だけに、堺市長選の結果による維新の浮沈は今後の政界にも影響を与えそうです。
(THE PAGE 9月14日(土)14時14分)

維新も旗色が悪そうだし、「大阪都」は幻になりそうな予感。
もともと無茶といえば無茶だけど。