復活の序章

長友が「覚えるのも大変」と語るマッツァーリの戦術。新監督の下でインテルは上位に進出できるのか?
■徐々に深まりを見せる戦術浸透度
18日、インテルコッパ・イタリア第3回戦でセリエBチッタデッラと対戦した。上位は4回戦からの出場だが、昨シーズン9位に終わったインテルはこの時期からの試合を強いられる。ただセリエA開幕を一週間後に控えたスパーリングと考えるなら、いいマッチメイクとも言える。
そしてその試合で4-0。相手DFの退場が絡んだとはいえ、久しぶりにサン・シーロで危なげのない内容。そして何よりマッツァーリ新監督の戦術が各選手に大分浸透し、(今度こそ)いい意味でインテルが変わりそうな雰囲気が高まってきた。
それは、長友一人の動きを見ていても分かる。この日は試合前に「今日は左で出るように」との指示を受け、「練習もずっと右でやっていたのでびっくりした」という彼だったが、これまで右ウイングバックで出場したプレシーズンの4試合と変わらずスムーズにゲームに入ることが出来た。右ではグアリンカンパニャーロと良く連動して動けていたが、同様のメカニズムが左でも機能していたのだ。
インサイドMFのアルバレスは、外にも積極的に張り出してサイドをサポート。それに呼応して中にスペースが出来れば長友が内側に入り、スペースが出来たところにすっとパスが出て来る。
マッツァーリと6年の付き合いで戦術を熟知するカンパニャーロと違い、左のCBファン・ジェズスは守備で若干の不安定さを見せてはいたものの、ビルドアップの際にはアルバレスや長友を走らせ易くするよう、縮めたポジションを取る。そうした中で長友も高い位置を取り、前に行くことが出来ていたのだ。
それはやはり、チームとして戦術理解が深まっていることの表れである。「攻撃でも守備でも、覚えるのも大変なくらい色々なパターンがある。頭をパンパンにしている」と言う長友だが、やりにくそうにはしていない。
「本当に高い位置で勝負もできるし、チームとして守備も攻撃的な守備をする。ということは前でボールを取れる回数が増えるということで、本当にやってて楽しい」と、むしろ新戦術の効果を前向きに語る。
インテルに欠けていたものをもたらしたマッツァーリ
例えばその長友が言うところの「攻撃的な守備」だが、前半にこんなシーンがあった。インテルから見て左、つまりチッタデッラの右サイドバックがサイドに開いてボールを保持すると、アルバレスインサイドから飛び出してプレスを掛ける。
チッタデッラのMFがヘルプに入ろうとすると、そこには長友がアルバレスと入れ替わるように中へ絞り、パスコースを遮ってプレッシャーを掛けるのだ。
一見大胆なポジショニングだが、彼らが開けたポジションには後方の選手がスライドし、ボールサイドのスペースは閉められている。結局プレッシャーをかけられた選手は出しどころを失い、アルバレスにぶつけてボールはタッチを割った。
緻密にカバーリングを行い、ボールを取る時にはアグレッシブに前から奪う。しかもフォアプレス一辺倒ではなく、ボールの位置に従い引くべき時にはラインを深く設定し、奪う局面では連動して詰める。こうした組織守備の構築はナポリ、いやレッジーナ時代から続くマッツァーリ戦術の源流をなすもので、近年のインテルに欠けていたものでもある。
そのようなベースのもとで、個々の選手も伸びる兆しを見せている。ポジショニングの意識が高まったグアリンは周囲と連動して動けるようになり、オフ・ザ・ボールでも良く走るようになったアルバレスは試合中に消えなくなってきている。
安定した組織守備で真ん中を抜かれることが少なくなったことが相まってか、ラノッキアも失われていた安定感を取り戻しつつある印象だ。
「確実にチームは成長している。もっともチッタデッラ戦では、選手たちは本来やれることの6割しか出来ていなかった」とマッツァーリは上を求める。
他のクラブに比べると補強も地味になったインテルだが、 才能のある若手を育て緻密な戦術が浸透した暁には、昨季のフィオレンティーナよろしく3位争いに喰い込むことは十分可能と見る。
■徐々に深まりを見せる戦術浸透度
18日、インテルコッパ・イタリア第3回戦でセリエBチッタデッラと対戦した。上位は4回戦からの出場だが、昨シーズン9位に終わったインテルはこの時期からの試合を強いられる。ただセリエA開幕を一週間後に控えたスパーリングと考えるなら、いいマッチメイクとも言える。
そしてその試合で4-0。相手DFの退場が絡んだとはいえ、久しぶりにサン・シーロで危なげのない内容。そして何よりマッツァーリ新監督の戦術が各選手に大分浸透し、(今度こそ)いい意味でインテルが変わりそうな雰囲気が高まってきた。
それは、長友一人の動きを見ていても分かる。この日は試合前に「今日は左で出るように」との指示を受け、「練習もずっと右でやっていたのでびっくりした」という彼だったが、これまで右ウイングバックで出場したプレシーズンの4試合と変わらずスムーズにゲームに入ることが出来た。右ではグアリンカンパニャーロと良く連動して動けていたが、同様のメカニズムが左でも機能していたのだ。
インサイドMFのアルバレスは、外にも積極的に張り出してサイドをサポート。それに呼応して中にスペースが出来れば長友が内側に入り、スペースが出来たところにすっとパスが出て来る。
マッツァーリと6年の付き合いで戦術を熟知するカンパニャーロと違い、左のCBファン・ジェズスは守備で若干の不安定さを見せてはいたものの、ビルドアップの際にはアルバレスや長友を走らせ易くするよう、縮めたポジションを取る。そうした中で長友も高い位置を取り、前に行くことが出来ていたのだ。
それはやはり、チームとして戦術理解が深まっていることの表れである。「攻撃でも守備でも、覚えるのも大変なくらい色々なパターンがある。頭をパンパンにしている」と言う長友だが、やりにくそうにはしていない。
「本当に高い位置で勝負もできるし、チームとして守備も攻撃的な守備をする。ということは前でボールを取れる回数が増えるということで、本当にやってて楽しい」と、むしろ新戦術の効果を前向きに語る。
インテルに欠けていたものをもたらしたマッツァーリ
例えばその長友が言うところの「攻撃的な守備」だが、前半にこんなシーンがあった。インテルから見て左、つまりチッタデッラの右サイドバックがサイドに開いてボールを保持すると、アルバレスインサイドから飛び出してプレスを掛ける。
チッタデッラのMFがヘルプに入ろうとすると、そこには長友がアルバレスと入れ替わるように中へ絞り、パスコースを遮ってプレッシャーを掛けるのだ。
一見大胆なポジショニングだが、彼らが開けたポジションには後方の選手がスライドし、ボールサイドのスペースは閉められている。結局プレッシャーをかけられた選手は出しどころを失い、アルバレスにぶつけてボールはタッチを割った。
緻密にカバーリングを行い、ボールを取る時にはアグレッシブに前から奪う。しかもフォアプレス一辺倒ではなく、ボールの位置に従い引くべき時にはラインを深く設定し、奪う局面では連動して詰める。こうした組織守備の構築はナポリ、いやレッジーナ時代から続くマッツァーリ戦術の源流をなすもので、近年のインテルに欠けていたものでもある。
そのようなベースのもとで、個々の選手も伸びる兆しを見せている。ポジショニングの意識が高まったグアリンは周囲と連動して動けるようになり、オフ・ザ・ボールでも良く走るようになったアルバレスは試合中に消えなくなってきている。
安定した組織守備で真ん中を抜かれることが少なくなったことが相まってか、ラノッキアも失われていた安定感を取り戻しつつある印象だ。
「確実にチームは成長している。もっともチッタデッラ戦では、選手たちは本来やれることの6割しか出来ていなかった」とマッツァーリは上を求める。
他のクラブに比べると補強も地味になったインテルだが、 才能のある若手を育て緻密な戦術が浸透した暁には、昨季のフィオレンティーナよろしく3位争いに喰い込むことは十分可能と見る。
フットボールチャンネル 8月20日(火)13時20分)

で、毎年そのようにならないというお約束・・・。