あんまし仰天でもない

エイベックスの“仰天”採用計画
エイベックス・グループ・ホールディングス。音楽分野でトップを走るエンターテインメント企業が、新入社員の採用方針を大胆に転換した。来年(2014年)春入社予定の新入社員の選考について、卒業予定の学生のみを対象とする「新卒一括採用」をやめる。20代の若い世代に限るものの、学歴、就労経験、過去の不合格実績などを問わない人材を対象とした新たな選考試験を実施する。明治期に生まれ、いわゆる大企業の大量採用モデルとして確立した日本独自の雇用慣行から脱却して、これまでにない人材の獲得を目指す狙いだ。
エイベックスは、今年度の採用において、「“志”一括採用」と呼ぶ新たな採用方針を打ち出した。29歳未満の人材を対象に、新卒・既卒のみならず学歴や国籍、就労経験などに関係なく、選考試験の応募を受け付ける。
応募に当たっては、選考の過程で複数回実施するグループワークや現場体験などのビジネスコース、インターンなどへの参加や、採用が決まった場合は、来年春に正式入社ができることなどが最低条件となる。対象者を29歳未満としているのは、長期勤続によるキャリア形成を図るためだ。
■ 自社HPのみで公表
エイベックスは“志”一括採用について、プレスリリースや記者会見などによるマスコミ向けの発表は行わず、概要をエイベックスのホームページ(HP)に掲載することで公表した。すでに7月24日(水)にWEBエントリーを締め切り、現在は、7月29日(月)15時必着で『挑戦状』と呼ぶ応募書類を受け付けている段階。書類選考通過者は、説明選考会や複数回に及ぶビジネスコースの受講、プレゼン、インターンなどを約5カ月にわたる選考に臨む。これをすべて突破できれば、12月25日に内定を授与されるスケジュールとなっている。
. エイベックスのHPでは、新たな採用方針について、エイベックス・グループ・ホールディングスの三浦卓広執行役員総務人事本部長と、エイベックス・プランニング&デベロップメントの青木義人社長の対談も紹介している。
■ 「今の新卒採用は形式的で受動的」
その中で三浦氏は、「今までのような形式的で受動的な新卒採用では、急速に変化し続けるマーケットに対応できる人材を発掘することは、非常に難しいと感じている。私たち企業側も皆、型にはまった選考をこなすことに一生懸命になり、さらに就職活動の期間が限定されたことで、競争が激しくなり、学生の皆さんにとっては内定を勝ち取ることがゴールになっているような気がします」などとコメントしている。
また、「独自に構築した育成プログラムを通し、就職時期だから、人気ある企業だからといった表層的ではない人材採用をしていくことが必要。そのためには、時期や形式に縛られた従来型の新卒採用ではない、新しい採用のあり方が必要」などという青木氏の見解も紹介している。
三浦氏が言うように、日本の雇用慣行となっている新卒一括採用は、いわば「一発勝負」の要素があり、選考は運に左右される面も少なくない。日本の雇用環境は新卒で、どの会社に入るかで大きく人生が左右され、一般的に転職の壁は高く、欧米ほどの流動化が進んでいないのが実状である。実際に就労経験のないまっさらな学生だけを相手に、未来を託す人材を集めるのは、企業側にとってリスクが高くなっているという側面はあるだろう。
エイベックスの挑戦は、日本の雇用慣行に一石を投じるものだ。一方で、グローバル化やIT・ネット化の進展により、経済社会が複雑化・高度化していく中で、若い世代の就労環境がますます厳しくなってきていることも示しているように見える。
東洋経済オンライン 7月26日(金)18時20分)

面白い試みだけど、影響は限定的と見る。
音楽ビジネスだからね。
他業種の方々が、あまり「自分たちと同じ」と思わないのではないか。