対処療法ですらない

<禁酒令1年>福岡市、不祥事続き効果疑問
福岡市職員による飲酒絡みの不祥事続発を受け、高島宗一郎市長(38)が全職員に自宅外での1カ月禁酒を要請した「禁酒令」から21日で1年になる。職員の私生活に踏み込んだ異例の不祥事対策として論議を呼んだが、高島市長は「組織引き締めのために必要だった」と意義を強調した。しかし、その後も不祥事は続いたうえ、職員が日本弁護士連合会に人権救済を申し立てるなど、「禁酒令」は解除後も疑問符や異論がつきまとっている。
高島市長が「飲酒絡みの不祥事の連鎖を断ち切る」として「禁酒令」を出したのは昨年5月21日。職務命令ではなく違反しても処分されないが、市は懲戒処分の基準を厳格化したほか、不祥事の原因究明プロジェクトチームの発足や管理職研修の徹底も打ち出した。
その結果、1カ月間の違反者は1人だけ。解禁翌日の6月21日、市長は「やればできると思った。職員との連帯感を確認できた」と胸を張った。
「禁酒令」は他自治体にも波及した。宮崎県川南町は今年1月、飲酒運転の職員逮捕を受け全職員に外出先での禁酒を要請。佐賀県大町町も4月、職員の収賄容疑での逮捕を受け、職員に飲酒を伴う外食自粛を指示した。
しかし「発信地」の福岡市では半年後、不祥事が続出する。昨年12月1日、東日本大震災の被災地に派遣された職員が酒を飲んで同僚を殴り傷害容疑で、翌日には福岡市内で酒を飲んだ小学校用務員が警官への公務執行妨害容疑などで逮捕された。今年3月にはアルコール依存症で治療中の職員が飲酒事故を起こして逮捕された。
ただ、昨年度の懲戒処分者数は15人と3年連続で減少。市は「禁酒令」も含めた不祥事対策の効果が一定程度あったとみている。
一方「禁酒令」を巡っては、期間中に男性職員が行きつけの飲食店に行きにくくなり、生活パターンが変わるなど人権を侵害されたとして、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。移送を受けた福岡県弁護士会が調査を進めており、市はその行方を注視している。
評価が定まらない「禁酒令」だが、市は「禁酒令」1年に合わせて今月15日付で、高島市長が全職員宛に不祥事防止の取り組み継続を呼び掛けるメールを送った。市コンプライアンス推進課も「これまで通りの取り組みを続け、はみ出る者には厳罰で対処するしかない」と話している。
毎日新聞 5月20日(月)6時59分)

飲んで何かをやらかしたら厳罰、の方が効果なくないですか?