4月にはもう桜がない

<桜満開>異例の早さ イベント関係者は対応に大わらわ
東京の桜(ソメイヨシノ)が統計開始以来2番目の早さで満開になり、例年通りの日程でイベントを予定していた関係者は対応に大わらわになっている。今週末は花見のピークを一気に迎えそうだ。気象庁は24日昼過ぎから夕方の東京地方の天気を雨と予報しているが、降り方は弱く、花が散るほどではないとみている。
23日午前7時半、東京・靖国神社。この日、近くの日本武道館で卒業式がある東洋大の2年、吉沢藍さん(20)は花見の場所取りをするためにサークル仲間とシートを敷いた。卒業生を送り出す花見は毎年恒例だが、昨年はこれほど花が咲いていなかったという。「とてもきれいで、先輩を送り出すのにはぴったり。」
この季節になると同神社で屋台を出し、花見客に酒を販売している男性(60)は「いつもは10日くらいある準備期間が、今年はほとんどなかった」と話した。最初の営業日となった22日夜は会社帰りのサラリーマンらでにぎわい、約200軒が連なる屋台に列ができていたが「初日にしては少なかった」。屋台営業は金曜から翌々週の日曜までの10日間が原則というが、職場の花見は4月に入ってから行われることが多い。男性は売り上げへの影響について「みんな桜が好きだから、来るんじゃないかな。そんなに心配していないよ」と語った。
千代田区の千鳥ケ淵で開かれる「千代田のさくらまつり」は29日からの予定を1週間早め、気象庁が「満開」を発表した22日からスタートした。「警備の打ち合わせやシャトルバスの増便など、間に合わせるためにバタバタでした」と話すのは、同区観光協会の小池正敏事務局長(52)。皇居周辺で照らされる夜桜のライトアップも同日に設置が完了した。「満開に間に合って、本当によかった」
照明を担当する「三菱重工空調システム」(品川区)は所有する機材のほぼすべてを、このイベントに使っている。4月7日の終了後は東北地方の花見イベントに使用予定だが、こちらも開花が早まれば間に合わない可能性がある。観光協会は桜が散れば期間内にライトアップを終了する方針だが、同社の担当者は「間に合ってくれるとは思いますが、心配」と話している。
一方、目黒区の目黒川周辺で4月1〜10日に予定されている「中目黒桜まつり」は前倒し開催も検討されたが、7日にあるメーンイベントの出演者の都合が合わず、日程を変えられなかった。主催する中目黒駅前商店街振興組合の本橋健明理事長(70)は「いつもは4月初めがちょうど見ごろなのに。目黒川に散った桜の花びらもきれいなので、ぜひ訪れてほしい」と呼びかけている。
毎日新聞 3月23日(土)11時21分)

来週、まだ見られるといいな。